「インターネットで一番数字を持っているライター」と呼ばれるヨッピーさん初の本『明日クビになっても大丈夫!』が発売になりました。爆笑しつつも大共感、そして仕事について改めて考え直すきっかけとなる本書の試し読みを少しずつ掲載していきます。第九回は、副業を本業にしたいなと思った場合、どれくらいの算段ができれば会社をやめてもいいのか、その見極めについてです。
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そんなわけであなたが「これだ!」と思える副業を見つけ、そこそこお金が稼げはじめたとする。「じゃあこれを一生の仕事にしよう」と思えた時、どのタイミングで仕事を辞めればいいのか。条件を書いておこうと思う。
・会社員をしながら、副業で月に10万円以上稼いでいる事
「月10万円のハードル」みたいなものはあると思う。ただし瞬間最大風速ではなく、安定的に月10万円稼げるかどうか、である。半年くらい10万円を切らない月が続いたら条件クリアと見ていい。会社員として使える時間、平日の夜や土日限定で月に10万円稼げるのであれば、会社員を辞めてその時間を事業に突っ込んだら普通はもっと稼げるからだ。
ただし週末が稼ぎ頭になるDJやイベント系の仕事ならその限りではないかもしれない。「週末だけで月収超えるな」くらいの感覚になるまで待とう。とは言いつつも、僕が会社を辞めた時は衝動的に辞めたので、ライターとしての収入なんてその頃は4万円くらいのものであった事は改めて書いておきたい。そんな状態でよく辞めたな、と自分でも思う。
・1年間生活出来るだけの貯金がある事
具体的に言うなら独身者で300万円くらいだろうか。収入一切なしでも、とりあえず1年やっていける、くらいの貯金は絶対に貯めておいた方がいい。ある程度の余裕がないと単価や条件の悪い仕事を受けざるを得なくなり、前述した「稼げずの谷」にハマってしまう可能性が高いからだ。
300万円の貯金があって、月に10万の収入があるのであれば1年とは言わず2年くらいは過ごせると思う。逆に言えばその2年が経ってもサラリーマン時代の月給以上に稼げず、上がる見込みもないのであればすっぱり諦めてサラリーマンに戻ってまた次のチャンスを待つ方がいい。
・身軽になる事
具体的には月あたりの支出を少なく抑える事だ。既婚者より独身の方がいいだろうし、家賃などの固定費も安い方がいい。地方に住んでいて車必須、というのでない限りは車だって処分した方がいいだろう。仮に貴方がいわゆる高給取りで、サラリーマンとして毎月100万円の収入があって、かつ生活レベルもそれなりに高いのであれば、起業なり独立なりをする前に安い家賃の家に引っ越し、車を売り払うなどしてなるべく身軽になろう。
僕は元々物欲も少なく、「いい家に住みたい」「いい暮らしがしたい」という感覚が欠如した人間だったので、この辺に関しては最初からクリアしていた。会社を辞めて渋谷に引っ越してからも、だいたい月に15万円くらいの収入でなんとかやっていけるような生活スタイルである。詳細を書くとこんな感じである。
家賃:7万9000円 渋谷区道玄坂10畳1K
通信費、光熱費:2万円
その他:5万円
正確には15万円を超すような月もあったように思うけど、その辺は貯金を切り崩したりで過ごしていた。「お金」というのはゲームで言うところのヒットポイントのようなもので、ヒットポイントは多いに越した事はないし、毎月ジワジワそのヒットポイントを削っていく家賃や車というものは手放した方が生存率は上がる。「でもこの生活を手放したくないんだけど」くらいの感覚であるなら、たぶんサラリーマンを続けていた方がいいと思う。何度も書いているように、会社員を続けながら副業で自分の趣味を追求するレベルでもじゅうぶん楽しい人生は送れるからだ。
以上の三点をクリアした段階なら会社を辞めてもかなりやっていける確率が高いと思う。もちろんその副業が、会社員時代の仕事より「楽しい」と思える事が大前提だけど。特にこの、「副業で月に10万円の収入を継続」っていうのは本当に意識するべきで、例えば一日で2、3万円がたまたま儲かったからと言って、そのまま「一日で3万円儲かったなら、月に20日働いたら60万になるな。よし! じゃあ会社員辞めよ!」ってなるのは明らかにリスクが高い。というかその計算はバカが解いた計算ドリルである。「やっていけそうだ!」と思えるまでは会社員という身分にしがみついたまんまあれこれ試行錯誤するのが賢いやりかたのはずだ。かじれるスネは限界までかじろう。
明日クビになっても大丈夫!
「ウェブで一番数字を持っているライター」と呼ばれているヨッピーさん、初の書籍『明日クビになっても大丈夫!』が発売になりました!面白いのに超マジメで使えるビジネス書になっています。発売になったばかりの本書から、少しずつですが試し読みを掲載していきたいと思います。