幻冬舎plusで連載の大人気コミックエッセイ、うさきこう『ぼくのほんとうの話』が、幻冬舎コミックスから発売になりました。書籍化記念してうさきこうさんにインタビューにお答え頂きました。
——このたびは、コミックエッセイ「ぼくのほんとうの話」発売、まことにおめでとうございます。まずは、今作ご執筆のきっかけからここまでの経緯を簡単に教えてください。
元々は経験を下敷きにした創作としてオリジナル作品を作ろうと考えていたのですが、
掲載される誌面はあるのかと考えた時、ないなぁと思ったので素直に実体験をそのまま描いてtwitterに投稿してみたところ、反響があって、お声がかかりました。
——特に力を入れた描写、あるいはお気に入りのシーンやコマがあれば教えてください。
勝美くんに向かって大嫌いと叫んでいるけいとちゃんのシーンがお気に入りです。
全体を通して『少年の僕』という視点だけで話が進んでメリハリがなくなりがちだったので逆に『淡々と時間が進んでいっても楽しめる演出』というを僕なりに頑張ってみました。
あとはやっぱり正人くんをかっこよく描くことに力を入れています。
みんな正人くんを好きになれ〜って思いながら描いていました。
——実体験をこのエッセイに落とし込むにあたり、割愛したエピソードや脚色を加えた部分などがあれば教えてください。
実は僕は一卵性の双子で、同じ顔をした兄がいました。ですが、兄を出してしまうと一話12ページのこの作品では情報過多になってしまうので登場しておりません。
正人くんのかっこいいところについては、もっともっといっぱいエピソードがあるのですが、そうすると他の描かれていないクラスメート達にもキャラクターを作らないとバランスが悪くなるので描けなかったです……。
名前は少しもじってあるというのがほとんどですが、明日実ちゃんだけ名前がまるまる変えてあります。担任の先生は、高学年に入ってからは別の女性の先生に代わってしまったのですが、作中ではそのまま続投して頂きました。
12話以降でてくる大きな橋は本当は別の橋です。でも確かに大きな橋だったので
大きさが伝わるよう縦もダイナミックな橋で描かせていただきました。
——作中、年上の女の子からラブレターを受け取るくだりがあります。小学校時代に限らず異性からもさぞモテたのではと不躾にも想像してしまいますが、そんなときはどんなふうに対されたのでしょうか?
直接告白された時は『気持ちはとても嬉しいけれど、僕はその気持ちには答えられないんだ、ごめんね』と言ったことがあります。
女子にモテるという事を考えたことがないので、実は自分がモテていたのかもわからないです。でもそんな特筆するほどモテてはいなかったと思います(笑)
——正人くんをはじめ、明日実ちゃん、けいとちゃん、勝美くん、と魅力的なクラスメイトたちが登場します。現在でも交流のある方はいらっしゃいますか? あるいは、いま会えたらどんな話をしたいですか?
明日実ちゃんだけSNSで偶然再会して以来、交流があります。
いま会えたら、一人一人に小学校の卒業文集にあの頃の僕たちへなにか
一言書いて貰いたいです。
明日実ちゃんには、何をやっても敵わなくて嫉妬していたことを、
けいとちゃんには、一緒に少女漫画の話をしてくれてありがとうと、
正人くんには横顔と下がり眉が好きだったとさりげなく伝えてみたいです。
勝美くんはまだあるなら貸したままのゲームを返してください。
——作中、「大人になったこう君からカミングアウトされたお母さん」の描写がありますが、実際に告げた際、お母様やご家族とはじっくり話をされましたか? ご家族から聞いたその「思い」について、差し支えない範囲で教えてください。
じっくりと話はしなかったです、作中に描いたとおりの、言葉少なく、湿っぽい気配のまま会話が終わって今に至っています。彼氏を連れてきてねと実際に言われたけれど子煩悩な母なのでどんな恋人を連れて行ってもちょっと面倒なことが起こりそうで色々悩んでおります(笑)
——ここからは、うさきさん自身の創作活動について伺わせてください。
漫画を描き始めたきっかけと、デビューへの経緯を簡単に教えてください。
高校生の時、自分の部屋を見渡してみると漫画とゲームばかりがあったのを見て、どちらかに進んでみようと思いました。色々考えた結果、成績的に良い国語の力を活かせそうな漫画を選びました。
ティーンズ向けの少女漫画誌への持ち込み・投稿を長らく続けていましたがいい結果を出せずある日、少女誌の編集さんに『君は少女だった記憶がないでしょ?』と言われ、腑に落ちないけどぐうの音も出ないなと素直に購読していたボーイズラブ雑誌に持ち込みを始め、今に至ります。
——覚えていらしたら、初めて読んだボーイズラブ作品とそのときの印象や感想を教えてください。
15歳ぐらいの頃に門地かおり先生の初期作品を買ったのが最初でした。かわいくてセクシーでドキドキしながら読んでいました、ファンレターを書いたけど出せずじまいです。
——(漫画に限らず)好きな作品・影響を受けた作品を教えてください。具体的にどのような点で影響を受けたと思われますか?
大島弓子先生が黒目ををぐるぐると描いていらっしゃって、夢見がちなその気配が大好きです。なので、僕も目の中をぐるぐると描いています。
あとは水彩画家の林真理さんという方の絵が大好きで、この方のような表現を僕なりに漫画で表すことはできないかといつも考えながら絵を描いています。
——今後どういった作品を描いていきたいですか?
オリジナルストーリーを色々描きたいです。
——ありがとうございました。それでは最後に「幻冬舎plus」にてこのインタビューをお読みいただいている読者さんへ、メッセージをお願いいたします。
読んでくださってありがとうございます。
『ぼくのほんとうの話』はつたない実力ではありますが、子供も大人も読めるような作品を目指しました。
是非是非まわりの人たちにも薦めていただけたら幸せです。
■■作品情報■■
『ぼくのほんとうの話』うさきこう(著)
ゲイでBL漫画家のうさきこう。可憐なビジュアルでも注目を集める彼が、自身の少年時代の〈初恋〉について紡ぐコミックエッセイ!
A5判/本体価格1000円+税
発行 幻冬舎コミックス
・紙書籍 購入はこちら(Amazon)
https://www.amazon.co.jp/dp/4344840240/
・電子書籍 購入はこちら(Amazon Kindleストア)
https://www.amazon.co.jp/dp/B073PSMFS6/
■■イベント情報はこちら■■
・第26 回レインボー・リール東京(東京国際レズビアン&ゲイ映画祭)にて、うさきこうサイン会&複製原画展 開催!
http://www.gentosha-comics.net/news/2017/06/17062320.html
・ブックファースト新宿店にて、うさきこう×新井祥 合同サイン会開催!
http://www.gentosha-comics.net/news/2017/06/16063020.html
「ぼくのほんとうの話」男性BL作家が打ち明ける、初恋のことの記事をもっと読む
「ぼくのほんとうの話」男性BL作家が打ち明ける、初恋のこと
「自分のセクシャリティに気づくタイミングはいろいろあると思うけど、僕の場合は、性欲が芽生える思春期より前—— 一目惚れでした。ということで、僕の実体験を漫画にしてみました」
LGBTのG(ゲイ)でBL(ボーイズラブ)漫画家のうさきこう。可憐なビジュアルでも注目を集める彼の、いたいけな少年時代の〈初恋〉のお話です。