いま話題の時代小説、「若旦那シリーズ」を生み出した佐々木裕一さんに特別インタビューを刊行。今までの時代小説にはいなかったヒーローを生み出し、数々のシリーズを手掛ける小説家の秘密と若旦那隠密の創作の裏側について伺いました。
ーー佐々木さんは、現在のように時代小説を書かれる前には、「激突!日米超空決戦」や「未来戦艦大和出撃」といった戦艦ものや架空戦記を書かれていらっしゃったそうですが、そのときのご経験が、時代ものを描くにあたって生かされていると感じることはありますでしょうか。
佐々木 戦記ものを書いたからこそ、今の自分があると思っています。
戦記ものの時に資料を読み漁り、歴史の勉強をしましたので、その時の経験は、江戸時代の文化を勉強することに活かされています。
ーー佐々木さんが書かれる時代小説は、「若旦那隠密」「公家武者」「浪人若さま」とタイトルの意外な組み合わせが面白く、どんな話なのかと想像が膨らみます。タイトルは、いつもどのように考えているのですか。
佐々木 シリーズのタイトルを決めるときは、悩みに悩むものもあれば、お風呂や洗面所で思いつくものもあります。なぜか、水場でアイディアが浮かびます。
ーー最新作「若旦那隠密」シリーズの主役・藤次郎は、江戸の大店である塩田屋の若旦那でありながら、隠密というダブルフェイスです。当初は、商人を主人公にした物語にする予定だったそうですね?
佐々木 取材の途中で、忍びか隠密の物語を、ということになり、それならば、商人と隠密を合体させようということになり、藤次郎が生まれました。
ーー品の良さとマイペースが魅力の藤次郎を描いていて、興奮するところはどこでしょうか。
佐々木 藤次郎はなんせお金を持っていますので、それをどう使うか考えるのは楽しいですね。現実ではできませんので(笑)。
また、ヒロインの夏のこと、将軍との駆け引き、典助との会話や、猫のこつぶのことを書くのは楽しいです。あと、興奮するところといえば、悪人を追い詰め、スカッと解決するところです。悪事を書くのも興奮します。(あぶないですね)
登場人物は、みんな一癖あるので、描いていて大変じゃないキャラクターはいませんね。
ーー藤次郎が仕える相手、将軍・家治はとても寛大で器の大きい人物です。10代将軍の家治を佐々木さんが選ばれたのは、なぜでしょうか。
佐々木 江戸文化が熟成して、商人が元気だった時代の将軍を、と思っていた時、
家治が将棋に熱中して、駒作りは名人級というのを資料の中でみつけて、家治から褒美としてもらう将棋の駒が揃えば侍を辞められる。というのが、物語の肝となりました。
ーー最後に、佐々木さんがお好きな時代小説、影響を受けた時代小説など、読者の方に
おすすめのものがありましたら、教えてください。
佐々木 今も時々読み返している、池波正太郎の剣客商売シリーズです!
これからの若旦那隠密シリーズがどうなるか伺ったところ、「ただ、一筋縄ではいかない。とだけ、申し上げておきます」と答えてくださった佐々木さん。
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