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自撮りIT女子 vs 格闘家「異種格闘技対談」

2017.08.03 公開 ポスト

第1試合

表現するために「マスクマン」と「素顔」の二面性があるのがあたりまえ青木真也(総合格闘家)/りょかち

自撮り女子・りょかちの書籍『インカメ越しのネット世界』の出版を記念して、格闘家・青木真也との対談が実現しました。自撮りと格闘技という、まさに異種格闘技対談!?  聞き手に編集者・箕輪厚介を向かえ、2人の意外な共通点をあぶり出します!

青木真也(以下 青木) りょかちさんは、なんで自撮りを公開し始めたの?

りょかち 学生の時たまたまアプリで自撮りを撮ってみたら、むちゃくちゃ可愛く撮れたんです。それで、本物の自分と違いすぎて面白くね?と思って最初はツイッターにアップしました。正直ウケ狙いです。そしたらみんな「いいね!」をくれて、この遊び方は面白いなって思ってハマりました。ちなみに初めての自撮り写真が『インカメ越しのネット世界』にも載せたコレです。

りょかちの初自撮り

青木 可愛いな。アイスのやつ。

りょかち そうです。ちょっと髪が濡れてる感じも色っぽいかなと狙ってます。

青木 ちなみに自撮りUPする時の言葉も意識してるんですか?

りょかち めっちゃ意識してます。カタカナをわざと多めに入れたり。わざとITっぽい言葉を入れたり、レガシーだったりとか。

青木 引っかかるやつを入れるわけですね。

箕輪厚介(以下 箕輪) りょかちさんと青木真也さんとの共通点で言うなら、もう一人の自分がいることんでしょうね。先日青木さんはちょっとある人に苛立っていて、それで関係のないプロレスラーと乱闘して首締めて落としたりしたんですよ。八つ当たりして関係ない人の首絞めるみたいな(笑)。でも「あれは青木がやったことだから、俺に言われても困る」みたいに青木さん言ってましたよね。もう一人の自分みたいな感じで。

青木 僕、文句言われても「あれは青木がやったことなんで」ということが多々あります。

りょかち やばい。確かに自撮りと同様に、記事を書いていても、どこか「りょかち」というキャラクターが言葉を話しているんだという気持ちがどこかにありますね。

青木 簡単に言うとマスクマンなんですよ。青木って言うマスクマンなので、そりゃしょうがないですよね。

りょかち そうですね。私も自撮ラーのりょかちは、ある意味マスクマン、アバターだって気持ちでやってます。ちなみにそのスイッチが一番切り替わる瞬間ってどういう時ですか?

青木 入場でリングに入って、お客さんの前に立ったら違います。僕は完全に非日常の仕事をしてるんですよね。なんていうかな、リングの中では何をやってもいいわけですよ、表現だから。

そこには倫理観とかないんです。何されるかわからないし、何を言ってもいいし。何を言っても表現なんですよ。

でも最近オレは今の格闘技がダメだと思った理由があって。それは結局控室とリングの表現がつながってる部分なんです。それが延長線上だと思っている選手が多いので、リング上で揉めたことが、控室に戻っても揉め事になっちゃうことがある。そうなるとリング上でお互い気を遣っちゃっていい試合にならないことが多い。なので僕はリングと控室は地続きじゃないと考えるようにしてるんですよ。

りょかち 完全に切り替える、切り分けるんですね。

青木 何をやってもいいと思っているから、そこの認識の違いで揉めることがよくあって。リング上でこのやろーてめーってやっても、控室に戻ってどうもお疲れ!って明るく言うとびっくりされることが多い(笑)。

りょかち なるほど、ちなみに私も確かにスマホのインカメラを覗くと、よく周りのみんなから自撮りスイッチ入るって言われます。私の場合は無意識かもしれないですが。ちなみに青木さんは『空気を読んではいけない』の中でリングのこと作品って言っていましたよね。

青木 作品です。なんていうかな、表現の場。決められたルールの中で何を出すか。極論ですが枠の中から出ちゃダメなんです。でもちょっとはみ出すのは表現のウチだと思ってます。ちょっと外れても、完全に外れなければちゃんと戻ればいい。ストーリーから外れても結局戻せばいいんです。

箕輪 ちなみにりょかちさんは青木さんのリングみたいに、自撮りの時は切り替わるかもしれないですが、文章をを書く時って切り替えてるんですか? 

