良いことも悪いこともすべて「一言」で言い表す、一言主(ひとことぬし)という神様がいます。その一言主をお祀りしているのが、奈良県御所(ごせ)市にある葛城一言主神社(かつらぎ ひとことぬし じんじゃ)。
「いちごんさん」と呼ばれて親しまれ、「一言だけならどんな願いもかなえてくれる神様」として、地元だけでなく、全国からお参りにくる人が絶えません。
11月25日、幻冬舎新書『一言力(ひとことりょく)』の発売に先がけて、著者の川上徹也さんと担当編集者・小木田は、葛城一言主神社を参拝しました。
神社に到着。本殿に上がる石段の昇り口に立つ川上さん。ちょうど紅葉が美しい時期でした。
参拝の目的は、本の奉納とベストセラー祈願です。「一言主」の神様には、本の「はじめに」と「あとがき」に、ご登場いただいています。この企画の誕生にあたり大変お世話になったお礼を申し上げつつ、ベストセラーを祈願して、ご祈祷をしていただきました。
ご祈祷後、宮司の伊藤明さんと。背後の額には「一言を以て下を決す」とありました。
伊藤さんは大変気さくでやさしい宮司さんで、「こんな本をお出しになるんですね」と、とても面白がってくださいました。川上さんと小木田が、「書店さんに置いてもらうPOPにご朱印など頂戴できませんでしょうか」と恐る恐るお願いすると、「いいですよ、どうぞどうぞ」と。
宮司さんのご厚意で、川上さんと小木田と一緒にご祈祷を受けたばかりのPOPにご朱印をいただくことができました。これはインクを乾かしているところ。
社務所を出た後、あらためてご挨拶。
ご神木の銀杏もちょうど紅葉まっさかりでした。樹齢1200年と言われる古木です。
葛城一言主神社があるのは、こんなのどかなところです。「いちごんさんは、『売れる』と一言、ご神託をくださいましたよ」と川上さん。願いかなってベストセラーになったら、またお礼の参拝にあがりましょうねと言って、二人は神社を後にしたのでした。
この「ご朱印POP」をご希望の書店さんに差し上げます。「いちごんさん」のご利益で爆発的に売れること間違いなし!……かもしれません。置いてくださるという書店のご担当者のかた、幻冬舎第一編集局・小木田(kogita@gentosha.co.jp)までご連絡ください(数に限りがありますので、終わってしまったらゴメンナサイ)。
次ページでは、『一言力』の「はじめに」を公開。古事記に出てくる「一言主」のエピソードをご紹介します。
■「一言主」のインパクト
この本を読めば、「一言力」が身につきます。
「一言力」とは、「短く本質をえぐる言葉で表現する能力」のことです。
身につけば、あなたにとって一生の武器になります。
日本では古代から「言葉」は特別なものだと考えられていました。
「言=事」であり、「良い言」を使うと「良い事」が起こり、「悪い言」を使うと「悪い
事」が起こる。
言葉には霊的な力「言霊(ことだま)」があると信じられていたのです。
そんな「言霊」を司る神様が『古事記』に登場します。
それが「一言主(ひとことぬし)」です。
一言主は、「良いことも悪いこともすべて『一言』で言い表す」という神様です。
雄略天皇が大和の葛城山(かつらぎさん)へ鹿狩りをしに行った時、一言主に出会います。
向かいの尾根を自分たちと同じ格好をした一行が歩いているのに気づき、名を問うと相
手はこう答えました。
「吾は悪事(まがごと)も一言、善事(よごと)も一言、言い離つ神。葛城の一言主の大神なり(私は、悪いことも一言、良いことも一言で言い放つ神。葛城の一言主の大神である)」
天皇は恐れ入り、弓矢や随行の人間の衣服も一言主に献上しました。一言主はそれを受
け取り、天皇の一行を見送ったと書かれています。
古事記で一言主が登場するのはこのワンシーンのみですが、たいへんインパクトがあり、印象に強く残ります。
なぜでしょう?
「一言」で表現するということは、本当に大切なことしか言わないということです。
無駄をそぎ落とした「一言」にすることで、「物事の本質」が浮かび上がります。
それゆえ、すべてを「一言」で言い表す(=本質をえぐる)ことができる一言主の登場は、とても衝撃的なのです。だからこそ雄略天皇も一言主に一目置き、ひれ伏したのでしょう。
本書では一言主のように「短く本質をえぐる言葉で表現する能力」のことを「一言力」と名づけました。
「本質をえぐる」という言葉は、「的を射る」「核心をつく」「小気味よい」「言い得て妙」「ズバリ言う」などに置き換えてもかまいません。
あなたも、「一言力」を身につけたいと思いませんか?
⇒次ページ「他人の長い話にイライラしませんか?」に続く
■他人の長い話にイライラしませんか?
「一言力」を身につけると、まわりにインパクトを与え、印象に残る存在になれます。
本質をえぐる「一言」で話し書くことができれば、「頭がいいな」と他人から評価される人になれます。
ちょっと思い浮かべてみてください。
あなたの職場でのシーンを。
会議などでクドクドと長い発言をする若手に、「結局何が言いたい?」と言いたくなったことはありませんか?
部下の要領を得ないダラダラとした文章を読むとイライラしませんか?
長くしゃべればしゃべるほど、長く書けば書くほど、物事の本質は伝わりにくくなるのです。
「そんなことわかっている」と思われたかもしれません。
しかし、他人の長い発言や文章にはイライラするのに、知らず知らずのうちに自分も「同じあやまち」をおかしてしまっている可能性、ありませんか?
年長者だから、上司だから誰も言わないだけで、「あの人の話は長くて何が言いたいかわからない」と陰口を叩かれているかもしれませんよ。
あなたが若手や部下の立場ならばなおさらです。早い段階で「一言力」を身につけておけば、あなたのビジネス人生は大きく変わるでしょう。
情報があふれている現代社会においては、いろいろな場面で、ますます「一言力」が求められています。
本書では「一言力」を以下の7つの能力に分解し、「短く本質をえぐる言葉」で話し書けるようにするためのノウハウを一冊にギュッと詰め込みました。
①要約力――情報、言いたいことを短く要約する技
②断言力――リスクを負って言い切る技
③発問力――相手が思わず答えを探す問いかけをする技
④短答力――相手の質問に短く的確にコメントする技
⑤命名力――興味をひくネーミングやタイトルをつける技
⑥比喩力――相手が腹落ちする比喩を瞬時に言う技
⑦旗印力――多くの人を引っ張る旗印やスローガンをつくる技
いずれも「一言」で本質を言い表すのには必要な能力ばかり。
これらの能力の組み合わせで「一言力」は形成されているのです。
わかりやすいようにいろいろな実例も紹介していきます。
* * *
次回から7つの能力について解説していきます。「要約力」についての記事は、12月7日(水)に公開予定です。
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