第1回 税金恐怖政治(タックス・テロリズム)が始まっている
第2回 タックス・テロリズムとは何か
アメリカ政府は巨額の財政赤字を穴埋めするために大企業を狙って何でもやる。個人の金持ちたちを狙うのと同じ原理だ。
リヴァイアサン(Leviathan、レヴィアタン)という旧約聖書に出てくる海の怪獣がいる。ビヒモス(behemoth)という陸上の怪獣と二頭で一対を成す。このリヴァイアサンという怪物は、それこそなんでも食い散らす。痛い痛いと言いながら自分の手まで食べてしまう。隣りの怪獣とも殺し合いの喧嘩をする。
ビヒモス(真ん中)とリヴァイアサン(下)。
旧約聖書の怪物。何でも食べる。これが国家、政府だ。
トマス・ホッブズ(Thomas Hobbes 1588~1679)が国家について書いた有名な『リヴァイアサン』はこの怪物を寓話(ぐうわ)にしたものだ。国家というものはこの怪物のように巨大な悪である。暴走すると何をするかわからない。自分の手足である500万人ぐらいを失う戦争(隣りの怪獣との喧嘩、国民が死ぬ戦争)を平気でする。政治家と官僚たちは、このリヴァイアサンの頭であり中枢だ。彼らはこの国家という怪獣の法則に従って生きる。だから国民をどれだけイジめても構わない、という本能を持っている。だから怪獣国家の暴走は止まらない。小さな怪獣である小国は、大きな怪獣国に叩きのめされて、食われてしまう。だから奇怪な小国家である北朝鮮は、自分が食い殺されないように核武装しているのだ。
アメリカのスポーツ選手たち、とくに黒人のバスケットボール選手たちは、デニス・ロッドマンを筆頭にして、北朝鮮に自己資産を逃がしている。このようにすることで、自国のアメリカの税金官僚たちから逃げている。今、この地上で最後の究極のタックス・ヘイブンは北朝鮮なのである。北朝鮮の友好国の金持ち、経営者たちが資金を避難させている。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)体制は外国人たちを主権国家(ソブリーンティ・ステイト)としてしっかり保護してくれる。
だから北朝鮮は共産主義体制のとんでもない、おかしな国家だが、50階建ての高層ビルが、今どんどん建っている。そのように資金を逃がして来た金持ちたちによる投資が、海外からたくさん来ている。ニューヨークのトランプタワーに、アラブ人や日本人や大金持ちが住んでいるのと同じことだ。
日本人にとっては北朝鮮は笑い話では済まない国だ。トランプ大統領が中国の習近平と話し込んで、北朝鮮から危ない核兵器を取り上げて、ついでに世界の言うことを聞かない凶暴な国家体制を転覆、改造させようとする。そうしたら大きな投資先が北朝鮮に生まれる。日本の商社とかが中国経由で北朝鮮に入っている。ミャンマーと同じような感じになるのが、いいとこだ。だが、そううまくゆくか。分からない。
こういう世界的な資金の移動の流行(トレンド)があるから日本でも、金融庁と国税庁が狂躁(きょうそう)状態になって、自分の国の資産家が外国に脱出することを、自民党政府が狂ったように阻止しようとする。新しい法律をどんどん作ったり、改正したりして、自分たちのやっていることが正義だと勝手に思い込んで騒乱状態である。この本を読む小金持ちの人たちは、当然、多くは自民党支持者だ。自民党は、金持ちたちの政党だ。金持ちたちは自分たちが応援している自民党政府が、自分たちを守ってくれるはずだ、と思っている。ところが現実はそうではない。ちっとも守ってくれない、どころか、新しい法律をどんどん作って、自分たち金持ち層をイジめることが多くなっている。税金官僚たちの言いなりになって自民党そのものが、金持ちイジめの政党になっている。
こんなはずではなかったのだ。だからアメリカで、ドナルド・トランプが登場、出現したのだ。「今こそ白人金持ちを守らなくてはいけない。首都ワシントンを占領している官僚たちを叩きのめしてやる」とトランプは言う。これが“Drain the Swamp”「ドレイン・ザ・スワンプ」だ。「泥沼の悪水(スワンプ)を抜いて干上がらせ(ドレイン)よう。そうしたら、沼の底にウヨウヨと露出するヒル(leech リーチ。官僚。吸血虫たち)を駆除しよう」となった。日本でももうすぐこのアメリカの国民革命の影響が出て来ることが私は待ち遠しい。
金持ちというのは、政府がつくった法律に逆らうのが嫌な人たちだ。自分たちをイジめる法律であっても、政府がどんどん作ったら、「法律は法律だ」とそれに従おうとする。それでもなお自分たちをイジめる自民党をおかしなことに応援している。
税金恐怖政治(タックス・テロリズム)が資産家層を追い詰める
tax terrorism(タックス・テロリズム)という言葉は欧米の先進諸国にある。「富裕層への課税強化宣言」で日本の資産家たちも追い詰められた。税金恐怖政治(タックス・テロリズム)の始まりである。今何がどうなっているのかを探る。