どれくらい、現代の日本において、我々国民の生活は「守られていないのか」。
話題の新刊『サイバー犯罪入門 国もマネーも乗っ取られる衝撃の現実』では、恐ろしい現実が明らかにされています!
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◆ネットに繫がっている限り、あなたはずっと「監視・追跡」されている!
監視や追跡をされることに、強い拒否反応がある。プライバシーは侵害されたくない。──これについては、サイバー犯罪に従事する者に限らず、誰でも同じだろう。
JR東日本が2013年に、「Suicaの利用状況のデータ」を販売した。もちろん、個人が特定できないよう匿名化した上であり、駅エリアのマーケティング情報として活用できるようにという目的である。すると、「プライバシー侵害に関する懸念」から騒ぎになり、販売開始から1ヶ月足らずで販売中止となった。
また、2014年には、情報通信研究機構(NICT)が、「約90台の監視カメラを大阪駅ビルに設置する」「そのカメラによって顔を自動識別し、人の流れを解析する」という実験を行うことを発表した。この実験の目的は「施設内での動きや滞留状況を把握する」ためである。この実験においても同様に、「特定の個人が識別できない形に処理した上で、分析を行う」とのことだったのだが、プライバシー侵害に関する懸念が高まったという意見が多く、実験開始の1ヶ月前になって、急遽実施が延期されることとなった。
しかし、日頃あなたが活用している無償のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)やメッセージング・サービスなどではもはや、匿名化した上で、行動データなどが他の事業者へ販売されている場合もあることに気付いているだろうか?
ちなみに、これらのサービス(SNSやメッセージング・サービス)は、今後ますますインターネットを介して、様々なサービスと連携していくことになるだろう。すると、SNSやメッセージング・サービスを運営する企業は、サービスを提供する一方で、精密な顧客データをどんどん蓄積していくことになる。こうしたデータは様々なビジネスが欲しているため、その価値と価格は向上する一方である。
少しイメージがしにくいかもしれないので、具体的な話をしよう。普段からインターネットに接続している「あなた」。ウェブサイトの運営者側は、そのあなたについて、どの程度知ることができるのだろうか?
あなたは「天気 東京」というキーワードで、グーグルやヤフー!などの検索サイトから天気予報サイトにたどり着いた。そして「東京都港区」の天気予報ページを長い時間見ている──としよう。
すると、「あなたは今、東京都港区にいる」もしくは今日これから「東京都港区を訪れる」など、何らかのヒントをウェブサイトは得ることができる。このような情報をウェブサイトが拾い上げるシステムは既に当たり前のごとく機能しているので、ウェブサイトの横には、港区の飲食店のクーポン券などが表示されているかもしれない。まさに一刻一刻あなたは「マーケティング」されているのである。
その他にも、「あなたが今、この情報をパソコンから見ているのか、スマホからなのか」「WindowsユーザーなのかMacユーザーなのか」といったことを拾い上げ、画面のデザインをより見やすいものにする、という仕組みもある。スマホの電池残量も分かるので、電池が少なくなってきたら、近隣でスマホの充電を行えるカフェの広告を表示することも可能だ。
◆「あなたが今いる場所」は、Wi-Fiで「特定」できる!
“ハッカー”が、いざ、あなたの居場所を探そうと思ったら、あなたが利用しているプロバイダーや携帯電話から、その基地局やIPアドレスを割り出せばいい。それをもとにすれば、数百メートルの誤差で「あなたの居場所」を調べることができる。概ね「何町の何丁目」にいるのかくらいは分かる。
さらにもっと居場所を「特定」したい場合はどうするか。居場所の特定に使われるのが、GPSデータなので、GPSがあればいちばんいい。しかし、屋内や地下にいてGPSの電波を拾いにくい場合や、そもそもGPSが搭載されていないパソコンなどの場合はどうしたらいいのか。
都市部や商業地域、住宅街などの場合は、Wi-Fiを用いて正確な位置を調べることができる。
Wi-Fiを使って位置を知る方法を見てみよう。
スマホやパソコンでWi-Fiの設定画面を開くと、今電波を拾っているWi-Fiルータの一覧が表示される。そして、その横には、扇のような形か、数本の階段状になった棒が表示されることで、電波の強さが表示されているはずだ。
詳細を言うと難しくなるので、簡単に説明すると、「複数のWi-Fiルータからの距離を電波の強さをもとに算出し、それぞれのWi-Fiルータの描いた円が交わる場所が、今あなたのいる場所」である。
しかし、Wi-Fiルータは、決まったルールに基づいて置かれているわけではないことに気付くかもしれない。オフィスや個人宅などの様々な場所に置かれているため、円を描く際の中心を決めることが難しいのではないか!? と。
ところが、このような心配は不要である。既に、GPSや携帯電話基地局などの情報と紐づけて、ほぼ正確なWi-Fiルータの位置をデータベース化してくれている企業があるため、そのデータベースからWi-Fiルータの位置を知ればよい。
この方法も非常に精度が高く、私自身、東京駅前の丸ビルでGPSのないパソコンを用いて試してみたところ、何階のどの会議室に私がいるのかということを、すぐに割り出せた。
人里離れた山の中など、Wi-Fiの電波がないところでは使うことができないが、多くの電波が飛び交う都市部や商業地域、住宅街などでは有効性の高い方法である。
ただし、ウェブサイトを見ているからといって、即座にWi-Fiを用いてあなたの居場所を探し当てることはできない。この方法を用いるには、あらかじめ専用のアプリなどをインストールしてもらっておく必要がある。
といっても、それはさして大きな問題ではない。マルウェアに仕込んで、ウェブサイトからそのアプリをダウンロードさせたり、フィッシングメールに添付して送ったりすれば良いのだから。
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サイバー犯罪入門 国もマネーも乗っ取られる衝撃の現実
今年の5月、6月と、世界規模の大きなサイバー攻撃があったことは、記憶に新しい。
チェルノブイリの原発までもが一時停止してしまうような、危険なものだったにもかかわらず、我々日本人の多くは危機感が薄い。
しかし、いまや、世界のいたるところ――特に貧困層の多い国で、優秀なハッカーがどんどん生まれ、組織化され、場合によっては、犯罪組織やテロリスト集団に組み込まれていいて、世界中をターゲットに、何十億もの大金を得ている。
もはや、サイバー犯罪は、「ノーリスク・ハイリターン」のビジネスと化している!
我々は、「なんでもネットで調べればわかる」と思ってしまうが、実は、サイバー犯罪について正しく理解している人は少なく、メディアでさえ、誤った報道をしているケースが多いのが現実。
本書には、ネットでは読めないことがたくさん書かれています。自分の生活を守りたい現代人、必読の一冊ができました!