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猫は、うれしかったことしか覚えていない

2017.07.13 公開 ポスト

コウハイ、今日のうれしかったこと その2

1日中ずーっとベッドの中にいた。センねえたんとお昼寝した。鶏のササミを食べた。石黒由紀子/ミロコマチコ

『猫は、うれしかったことしか覚えていない』(石黒由紀子・文 ミロコマチコ・絵)発売を記念して、石黒さんちのコウハイ(野良出身・オス・6歳)に、日々の「うれしかったこと」を教えてもらいました。

 

見て、 こんなの被せられちゃって。でもね、これを被るとセンねえたんが「え! 誰なの、あなた?」みたいになって、ボクのことを匂いを嗅いだり、振り返って何度も見たりするのがおもしろかったの。ボクが被っているのは、7/25のワークショップで作るやつらしいよ。今日のうれしかったことは、かぶりものをはずしてもらったことよ、もちろん。

 

塀血圧。あ、低血圧? なんでもそれと眠気が関係あるらしいよね。あと、気圧? 気圧が低いと頭痛がするとか、だるいとか。低血圧は体質で気圧は自然現象。猫にもね「妙に眠い日」というのがあるよ。そんな日は、1日中ずーっとベッドの中にいるよ。眠いときに思い切り眠れるのは、うれしいよね。猫に生まれてよかったことのひとつだと思うな。


 

今日のうれしかったことは、センねえたんとお昼寝をしたこと。「くっついて眠ると同じ夢が見られる」って聞いたことあるけど、あれ、ほんとだよ。さっき、センねえたんとお刺身食べた夢みたの。ねえたんも見てたって。「あれ、おいしかったね。また食べたいね」って言ってた。夢の中であんなに食べたのに、目が覚めたらおなかペコペコ。現実ってつらい。

 

今日はね、ずっとボクの部屋にいたの。そう、このダンボールのことね。小窓もあってなかなか快適。ここで考えごとをしたりして。でもね、本当に誰もいないと寂しくなっちゃうの。だからね「うしろにセンねえたんがいるなー」とわかると安心して、うれしくなっちゃうのよねー。猫って、ひとりが好きだけど、だれか甘えさせてくれるひとがいないとだめなの。

 

最近「猫相が悪い」って言われるんだけど、正直なところどう思う? 「オトナの顔になった」って言ってほしいわけよ、ボクとしては。でね、今日のうれしかったことは、さっき、鶏のササミを食べたこと。茹で汁は夕ごはんのときにカリカリにかけてくれるらしい。お茶漬け的な感じになって、暑くてもサラサラ食べられちゃう。まぁ、食欲落ちてないけどね。


 

「猫は、うれしかったことしか覚えていない」出版記念
ミロコマチコの挿し絵原画展開催
【日程】2017年7月16日 ~ 2017年7月30日 まで
【場所】原宿 絵本が読める小さな喫茶店シーモアグラス  

 

関連書籍

石黒由紀子『猫は、うれしかったことしか覚えていない』

梅干しの種を飲み込んで、開腹手術を受けた猫のコウハイ。苦しかっただろうに、獣医師によると、「また、誤飲しますよ」。猫には楽しい記憶だけが残るので、種を転がしておもしろかったな、とは覚えているけど、苦しかったことは忘れてしまうそう。うれしかったことだけ積み上げて生きていく。そんな猫たちの、可愛くて笑えて、沁みるはなし。

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石黒由紀子

エッセイスト。栃木県生まれ。日々の暮らしの中にある小さなしあわせを綴るほか、女性誌や愛犬誌、webに、犬猫グッズ、本のリコメンドを執筆。楽しみは、散歩、旅、おいしいお酒とごはん、音楽。著書に『GOOD DOG BOOK ~ゆるゆる犬暮らし』(文藝春秋)、『なにせ好きなものですから』(学研)、『さんぽ、しあわせ。』(マイナビ)など。『豆柴センパイと捨て猫コウハイ』、『犬猫姉弟センパイとコウハイ』(ともに小社刊)は、幅広い支持を受け、ロングテールで人気。

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