「何から何まで異常であった今回の大統領選は、大詰めに来てさらにその異常度を増している」で締めくくられた、冷泉彰彦さんによる選挙戦レポート。結果はみなさんご存じのとおりで、アメリカが、日本が、そして世界が大きく動いています。
本連載を改稿して加筆、さらに選挙後の最新情勢を踏まえて新たに書かれた「第一部 トランプ勝利の歴史的意味」を加えた『トランプ大統領の衝撃』が、11月24日に緊急出版されます。
◆泡沫候補だったトランプがなぜ勝利したのか?
◆世界中のメディアと専門家は何を読み間違えたのか?
◆「暴言・放言」は民意に訴える「仕掛け」だった
◆「在日米軍のコストを全額負担せよ」「対日貿易に高い関税をかける」発言は実行
されるのか?
◆日本は慌てて新政権との人脈づくりをする必要はない
◆新政権の「孤立主義」は、日本のプレゼンスを高める好機になる
2017年の日本と世界を見通すうえで必須の、在米ジャーナリストならではの視点と確かな分析。さらに、年初からの選挙戦をリアルタイムで追いかけた現地レポートは、劇的結末を迎えたノンフィクションとしても圧巻、興奮の読み応えです。
次ページでは発売に先がけて「はじめに」を公開します!
はじめに
サプライズの余韻は、まだ濃厚に残っている。
ドナルド・トランプを第45代合衆国大統領に選出した歴史的な選挙から、まだ日の浅いこの時期に、本書をお届けするというのは異例なことかもしれない。だが、そこには明確な2つの理由がある。
1つ目は、この選挙の結果については、今、このときに掘り下げて分析しておく意味があるということだ。特に、本書の第二部以降の選挙戦の記録については、2015年からの選挙戦を通じてリアルタイムで書き留めていったものだが、今回の「トランプ当選」という結果を受けて読み返してみると、筆者自身、鳥肌の立つような戦慄を覚えた。
つまり、トランプの勝因はこの歴史的な選挙戦の中にしっかり現れていたのである。にもかかわらず予想が外れたということへの反省も大事だが、あらためて選挙戦の全体を振り返りながら、この類まれな歴史的事件の分析を、「熱々の湯気の立っている」現時点でやっておくことには意義があると思う。
2つ目は、この選挙結果は、アメリカという独特の文化を抱えた国における特殊な事件ではないということだ。本文でも触れたが、21世紀がどのような時代になるのかという全地球的な、そして深刻な問題に関係した事件であり、仮にそうであるのなら、この結果の出たホヤホヤの時点から多角的な議論が開始されていいし、またされるべきと思われるからだ。
その意味で、本書は選挙後の短い期間で上梓された「即席の企画」であるとは考えていない。
この歴史的な選挙の記録、そして選挙結果を受けた驚きと様々な議論の一種の備忘録として世に問い、多くの方の議論を喚起することを期待したい。
アメリカ大統領選・現地レポート
史上まれに見る混戦、というよりもはや異常事態ともいえる展開を見せている2016年のアメリカ大統領選。いったい何が起きているのか? それをどう見ればいいのか? 日本への影響は? アメリカ在住のジャーナリストが日本の報道だけではなかなかわからない、現地ならではの情報をリアルタイムでレポート。
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