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「小説幻冬」編集部より

2017.02.03 公開 ポスト

逆境に立たされた時こそ、水樹奈々の歌を聴け! 

「みんなの人生に、応援という形で
寄り添える曲を作っていきたい」
水樹奈々


待望のライブドキュメント写真集『LIVE FOREVER』、好評発売中!!

第一線で活躍し続ける人気声優であり、六度の紅白出場を果たした本格派アーティスト・水樹奈々が、一二枚目のフルアルバム『NEOGENE CREATION』を発表した。同アルバムを引っさげて現在開催中のライブツアー「NANA MIZUKI LIVE ZIPANGU 2017」では、観客とともに共同製作するスペクタクル空間の中で、歌詞に特別な輝きを与えることに成功している。水樹にとって、ライブとは何か? 言葉がメロディに乗って運ばれていく、音楽という表現ジャンルにできることとは何なのか。ライブドキュメント写真集『LIVE FOREVER NANA MIZUKI LIVE DOCUMENT BOOK』発売のタイミングで、彼女に話を聞いた。
                                      
聞き手:吉田大助


──水樹さんは今回のアルバムで、『JEWEL』『STARTING NOW!』『君よ叫べ』の三曲を作詞しています。作詞はどのような手順で行われているのでしょうか?
水樹 その曲に向き合った時に見えた情景を大事にしています。私の楽曲制作は必ず、曲先行なんです。今回のアルバムでも三〇〇曲ぐらいデモ音源を聴かせていただいたんですが、曲を選ぶ時の基準も、情景が見えるかどうか。そこからはプロデューサーの三嶋(章夫)さん達を交えた会議で、「この曲は誰に歌詞をお願いしようか」という話し合いになり、「私が書きたいです」と言う時があったり、「この曲はあの作家さんに書いてもらいたいです」ってリクエストしたりしています。

──自分では歌詞を書かない場合でも、自分が曲を通して見えた情景は伝えている?
水樹 はい。作家さんにお願いする時も、「この曲はラブソングに仕上げたいんです」とか、「これは応援ソングに仕上げたいんです」と伝えています。「この曲は七年ぐらいずるずる付き合っているんだけど、結婚に踏み出してくれない男性がいて、新しい人にしようかなと思いつつ、でもその人との思い出が捨てられなくて踏み切れないでいる女の人でお願いします」とか(笑)。年齢設定や、周りの環境など、自分の中で見えた細かい設定を全部作家さんにお話しするんです。曲によって見え方は違うんですよ。今回のアルバムで言うと、『JEWEL』は初めて曲を聴いた時、瀬戸内海の風景が浮かんだんです。

──水樹さんは愛媛県出身ですから、故郷の風景ですね。
水樹 その風景から、故郷を思う歌にしたいなって。穏やかな瀬戸内海にしまなみ海道が架かっていて……と情景が見える言葉を入れつつ、自分の故郷に対する思いを書いていきました。

──曲を聴くと情景が見える……昔からそうだったんですか?
水樹 徐々にそうなっていったのかもしれません。もともと私は演歌歌手を目指していて、子どもの頃はずっと父のレッスンを受けていたんです。父に最初に教えてもらった曲は『南の花嫁さん』という、高峰三枝子さんが歌われていた曲です。父からは、棒立ちで歌ってもその曲の世界を表現し切れないから、歌詞に合わせて手ぶりを付けなさいって言われていました。でも、子どもだから、ただ教えられた通りに動かしても、感情が入れられないんです。

──子どもは「なんで?」「どうして?」と、理屈を求めてしまいますよね
水樹 そうなんです。「この言葉だから、この振り付けなんだ」って納得したうえでじゃないと、うまくできない。それもあって、父から「とにかく歌詞を読みなさい」と指導されていたんですよ。「何を伝えたいのかが分かると、情景が見えるでしょう?」と。例えば『南の花嫁さん』には「おみやげはなあに」ってフレーズがあるんですが、歌詞を理解していれば「おみやげはなあに」という言葉と一緒に、私に見せてって手を出したくなる。最初の「ねむの並木を お馬のせなに ゆらゆらゆらと」っていうフレーズの時も、歌詞のイメージがちゃんとできていたら、ゆらゆらゆらとって体を動かしたくなる。たぶんその時一緒に、情景を浮かべるっていうトレーニングもされていたんですよね。だから大人になった今、歌詞が入っていないデモ状態の曲を聴いても、「この曲はこんな情景を現しているんじゃないかな?」ってイメージが湧くようになったんだと思います。

