年の瀬迫るクリスマス。その日もだんだん暮れる頃、大阪・天満天神繁昌亭の前はいつも以上に開場を心待ちにする人たちで賑わっていました。
毎月25日に行なわれている「天神寄席」の今回のテーマは〈落語はミステリアス〉。そこに、ミステリー作家・有栖川有栖さんが鼎談ゲストとして呼ばれていたのです。鼎談の中でわかった話によれば、ここ数年のクリスマスとは打って変わってチケットは即完売、男女ともにイキのいいお客様の割合も増えたそう。恐るべし“アリス効果”です。
前半三つの演目を楽しみ、中入後にいよいよ始まった鼎談では、有栖川さんと落語の知られざるつながり――中学生の頃から落語好き、台本も書いてラジオに応募していた――といった話が明らかにされつつ、徐々に「ミステリー」と「落語」のつながりとはいかに? の本題へ入っていきました。
「落語といえば滑稽話や人情噺・怪談噺などが思い浮かぶけれども、実は、ミステリー風の噺も少なくない」と春之輔師匠と高島さん。そうして今宵選ばれた演目は、「ろくろ首」「移植屋さん(久坂部羊作)」「算段の平兵衛」(有栖川さんのリクエスト)「猫の忠信」「足上がり」という普段あまり聞けないものも入った五つです。
「なぜ? の答えがちゃんと示されて終わるのがミステリー」という有栖川さんの一つの解説に、演目の具体的な例が加わると、確かに「ミステリー」と「落語」が案外親密なことがわかります。噺(=物語)の面白さの秘密も教えてもらったようで、いつもと違った落語の顔が垣間見えたようでした。
“鼎談が始まる5分前にちょっと挨拶しただけ”とは思えぬ春之輔師匠(しかも横溝正史好きと発覚)と有栖川さん、そして進行役の高島さんの掛け合いも絶妙な上、始まる前にあれこれ思っていた謎も解けてスッキリ、大満足の一夜です。
大阪・繁昌亭のスペシャルゲストは今後もいろいろ続くそうです。毎月1回のこの天神寄席にふらりと立ち寄るのもいいかもしれません。演目も大いに楽しめて、こうしたジャンルの垣根を超えた話にも出会えるとは、本当に贅沢な時間です。
そして落語の新作応募をしきりに勧められ、あたためているアイデアが何かありそうだった有栖川さんからも目が離せません。ミステリーの新作ももちろん読みたいし、有栖川さんの書く落語も見てみたい……。欲しい、欲しい、のファン心理ですが、どちらも来る日の喜びを想像しつつ、首を長くして待とう、としみじみ思う夜でした(S)。
幻冬舎ニュースの記事をもっと読む
幻冬舎ニュース
- バックナンバー
-
- 【本日発売】ティザー動画第3弾公開!ØM...
- 有川ひろさんサイン会決定! ★書店店頭陳...
- 発売記念イベント決定!ØMI(登坂広臣)...
- ティザー動画第2弾公開!ØMI(登坂広臣...
- ØMI(登坂広臣)フォトエッセイ『LAS...
- 萩原利久さんの卓上カレンダー、表紙と限定...
- 俳優・萩原利久さんの2024年卓上カレン...
- ØMI(登坂広臣)、8年ぶりのフォトエッ...
- 『堀江貴文のChatGPT大全』6月23...
- ホンダ、F1復帰を発表!技術者に受け継が...
- 再び注目!<急上昇した記事ベスト10>2...
- 読まれました!<人気記事ベスト10> 2...
- 年内で販売終了!「選んで作れる」川村壱馬...
- 中身をチラ見せ!大好評の「星ひとみの天星...
- 【綾野剛】トークイベント開催決定!予約殺...
- 「星ひとみの天星術2023」シリーズ、全...
- 綾野剛の肖像作品集『Portrait』完...
- 発売記念イベント決定!THE RAMPA...
- 「選んで作れる」Da-iCE完全オリジナ...
- 【振替開催決定のお知らせ】佐藤大樹(EX...
- もっと見る