昔は、会社の机でタバコが吸えた。
吸えたどころではない。灰皿に吸い殻がたまると、女性社員が捨ててくれる。その女性社員が自分より先輩でも、オフィスには「灰皿の掃除とお茶汲みは女の仕事」という不文律があり、何の不思議もなくそれを受け入れていた。
しかし自分で思い出しても、そんなことが「普通」であったとは信じられない。あんなことが平気でできていたとは到底思えぬ。今のご時世、絶対許せることではないではないか。
考えれば考えるほど、自分の記憶に自信が持てなくなった。映画やドラマで記憶が改ざんされた可能性もある。あまりにも不安になったので、社会人1年目の頃、一緒に仕事をしていた友達に電話した。
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「婦人画報」「家庭画報」はあって、なんで「おっさん画報」はないねん! 「昭和のおっさん」を自認する物書き・菅野完が、暮らしにまつわるアレコレ、気になる文物を、徹頭徹尾おっさん目線で語り尽くす。