──情景描写をふんだんに活用することで知られる「演歌」という分野で、メロディーと歌詞の関係性にとことん向き合ってきたことが、水樹さんの音楽的想像力の源泉になっているようですね。
水樹 想像力という意味では、声優としての活動も大きいと思います。自分とはまるで性格が違うキャラクターを演じる時に、「なんでこの人はこういうセリフを言うんだろう? 私だったら絶対こんなこと相手に言わないな」ということもあるんですね。その時ってものすごい想像力を働かせて、キャラクターの心情を読み取らなければいけないんです。しかもアニメの場合、宇宙まで行っちゃうみたいなこともあるわけじゃないですか(笑)。行ったことはないけど宇宙空間ってこんな感じなのかなとか、魔法を使って空を飛んでたらどんな感じなんだろうって、あり得ないところまで想像する必要があるんです。普通の歌い手さんよりも、想像プラスその先の妄想っていうところの幅が広いかもしれない。そのあたりがもしかしたら、曲から自然と妄想して、情景をぱっと浮かべて言葉にするっていうことに繋がっているのかもしれないです。


みんなの人生に寄り添える「応援ソング」を歌い続けたい

──アルバムの一四曲目『君よ叫べ』では、自ら作曲も手掛けています。この曲の作詞も、情景からスタートしたのでしょうか?
水樹 そうですね。自分で曲を書いているものは、一回曲を完成させたらちょっと寝かせるんです。そうすると、客観的にその曲を聴くことができるようになって、情景が見えてくるんですよね。『君よ叫べ』に関して言うと、まず三嶋プロデューサーから「ライブで盛り上がれる、BPMの速いドラマチックな曲を書いてほしい」っていうお題をもらったんです。しかも「マイナーではなくメジャーコードを中心にした、笑顔でかっこいい曲」っていう、二重三重の縛りがある難しいお題で(笑)。なんとか仕上げたところで、作詞モードに頭を切り替えてできあがった曲を聴いてみたら、景色や主人公の外面的なことではなく、内面的なものが見えてきました。

──内面的なもの、とは?
水樹 年齢問わず、職場だったり学校だったりで逆境に立たされる瞬間ってあると思うんですよね。そこで「くっそー!」ってなった時に、そのテーマ曲がかかると、ごごごごごっと自分が変身する。「見てろよ!」「私は、俺は、本気になったらこんなもんじゃないんだから!!」みたいな感じでテンションが上がる、そんなイメージがぶわっと湧いたんです。アニメではよく、それぞれのキャラクターごとにテーマ曲があるんですよ。そのキャラが画面に出ている時に、BGMで鳴っている曲です。そういう感じで、逆境に立たされた時に流れてくる「自分が主人公のテーマ曲」ですね。

──Aメロから「君との天地創造したい」ですもんね。特別な高らかさ、力強さがみなぎっている曲でした。
水樹 そのフレーズは「自分という唯一無二の世界」を創造という意味で、「誰かに指図されるんじゃなくて自分の人生は自分で決めるんじゃーい!」みたいな、「いろいろ言われても自分は負けないぞ!」という、立ち向かっていく強さを出したかったんです。苦境に立たされた時って、ネガティブな思考に行っちゃうじゃないですか。どうしても、「私なんて」「俺なんて」って。そうなってしまうと、負の連鎖が起きちゃうと思うんですよね。そういう時こそポジティブに気持ちを上げていかないと、自分自身も周りも変えることはできないんだっていう、強いメッセージにしたかったんです。なので、とびきりポジティブになれる言葉だけを詰め込みました。

