子育てが一段落したから、旅をしたい。そう思って、準備運動的にツアーに参加。苦手な集団行動だけど、「郷に入っては郷に従え」と唱えながらの旅行で、出会った人、見た景色、感じた風は……。待望の旅フォトエッセイ『こういう旅はもう二度としないだろう』から試し読みをお届けします!
ツアーはもういいって言ってなかった?
言ってた。でも、これを申し込んだのはベトナムツアーより前。それにこれは普通のツアーじゃないの。なぜこのツアーに申し込んだのか。
さかのぼること3ヶ月。
その頃私はクリスタルボウルという、クリスタルでできたボウル状のものを打って出すボーンという音に興味を持っていた。低く響くところがよくて。
それでクリスタルボウルの演奏会を探して何度か出かけた。
ある時の演奏会で、ヒーリングライアーという木製のお琴のようなハープのような楽器も一緒に演奏されていた。その音を聞いて、その演奏家の方の話を聞いて、私はとても興味を持った。その楽器は、木製の本体を自分で削るところから始まるのだそう。手をかけ時間をかけて作り上げ、それを奏でるという、なかなか気持ちのこもりそうな楽器だと思った。
そして、そのヒーリングライアーをちょっと私も作りたいなあと思い(作らなかった)、次のワークショップがどこであるか調べていたところ、このニュージーランドの「火と水のセレモニーツアー」の案内を見つけたのだ。
「2014年10月、50年に一度行われるワイタハの水の集会で、177年ぶりに羽黒山伏の手によって東のゲートに火が灯された。その火のエネルギーを灯し続け、環太平洋に繋(つな)ぎ広げるためにも2016年2月に再び集会が行われます。今回は、中米のマヤ族からグランドマザーが来て下さりマヤの火+ワイタハの火で儀式を行い西のゲートを活性化します。そして、ゲストの講話や音楽・踊りで楽しみます」。壮大だ。
ワイタハ族の長老というのは「幼少の頃よりシャーマンになる為に祖父母に育てられ、3歳の頃に洞窟で地中に3日間埋められる死の儀式を受ける。ワイタハの伝統を教えるシャーマンである。龍のお世話をするドラゴンケアーテイカー」と書いてある。日本にも来て龍の学校を何度か開催したことがあるそう。
ううむ。
なんかよくわからないけど。おもしろいかもしれない。
スケジュールをよく見ると、現地集合で8泊9日、セレモニー以外にもマオリ族の祝典に行ったり、岬や洞窟を見たり、オプションでドルフィンクルーズもあるというので観光もできそう。ただ気になるのは、ワイタハ族の聖なるマラエという集会所に6日間も宿泊することで、寝袋持参、全員で雑魚寝、と書いてある。
いったいそこはどんな世界なのだろう?
しばらく考えた末、こんな機会はもうないだろうと思い、行ってみることにした。詳しいことは何も知らないけどそれもすべてお楽しみということで。
そう。流れにまかせて生きよう。
なおこのツアーはスピリチュアルなツアーです。郷に入っては郷に従えで思い切り浸ってみます。