怒っていいことは一つもない。2018年からの自分が変わる! ためない。爆発しない。翻弄されない。怒りをコントロールできる大人になる24のメソッド。『もう怒らないレッスン』和田秀樹著(幻冬舎文庫)
心配が怒りに変わる
「毎日、娘の帰りが遅い。年ごろなのに……」
そんな心配をしているお父さん、お母さんも多いでしょうね。
「何時ごろに帰るの?」
はじめのうちは、そんなメールをすると、「もうすぐ帰るから心配しないで」と返事が来たりします。でも、毎日毎日、「何時に帰るの?」なんてメールが届くのは、娘さんとしても「ウザい」ですから、あるときから返事が来なくなります。
そうなると、待つ親にしてみればイライラしてくる。怒りが収まらなくなります。
「あいつは何時に帰ってくるんだ!」
「知りませんよ、そんなの。あなた、メールしてみたらどうですか」
夫婦の間にも怒りの嵐が巻き起こりはじめます。
「なんで、俺がしなきゃいけないんだ。お前がしろ」
「メールしても、返信なんかありませんから。私にばかり押し付けないでください」
そんな調子で、今度は夫婦ゲンカがはじまることもあります。
イライラ、カッカ。帰ってこない娘には腹が立つし、夫は妻に対して、妻は夫に対して、怒りが膨張していきます。夫婦で怒りをぶつけ合ったところで、娘が早く帰ってくるわけではありません。むしろ、夫婦の怒りのほうが大きな問題ですね。
怒りの制御装置「皮質」は、酸素が大好き
家族の怒りが充満しているような家は、娘さんにとっても居心地がいいはずがありません。家族と顔を合わせたくありません。遅くまで外にいて、帰ったら、お風呂に入って、部屋に戻って、さっさと寝てしまいたい気分にさせられます。
子どもとしては、両親の不愉快な顔は見たくないし、説教なんか聞きたくない。もちろん、原因が自分であると感じていても、自分の好きなようにやりたいのです。両親の理屈は通用しません。誰もが経験で知っていることではないでしょうか。
怒りを発生させるのは、大脳辺縁系と呼ばれる原始的な脳です。序章でも述べていますが、この脳の作用だけなら、怒りが発生すると、すぐに暴力といったように、感情が行動に出てしまいます。
しかし、人間には大脳皮質という理性的な脳があります。その脳が「人を殴っちゃいけない、ここは我慢のしどころだ」と、ブレーキをかけるのです。皮質が正常に働いていれば、怒りを感じても、それが行動に移ることは防げます。
では、どうやってこの皮質の働きを促せばいいのでしょうか。
その決め手は「酸素」です。この皮質、怒りなどで感情が高まっているときや不安が強いときなどには、酸素が不足していて窒息状態になっていることが、実験でわかっています。すぐに怒鳴りつける夫とか、ヒステリックになる妻は、皮質の酸素不足の場合が多いと考えられます。
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もう怒らないレッスン
ためない。爆発しない。翻弄されない。怒りをコントロールできる大人になる24のメソッド。