──しんどい時にこの曲を頭の中で鳴らすことで、勇気の火種にすることができる。素敵ですね。自分の音楽が、そんなふうに聞き手の現実に入り込んで、支えていくようなものでありたいと思ってらっしゃるってことですよね。
水樹 私は、応援ソングを歌いたいという気持ちがすごく強いんです。リリースされて一五年たった今でもライブの定番曲である『POWER GATE』、この曲との出合いが私を大きく動かしました。五枚目のシングルの表題曲なんですが、それまではプロデューサーさんが選んだものを歌うという形だったんですよ。でも、そのシングルを作る会議に初めて私も参加させてもらって、「これが歌いたいです」と自分の気持ちを伝えられたんです。そして、この曲と出合った時に「私はみんなの背中を押せるようなメッセージを歌で表現したいんだ」って気が付いたんです。それ以来、いろんなタイプの応援ソングを作ってきました。

──水樹さんの「応援」の質感は、主人公像やシチュエーションやストーリーが毎作異なり、多種多様なんですよね。
水樹 ありがとうございます。「応援ソング」と聞くと、「頑張れ」とか「負けるな」と強さのある元気な曲のイメージがあると思うんですが、それだけじゃないと私は思っていて。今は悩んでいるしつらいけど、まず一歩踏み出してみようという優しいバラード調の応援ソングもあれば、お姉ちゃん的な、先輩的な目線からちょっと叱りながらお尻を叩くような応援ソングもあるし、聴くだけで悩みが吹っ飛んでとにかくアガる、パーティーチューンのように盛り上がれる曲もまた、応援ソングだと思っているんです。

──水樹さんの曲は、一見すると「君と僕」のラブソングに感じられるようなものも、一種の応援ソングに聞こえるんですよ。そこは意識してらっしゃいますか?
水樹 意識しています。「私とあなた」にすると、女性的で恋愛要素が強く感じられてしまう気がして。「君と僕」という中性的な言葉を使うことで恋愛以外にもイメージが広がっていくといいなという思いがあります。でも、今回はラブソングでしっかり男女の恋愛を見せたいと思った時は、しっかり女性的な言い回しにして。他にも「好きな人」のことをあえて「大切な人」と表現することで、大事な友達だったり家族だったり、その言葉をそれぞれのイメージに置き換えられるんじゃないかな、とか。聴く方のその時の気分で、自由に表情が変わって聞こえる曲にしたいという思いは強いですね。

──ビートルズがラブソングにおける「ラブ」の可能性を拡張させたように、水樹奈々は応援ソングの「エール」の可能性を切り開いてきた人だったんですね。
水樹 いやいや、そんな(笑)。ただ、応援ソングは自分の核として、ずっと作り続けて、歌い続けていきたいと思っています。そう思うようになったもうひとつの大きなキッカケは、ライブにあります。『POWER GATE』をライブで披露した時に、みんながすごくきらきらした目でステージを見つめてくれて、一緒に歌ってくれている姿を見た時に、「私はやっぱりこれを届けたい」って思ったんです。それまではとにかく歌が好きで、歌わせてもらっているだけで幸せって思っていたので、「水樹さんは歌を通して何を伝えたいんですか?」と訊かれた時に、答える言葉がなかったんです。でも、『POWER GATE』に出合って、その言葉が見つかりました。「みんなの人生に、応援という形で寄り添える曲を作っていきたいです」って。

──背中を押してもらえました、という声もたくさん届いているのではないですか?
水樹 ありがたいことに、私はラジオ番組もやらせていただいているのですが、「この曲に受験勉強の時、助けられました」とか、「就職活動の面接の前にこの曲を聴いて行きました」とか、リスナーの方からいろいろなメールをいただいています。中には「自分は今こういうことで悩んでいるんです」と、私に悩みを打ち明けてくれる方もいらっしゃって。そういうメールはずっと私の中に残っていって、作詞をする時に「そういえば、こういうことで悩んでる女の子がいたな。彼女にはこういうメッセージを伝えたいな」って、ぱっと浮かぶ時もあるんです。


