「宴会には鍋!」というのは、日本人もベトナム人も同じらしい。
鍋は「誰か」と食べることに意義があるし(一人鍋も楽しいですけどもね!)、
ひとつの料理を最初から一緒に作り上げて食べ終わるまでのイベント感もある。
だから、「ベトナム人に誘われる宴会は、だいたいココで鍋」という情報を見て、
その店へどうしても行きたくなってしまった。
どじょう鍋の店「バーフィン」は想像していたよりも大箱で、
看板を確認すると、さりげなく「バーフィン2」となっている。
「あれ? 1に行きたいんですけども…」と店員さんに伝えると、
「セイムセイム!(同じ同じ!)」だそうなので、まあいいかと席に着いた。
(ベトナム、こんなのばっかりだったな…)
店はものすごい活気で、まさに「宴会いぇーい!」なグループもいれば、
しっとりとカップルで鍋をつついている人たちもいる。
そして、彼らが食べているのは、どじょう一択。
もちろん野菜や貝料理などほかのものもあるのだけど、
「これを食べなきゃ帰さないぜ」的な気迫を感じるメニューレイアウトなのです。
日本人にとってどじょうといえば、甘辛の割り下で食べるどじょう鍋や柳川。
いわゆる「どぜう」ってやつですね。
私も浅草の老舗「飯田屋」が大好きすぎて一人で行くほどですが、
ベトナムのどじょうは……明らかにサイズがでかいんですけども!
だって、ご覧くださいコレ。
じゃーん!! 焼きどじょう!!
串刺しになったどじょうを炭火で香ばしく焼いてあります。
うおー、なんだこれは。
おそるおそる食べてみると……おいしーーーー!!
淡水魚だというのに泥臭さがなく、中骨さえ取れば頭から丸ごといけますね。
ほくほくの白身に、タマリンドのタレをつけて食べるとなおすばらし。
なんというか、日本のどじょうとはもはや別物な焼き魚。
そんな「うまいうまい」と盛り上がる3人を、
背後から見つめていたのがひとりの男性店員。
目が合うと、「そうだろう、そうだろう。うちのどじょうは最高だろう」と、
満面の笑みで近づいてきて、次に出てきた鍋も専属で勝手に作ってくれました。
というわけで、どじょう鍋いきまーす!!
各テーブルに運ばれる卓上コンロ(中に炭火と固形燃料が入っている)には、
すでにベースができあがったどじょう鍋がスタンバイ。
(情報によると、お願いすれば活きどじょうをテーブルで鍋に放り込んでくれるらしい)
そこに、好みで野菜を加えていきます。
大皿でやってくる野菜は、もやし、空芯菜、すべりひゆ(と多肉の仲間らしい)、
そしてバナナの花を細く切ったものがどっさりと。いいねー。
こちらのどじょうも…もちろんでかいです。
ダメな人はビジュアルだけでアウトだろうなあ……。
でも、やたらにコクのあるスープの秘密は、どじょうから出るうまみ!
そこに、ニョクマムとハーブがどっちゃり入っており、
ひとすすりするごとに五臓六腑へしみわたるうま……はー、たまらん。
ちょっと甘酸っぱい感じがしたのは、「ザンの葉」という植物の味らしい。
鶏肉とよく組み合わせるハーブで、独特の酸味があるんですって。
食べるときは、小鉢にブンという米の麺を入れ、
具とスープを注いでほぐしながらいただく。
うーん、こんな店が会社の近所にあったら、
どじょう好きを募って宴会しまくっちゃうよなー。
DATA
バーフェン
Lau Ca Keo Ba Huyen
10 Nguyen Thong, Ward 7, District 3, Ho Chi Minh City 70000, Vietnam