近年、患者数が増え続けている「脊柱管狭窄症」。腰痛の老化現象と言われているこの症状ですが、これまで定説とされてきた型通りの治療法・対処法では、かえって状態を悪化させてしまうこともあるそうです。
「予約の取れない治療院」として有名なさかいクリニック院長、酒井慎太郎氏は、人それぞれに自分のタイプに合わせて適切に治療をしていけば、脊柱管狭窄症は完治させることができるとおっしゃいます。新刊『脊柱管狭窄症は99%完治する』は、そのそれぞれの原因や自分でできるケア方法を、タイプ別に解説した一冊です。
その一部を抜粋してご紹介しますので、お心当たりのある方は、ぜひご一読ください。
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【腰痛ケース4】
デスクワーク中、足腰にずっとしびれがあるのですが……。
「私の仕事はパソコンの入力なので、ほぼ1日中座ってキーボードを打ち続けています。ただ、ここ数か月、仕事中に足腰がしびれてくるようになって困っています。お尻から太ももの裏側、ひざ下全体にチリチリとしびれがあり、とくに夕方になると症状がひどくなるのです。以前、何度かぎっくり腰になったことはあるのですが、その影響なのでしょうか。これ以上ひどくなると仕事にも支障が出かねないので、いい対策法があったら教えてください」(45歳・会社員)
【判定】
混合タイプの脊柱管狭窄症
ヘルニア5:狭窄症5
坐骨神経痛は椎間板ヘルニアでも脊柱管狭窄症でも現われます。イスに座り続けているとしびれてくるのは椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛の特徴であり、夕方に症状がひどくなったり、太もも裏やひざ下全体にしびれが出たりするのは脊柱管狭窄症による坐骨神経痛の特徴です。おそらくこの方の場合、両方の症状が出ているのでしょう。
40代半ばで脊柱管狭窄症が現われるのは通常よりも少し早いのですが、過去にぎっくり腰を患い、もともとヘルニアがあったところへ脊柱管の狭窄が進んできて、神経が圧迫された結果、坐骨神経痛の症状が現われていると考えられます。
●なぜこの症状が起こるのか
坐骨神経痛のしびれ症状は、神経の流れと血液の流れの両方が滞ることにより起こります。
流れを悪くする要因はいろいろありますが、中でも気をつけたいのが“長時間座り続けての作業”と“足腰の冷え”です。前者の対策としては、小まめに休憩をとって体を伸ばすのがいちばん。デスクワークでパソコンを打ち続けているとつい時間が経ってしまうものですが、意識的に席を立って、少し体を動かすようにしてください。
30分から40分ごとに背伸びをしたり、トイレへ行ったりするだけでもだいぶ違うはずです。 また、後者の冷え対策は、あの手この手を使って足腰を温めるようにしてください。ひざかけやストールで足腰をくるんだり、使い捨てのカイロを貼ったりするといいでしょう。坐骨神経痛の場合、カイロは「腰の仙腸関節部分」「お尻の横下の部分」「ひざ小僧の下のやや外側部分(腓骨頭の位置)」の3点に貼るのが有効です。これらのポイントを温めていれば、神経の流れや血液の流れをよくしてしびれなどの症状を抑えることができるでしょう。
それと、家に帰ったらゆっくりお風呂で温まりましょう。日々の入浴による温熱刺激は、神経や血液の流れをよくするのに欠かせません。さらに、足湯を習慣づけるのもおすすめ。足湯をする場合は、深めのバケツなどを用いてひざ下全体を湯につけて温めるようにしてください。
●すぐに症状を軽減させたいときの方法は?
デスクワークなどでイスに座っている最中に坐骨神経痛の症状に襲われた場合、スピーディに問題を解消してくれるおすすめの方法があります。
それが『腓骨頭マッサージ』です。腓骨頭とは、ひざ小僧の下のやや外側にあるビー玉サイズの小さな出っ張りのこと。この出っ張り付近はひざ下へ向かう神経の流れが集中するポイントであり、ここをつまんで力強くもんだり軽く動かしたりすると、神経の流れがよくなって、しびれなどの症状を即時的に改善することができるのです。
この『腓骨頭マッサージ』ならデスクワーク中に机の下で行なうことができますし、会議中にこっそり行なうこともできます。とくにひざ下のしびれ症状に対して大きな効果を発揮するので、ぜひさまざまなシチュエーションで実践してみてください。
【ココがポイント!】
ひざ下のしびれ症状は『腓骨頭マッサージ』で即効解消!
●腓骨頭マッサージ
脊柱管狭窄症からくる坐骨神経痛を解消させるための裏ワザメニュー。
ひざ下のしびれがひどいときに行ないましょう。
とくに、下半身が冷えたりむくんだりしがちな女性は、足のしびれも起こしやすいもの。
すぐに試せる『腓骨頭マッサージ』を、ぜひお試しください。
次回の更新もお楽しみに。