CDにパッケージされた曲もライブで歌うと性格が変わる

──昨年は、二度目となる東京ドーム2DAYS公演、「虎キチ」である自身にとって夢だった阪神甲子園球場でのワンマンライブを実現されました。現在はライブツアー「NANA MIZUKI LIVE ZIPANGU 2017」を開催中ですが、水樹さんの音楽はライブ会場にいると、「君と僕」というフレーズが「水樹奈々とリスナーである自分(たち)」と聞こえてくるのではないかと思ったんです。さきほどお話ししてくださった『JEWEL』という曲で表現されている「ふるさと」も、「ここ」だと感じられるのではないかな、と。
水樹 そうかもしれません。実は『JEWEL』はまだ、今回のライブでは歌っていないんです。披露する時には、みんなと繫がり合えると嬉しいです。ちなみにCDにパッケージされた音源と、ライブで歌うものとではだいぶ曲の性格が変わることもあって。例えば『残光のガイア』という曲があるんですけれど、レコーディングで歌った時は、幾千の時を越え、運命的に魂が巡り合った……みたいな曲調もケルティッシュで神秘的ですし、すごく神々しいイメージで歌っていたんです。でも実際にライブで歌ってみたら、「HEY! HEY! イエース!!」という激しいコールが入って、拳と拳のぶつかり合いみたいになったんです。

──雰囲気がぜんぜん違いますよね(笑)。
水樹 そうなんですよ。壮大なイメージ空間に身を委ねてとかではなく、「やっと巡り合えた! 神話になるようなって、僕たちの今この瞬間のことだよね?」みたいな感じで、みんなでエネルギーをぶつけ合う曲に変わったんです。なのでライブで初めてこの曲を聴いた方が、CDを聴くと「あれ? こんなにおとなしい曲だったっけ!?」って、ちょっとびっくりされたりとか。メロディーの力と言葉の力って、聴くシチュエーションでずいぶん性格を変えるので、面白いなあって思います。

──水樹さんの自叙伝『深愛』の最後の章、エピローグはライブのシーンなんですよね。そこでは水樹さんにとっての「幸せ」が綴られていますが、やっぱりライブって特別なものですか?
水樹 特別ですね。やっぱり直接、みなさんの顔が見られるのが私は一番嬉しいんです。この曲を聴いてこんなふうに感じてくれるといいな、実際どんなふうに思ってくれているんだろうっていう答えが、目の前で感じられる。ただ曲で盛り上がっている一体感だけじゃなくて、みんなと曲のビジョンが共有できている、同じイメージを持って繋がることができているって感じられた時が、最高に幸せなんです。

──観客もその一体感を味わうために、水樹さんのライブに足を運ぶのではないかという気がします。
水樹 私のライブに参加してくださる方って、ものすごく曲を聴き込んでくださるんですよ。私がライブの本番に向けてリハーサルをやっている時、同じように、「ここでコールを入れよう」とか「ここで飛ぼうかな」とか、たくさん準備をして来てくれていることが、ビシビシ伝わってくるんです。特別な思いを持って、一緒にあの時間と空間を作ってくれている。特に声優アーティストのライブって、サイリウムがすごいんです。客席からの照明演出みたいな感じで、会場がブルー一色になったりピンクになったりオレンジになったり。ひとりひとりがキャストであり演出家なんですよ。

──水樹さんのライブの臨場感、一体感が、『LIVE FOREVER NANA MIZUKI LIVE DOCUMENT BOOK』に真空パックされています。二〇一四年八月に行われた横浜スタジアム公演から二〇一六年九月の甲子園球場公演まで、二年以上にわたって撮影されたライブ写真がおもに収録されていますが、静止画で見ると改めて、とんでもない「絵面」が満載のライブだなと実感しました(笑)。
水樹 「これはどこのアミューズメントパークなんだろう?」って思うような(笑)。UFOに乗ったりほうきに乗って空を飛んだり、恐竜や巨大ロボットも出てきます。


夢の空間にいざなうためには観客を我に返らせてはいけない

──もはや総合芸術、というほかないなと感じるんですが、最初からこういった形のライブを行っていたんですか?
水樹 二〇〇七年くらいからです。ライブごとのコンセプトを明確に作っていくようになり、よりみんなに空間にトリップしてもらえるような演出を考えるようになったんです。例えばライブのタイトルが「GALAXY」だったら、スタッフのみんなと話し合って、「ロボットを出したらいいんじゃない?」と。「FLIGHT」というタイトルの時は「飛ばないわけにはいかないよね!」となって、飛行機も出てくるし生身でも飛ぶし(笑)。「ADVENTURE」だったらホバークラフトやジープを出して、『インディ・ジョーンズ』みたいな冒険アクション映画の世界にしたいよね、と。一歩ライブ会場に入ったら、そこからは非現実。異世界にワープする、その世界に入り込んでもらえる形にしたいなと思うようになっていった結果、ちょっと、度が過ぎる感じになりました(笑)。

