近年、患者数が増え続けている「脊柱管狭窄症」。腰痛の老化現象と言われているこの症状ですが、これまで定説とされてきた型通りの治療法・対処法では、かえって状態を悪化させてしまうこともあるそうです。
「予約の取れない治療院」として有名なさかいクリニック院長、酒井慎太郎氏は、人それぞれに自分のタイプに合わせて適切に治療をしていけば、脊柱管狭窄症は完治させることができるとおっしゃいます。新刊『脊柱管狭窄症は99%完治する』は、そのそれぞれの原因や自分でできるケア方法を、タイプ別に解説した一冊です。
その一部を抜粋してご紹介しますので、お心当たりのある方は、ぜひご一読ください。
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【腰痛ケース5】
足の裏に針山の上でも歩いているような違和感があります。
「ずっと以前から坐骨神経痛があり、整形外科で脊柱管狭窄症の診断も受けています。私の場合、両足ともしびれるし間欠性跛行もあって、夕方になるとひときわ症状がひどくなります。それと、何よりも耐えられないのは、歩くたびに足の裏に針山の上でも歩いているような違和感がつきまとう点です。このチクチク、ジリジリと灼けつくような感じの症状を、なんとか解消する手段はないものでしょうか」(72歳・無職)
【判定】
純粋タイプの脊柱管狭窄症
ヘルニア0:狭窄症10
多くの場合、脊柱管狭窄症は椎間板ヘルニアと混合しているものなのですが、この方の場合は『純粋な脊柱管狭窄症』と判定してよさそうです。「両足のしびれ」「間欠性跛行」「夕方になると悪化する」などは、いずれも脊柱管狭窄症に特徴的な症状。また、「足の裏のチクチク、ジリジリとした違和感」も脊柱管狭窄症の患者さんがよく訴える症状です。
この足裏の違和感は、「針の山の上を歩いている感じ」だけでなく、「火の上を歩いている感じ」「焼かれているような灼熱感」「足裏全体が麻痺している感じ」「雲の上をふわふわと歩いている感じ」などと表現されることもあります。こうした違和感は、椎間板ヘルニアの人はまず訴えません。この足の裏の症状があるのは、脊柱管狭窄症の症状がとても強く現われているというサインのひとつなのです。
●なぜこの症状が起こるのか
足の裏は人体のいちばん下にあたる部分。ここを巡る神経は腰椎部の脊柱管に端を発しています。腰や足の症状と同じように、脊柱管のスペースが狭くなり、内部の神経が圧迫刺激されることにより、チリチリ、ジリジリとした足裏の症状が引き起こされているのです。ですから、足裏の症状を解消させるには、脊柱管のスペースを広げて神経圧迫を和らげることを第一に考えなくてはなりません。
●すぐに症状を軽減させたいときの方法は?
では、脊柱管のスペースを効率的に広げるにはどうすればいいのか。そのために、習慣にしていただきたいのが『ねこ体操』。これは、正座をした姿勢から上体を前へ深く倒していき、ねこのように体を丸めていくエクササイズです。
そもそも脊柱管狭窄症は、体を反らすと痛みが増し、体を丸めると痛みが和らぐという特徴があります。痛みが和らぐのは、体を丸めたほうが脊柱管が広がりやすいから。このため、普段から『ねこ体操』で腰を大きく丸めるようにしていれば、脊柱管スペースが広がり痛みが軽減されるのです。継続していけば、足の裏の症状を解消させるのにも大いに効果を発揮するはずです。ぜひ朝晩行なって習慣づけていくといいでしょう。
もっとも、この『ねこ体操』は、床に寝そべる必要がありますので、日中の外出時、足の裏の症状が出てきたときに、その場で行なうわけにはいきません。外出先などで「いますぐこの足裏の症状をどうにかしたい」という場合には『テニスボール踏み』を行なうのがおすすめです。
こちらは、読んで字のごとく、1個の硬式テニスボールを用意しておいて、症状が出たときに足の裏で踏みつけるエクササイズ。靴を脱ぎ、地面や床にボールを置き、何かにつかまりながら足裏でボールを踏みつけてください。踏む力に強弱をつけながらボールをごろごろさせて、足の裏をまんべんなくマッサージするといいでしょう。これを行なうと、マッサージの刺激によって神経の緊張がほぐれてくるので、出先でもわずらわしい症状を軽減させることができるはずです。
【ココがポイント!】
足の裏の症状には『ねこ体操』を習慣づけるのが有効。
外出先では『テニスボール踏み』を行なって症状撃退!
●ねこ体操
ねこのように腰を深く丸める体操で、脊柱管のスペースを広げる効果が期待できます。
1回1分が目安です。
●テニスボール踏み
脊柱管狭窄症からくる坐骨神経痛を解消させるための裏ワザメニュー。
足裏の症状がひどいときに行ないましょう。
脊柱管狭窄症で手術をしようか悩んでいる方は、ぜひこの『ねこ体操』と『テニスボール踏み』をお試しください。
次回の更新もお楽しみに。