ハッカーといえば、コンピュータマニアによる愉快犯……そんなイメージを持っているとしたら、大間違い!
現代のハッカー事情を知ってしまえば、のん気に無関心ではいられなくなるはず。にもかかわらず、メディアは、まったく正確に報道をしていない(というより、できていない)のが現実。
話題の新刊『サイバー犯罪入門 国もマネーも乗っ取られる衝撃の現実』より、意外な現状について紹介します。
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◆ハッキング・ビジネスは、今や「ノーリスク・ハイリターン」の夢の職業!?
今や「ハッキング」は“ビジネス”である。しかも、恐るべきことに、ローリスク(もしくはノーリスク!)・ハイリターンという、“魅力的な職業”の一つとなってしまった。
ハッキングしたい(=ハッカーになりたい)という動機は、いろいろとあるだろう。例えば、「経済格差や就職難から抜け出したい」「より多くの収入を得たい」といった、経済的動機。または「政治的な主張を行うため」ということもある。そもそも、国家の支援を受けて行われるものもある(ショッキングなことだが)。
いずれにしても、その「目的を達成する手段」としてハッキングが有効である、と考えて“行う”のである。
日々、「銀行がハッキングされ、多額の現金が窃取されました」とか、「政治家のメールがハッキングされ機密情報が漏洩しました」といった、サイバー犯罪に関するニュースがメディアを賑わせているが、その背景として、多くの場合に、経済的もしくは政治的な動機が存在する。かつてのように、知的好奇心やイタズラ半分でハッキングされることはほとんどない(インターネットの初期には、ハッカーといえば、自分の知識や能力をひけらかす“愉快犯”的なものが普通だった)。
ニュースを見れば分かるように、我々の日常は、様々なサイバー犯罪の脅威に晒(さら)されている。しかし、多くの人たちは、「なぜこのような事件が起こっているのか」「なぜ犯人はこんなことまでできてしまうのか」「自身の持っているパソコンも本当は危ないのか」といったことに関しては、説明もつかないし、想像もつかない、というのが正直なところではないだろうか。
一つ断言できることは、現代においては誰もが、「最新の技術」さえあれば、ジェームズ・ボンド(映画「007」シリーズの主人公)のように、たった一人で華麗に巨悪と戦うことができるし、信じられないような悪党にでもなれる時代を生きている、ということだ。
「サイバー犯罪」を理解できていないまま報道するメディア
筆者は本書執筆にあたり、サイバー犯罪の事例について認識の誤りがないよう、これまで各種報道されてきた記事なども、複数の方法で確認した。
多くの報道内容を確認していくなかで、プレスリリースをインターネット翻訳しただけのような、どの角度から読んでも全く理解できない文章を多々見かけることとなった。用語が混同されていたり、製品名と通信プロトコルの名称が混同されていたり……というのが主な要因だと思われるが、残念なことに、大手報道機関の文章にも、そういった誤りが散見されたのである。
だが、これも仕方ないと言えなくもない。というのも、もはや、単に「ITに詳しいだけ」ではサイバー犯罪やセキュリティについて読み解き、説明をしていくことは難しい、というのが実情だからだ。
最近、自動車の自動運転が話題となることが増えてきている。それと並行して、自動車もハッキングされて遠隔操作されてしまうという研究報告も出ている。自動車のハッキングについて理解するには、自動車に関する基礎的な知識、自動車のIT化に関する知識に加え、ハッキングに関する知識やネットワークに関する知識なども総合的に必要となる。そのため、いずれかの領域の専門家であったとしても、全体像を正確に理解することは容易でない。理解そのものに時間を要するようになってしまった今、それを、分かりやすく一般に向けて解説することは、あまりに難しい。
このように、それなりに知識があるはずの「情報を伝える側」にさえ難しいのが、この世界なのだ。当然ながら、情報を受け取る側にとっては、一層難しい。
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サイバー犯罪入門 国もマネーも乗っ取られる衝撃の現実
今年の5月、6月と、世界規模の大きなサイバー攻撃があったことは、記憶に新しい。
チェルノブイリの原発までもが一時停止してしまうような、危険なものだったにもかかわらず、我々日本人の多くは危機感が薄い。
しかし、いまや、世界のいたるところ――特に貧困層の多い国で、優秀なハッカーがどんどん生まれ、組織化され、場合によっては、犯罪組織やテロリスト集団に組み込まれていいて、世界中をターゲットに、何十億もの大金を得ている。
もはや、サイバー犯罪は、「ノーリスク・ハイリターン」のビジネスと化している!
我々は、「なんでもネットで調べればわかる」と思ってしまうが、実は、サイバー犯罪について正しく理解している人は少なく、メディアでさえ、誤った報道をしているケースが多いのが現実。
本書には、ネットでは読めないことがたくさん書かれています。自分の生活を守りたい現代人、必読の一冊ができました!