──このライブ写真集が面白いのは、水樹さんをカメラの真ん中に据えたカットももちろん多いんですが、大勢の観客も含めたステージ全体を丸ごと写しているカットが多いことなんです。いわばライブの空間自体が、被写体になっている。
水樹 そこはこの写真集を作るにあたって、編集スタッフさんと話し合ったところだったんです。「自分もこの空間を一緒に作ったんだ!」って、感じていただける写真集にしたいなって。そしてぜひとも、ライブの舞台裏も見てもらいたいなと思ったんです。公演がたった一日でも、何本もあるツアーでも、同じように毎回、何ヶ月もかけてものすごい数の方々がサポートしてくれている。ステージの裏ではこんなにも大勢の方が動いているということを見ていただける本にしたかったんです。そこを感じてもらえたら、ライブへの熱がより高まるし、まだ参戦したことがない方にも興味を持っていただけるものになるんじゃないかなって。

──写真集が記録することになった約二年間は、水樹さんにとってどんな期間だったのでしょうか?
水樹 自分にとって、転換期となる時間でした。狙っていたわけではなくて、偶然そうなったんです。ちょうど密着が始まった二〇一四年のツアーの途中で、初めてのどを壊してしまいツアーを休演するということがありました。そこから復帰していく過程で、より自分と向き合う時間が増えて、ライブへの臨み方が変わり、ステージへ立つまでの準備の仕方も変わっていったんです。本当にいろいろなことが変わった二年間だったので、二〇一四年と二〇一六年の写真を比べると、自分でも「うわ、全然違う!」と。顔つきも違うし、体つきもぜんぜん違う。

──体つきも、ですか?
水樹 たくさんの演出を行いながら歌うためには、体力が必要なんです。例えば空中にワイヤーでぶら下がりながら歌う時は、地に足が着いてないぶん、声量が落ちてしまう。さらに、体幹がしっかりしていなければぐるぐると回ってしまう。じゃあどうすればいいんだろうっていうことをトレーナーさんに相談して、それができるように肉体改造をしました。「東京ドームのステージを、端から端まで走りながら歌いたいんです」って言ったら、「守備範囲、広いね。野球選手でもそんなに走らないよ」って言われました(笑)。でも、自分がやりたい! と言ったからには用意してもらった演出は最大限に活かしたいし、走って行った先でみんながワーッと手を振ってくれているのに、ゼェゼェしてたら心配されちゃうじゃないですか(笑)。

──「疲れちゃった」って、弱音で共感されるやり方もあると思いますよ?
水樹 心配させちゃダメなんです。いつでもみんなが「楽しい!」って夢中になってもらわないといけないので、我に返る瞬間を作っちゃいけないんですよ。夢の空間にいざなうためには、常に余裕で動けていないとダメなので。

──今、エンターテイナーの心得を聞いた気がしました。「ZIPANGU」と題したライブツアーは三月まで開催中で、四月二日には「出雲大社御奉納公演」が行われます。写真集を開いて、期待を膨らませたいと思います。
水樹 ありがとうございます。今後もいろいろな企画が満載です。奈々の「七」で、「七七歳まで歌う」と公言しているんです(笑)。なので、いまは道半ば。ここで満足することなく、もっともっと走り続けます。

※このインタビューは、小説幻冬2月号に掲載されたものです。

                   


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水樹奈々

声優、歌手。1980年1月21日、愛媛県生まれ。97年声優デビュー。2000年、シングル『想い』で歌手デビュー。09年アルバム『ULTIMATE DIAMOND』、10年シングル『PHANTOM MINDS』でオリコンチャート1位を獲得。09年にNHK紅白歌合戦初出場。東京ドーム公演、海外公演と精力的に活動し、声優アーティストとして歴代記録を次々と塗り替える活躍を見せる。著者に、自叙伝『深愛』(幻冬舎文庫)がある。12枚目のアルバム『NEOGENE CREATION』をひっさげ、全国ライブツアー「LIVE ZIPANG 2017」を開催中。

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