老いるとはどういうことか。5つの老人病(痛風、前立腺肥大、高血圧、頸痛(けいつう)・腰痛、慢性気管支炎)に次々襲われた著者64歳の体験記。著者は痛みにどう対処したのか。余計な手術ばかりする整形外科医と、長生き推奨医の罪も糾弾する痛快エッセイ。――『老人一年生』(副島隆彦著)
街中、白髪の老人だらけ
私はまだ老人になったばかりの一年生だから、“年季の入った”老人たちが、お互いに本当は何を話しているのか、実のところまだあまり分かっていない。聞き取り調査をしたわけでもないので、私の自分の観察眼力(がんりき)の範囲で書いている。
高齢者が互いにいたわり合っているのかも分からない。老人になるほど、みんなバラバラでいろんな人がいて、「他人と口をきくのももうイヤだ」と偏屈(へんくつ)になっている人もいる。ゲートボール場では、みんな手術自慢をしている、という話を聞いたこともある。
それでも話し合える仲間がいるというのは幸せなことだ。仲間がいなくなってひとりでポツンと孤立している老人がたくさんいる。
ある日、「街中、老人ばかりだな」と悪態(あくたい)をついていたら、「ア、私も白髪(しらが)の老人じゃないか」と気づいて、タクシー運転手の老人と笑い合う、という経験もした。
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老人一年生
5つの老人病(痛風、前立腺肥大、高血圧、頸痛・腰痛、慢性気管支炎)に次々襲われた著者・64歳の体験記。老化のぼやきと、骨身にしみた真実を明らかにする痛快エッセイ。