りょかち 記事を書く時も切り替えてます。もちろん自分が思っていることを書いているんですが、それよりも若いIT好きの女の子が何を書けば、読んだ人に自分の本当のメッセージを伝えられるかを意識してますね。どうやったら世の中に発信したいことがうまく伝えるかの方が大事で、それを「りょかち」というアバターに書かせているという感覚です。

箕輪:そうするとテキストの表面上は、意外と本心とズレていることもあります?

りょかち 確かにスタンスはちょっと嘘をついていたりしますね。この本の中でサブアカウントを持っている女子高生を気持ちが正しくて、それを揶揄している大人は頭がおかしいみたいなスタンスを取っています。だけど本心はそこまで強くはおもっていないです。若者代表として、大人を批判するほうが伝えたいことが伝わりやすくなるし、読んだ人にとっても面白いだろうとかを考えて書いた結果、「大人は頭おかしい」っていうスタンスをとりました。

青木 そのうち本の中でこういってたじゃんお前!とか、これから言われるようになるかもですね。

りょかち そういう時は、りょかちが言ったことは関係ないよって言えばいいですかね?

青木 その通り。うるせえバカって言えばいいよ。てめえう◯こ食ってろって(笑)。

りょかち (笑)正々堂々言えばいいんですか?

青木 表に出るってことって、必ず批評にさらされるんことなんです。なのでああだこうだ言われたところで、無視でいいです。

りょかち 青木さんの本にも書いてましたね。他人の言ったことは無視、どうでもいいって。

青木 美味しくいじってくれて、火をつけて遊んでくれたらいいんです。

りょかち 青木さんは批評とか悪いこと言われるのがむしろ自分のモチベーションになってる?

青木 はい、なので最近はあまり叩いてくれないなあと思ってます。

りょかち むしろ求める感じですか? エゴサーチして自分への悪口をむしろ自分の燃料にしているって以前インタビューでおっしゃていましたよね。

青木 そのとおりです、なので面白い叩き方してほしいなと思います。

りょかち むしろ炎上させたいみたいな。

青木 はい、そうです。でも恥ずかしいのはやだなあ。エッチが流出するとか。
結構エモーショナルなんで、ギャップがありすぎてエッチだけは見せたくない。あと女を口説いているところとか。

りょかち エモーショナル(笑)。

青木 リング状の青木真也は、すごい攻撃的ですごいサディスティックなんだけど、プライベートになるとすごいMみたいな気質を見られたくない。

りょかち ワンワンになっちゃうんですか?

青木 ワンワンですよ(笑)。ほんとそうなんですよ。そのギャップを見せたくなくて。この自撮ラーりょかちと今普通にしているりょかちを見せたくないでしょ?

りょかち そうですね。見せても面白くないよなって気持ちがあります。キャラクターをSNS上で出すことは実験で、だからこそ統一させたい。無駄なノイズは出したくない。外に出している自分と、本当の自分がいる状態を楽しんでいるという意識もありますね。

(つづく)

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『インカメ越しのネット世界』を出版した自撮り女子 りょかちと、格闘家で『空気を読んではいけない』などの著作でもおなじみの格闘家 青木真也の異種格闘技対談が実現。聞き手に編集者 箕輪厚介を向かえて二人の意外な共通点をあぶり出す!

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青木真也 総合格闘家

1983年5月9日生まれ。静岡県出身。小学生の頃から柔道を始め、2002年に全日本ジュニア強化選手に選抜される。早稲田大学在学中に、柔道から総合格闘技に転身。大学卒業後に静岡県警に就職するが、2カ月で退職して再び総合格闘家に復帰。「DREAM」「ONE FC」で世界ライト級王者に輝く。

りょかち

1992年生まれ。京都府出身。神戸大学卒。学生時代より、ライターとして各種ウェブメディアで執筆。「自撮ラー」を名乗り、話題になる。新卒でIT企業に入社し、WEBサービスの企画開発・マーケティングに従事した後、独立。コラムのみならず、エッセイ・脚本・コピー制作も行う。著書に『インカメ越しのネット世界』(幻冬舎刊)。その他、幻冬舎、宣伝会議(アドタイ)などで連載。

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