老いも若きも、その年齢なりに悩み、苦しむ性の問題。
しかし、最近話題になるのは、恋人のいない男女の増加、非婚、絶食化、セックスレス……と消極的なものばかり。今回は、そんな社会の傾向を嘆くのではなく、性をモチーフに作品をつくる美術家、セックスを仕事にする監督、男優たちがどんなふうにセックスを見ているのかがわかる本を取り上げました。
下記でも紹介する『色ざんげが書けなくて』のなかで、会田誠さんはセックスのことを「本当は恥ずかしいことだけど、始まっちゃったら羞恥心などぶっちぎって踊り狂うしかない、一夜限りの奇祭」だと書いてらっしゃいます。思わず笑って、納得。数々の名言にも出会えますよ。(T)
今なおクレイジーに思えるセックスへの違和感
会田誠『色ざんげが書けなくて』
450円(税別)
「オナニーとはセックスの前段階にある代替品ではなく、独立した価値を持つ人生の目的そのもの」と言う、天才美術家・会田誠が考える「性」のあれこれ。
「オナニー」については愛溢れる言葉を尽くし、「セックス」については、おそるおそる言葉を選ぶ。
それは、「あんなクレイジーなこと赤の他人とできるわけない」と考えていたハイティーンの頃の気持ちが抜けきれないから――。
オナニー方法と妄想の遍歴、セックスに対していまなお抱く違和感、そして会田作品における性の意味まで赤裸々に開陳。
エロも生きる武器になる
中村淳彦『ルポ 中年童貞 僕も紙一重で“中年童貞”だった。筑駒出身AV男優、森林原人』
350円(税別)
AV男優になるまで徹底的にモテなかったという森林原人。
現在は、アダルトビデオ業界の第一線で活躍し、女性の経験人数8000人を超える彼が、新書『ルポ 中年童貞』を読み、「AV男優という仕事がなければ、自分も紙一重で中年童貞になっていたかもしれない」と発言した。
その真意とは何か――?
『ルポ 中年童貞』の第三章「ネット右翼と中年童貞」も同時収録し、男性にとっての「性」とは何か? 「欲望」とは何か? をあらためて問う衝撃作。
映像で撮るセックスがむき出しにするもの
湯山玲子/カンパニー松尾『「劇場版テレクラキャノンボール2013」が教えてくれる男と女とその時代』
350円(税別)
話題のAVドキュメンタリーは、地方の貧困、男性社会の競争原理、支配・被支配に覆われた男女の関係を映し出していた――。
公開されるやいなや、クチコミで映画館が連日満席となった、映画『劇場版 テレクラキャノンボール2013』。
AV監督5人が、テレクラやナンパで出会った素人女性とセックスし、カメラに収めて点数を競う、この作品への絶賛と批判の背景には何があったのか? 監督の意図とは?
鋭く迫る容赦なき対談。
幻冬舎plus+編集部便り
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