子育てが一段落したから、旅をしたい。そう思って、準備運動的にツアーに参加。苦手な集団行動だけど、「郷に入っては郷に従え」と唱えながらの旅行で、出会った人、見た景色、感じた風は……。待望の旅フォトエッセイ『こういう旅はもう二度としないだろう』から試し読みをお届けします!
スピリチュアルなツアーはやっぱり合わない、次は秘境だ!
と思ったけど、1月にもう次のツアーの予約をしてしまっていた私。それはスリランカの仏教美術をめぐる旅。
秘境専門の旅行会社S旅行のツアー案内をいろいろ見ていたら、3月のこのツアーが目に留まった。仏教にはまったく興味がないのだが、「秘境添乗員カネコさんが同行」と書いてあって、そのお写真を拝見したらとても真面目でやさしそうで信頼できそうな素朴な男性だったので決めた。興味のない仏教のお寺や歴史をカネコさんから学ぶ修学旅行だ。これをきっかけにして興味を持つかもしれない。楽しみ。
私は人生の幸不幸の総量は最終的にはだれもがプラスマイナスゼロになる、と最近は思っている。そのスケールは人によって違うけど。そうじゃないかなと思って、ひとりひとり検証してみても、やはりそう思う。なのであまり他の人がうらやましくなくなった。
話は変わるが、スピリチュアルな世界の人たち同士というのはジャンルが変わるとまったく話が合わない。というのもそれぞれにやってることによって世界の成り立ちが違うから。神さまみたいな存在や、世の中の構成、大事な人やものの呼び名が違うので、あるひとつのことを信じ切ってる人と話すと、一方的に聞かされるだけになる。だからおもしろくないんだなあと思う。
私はスピリチュアルなことは大好きだけど、あまりにも種類が多く、その世界は広大だ。どこかのグループに属せば仲間はできるけど、そこは閉じた世界なので、狭い世界になってしまう。宗教と同じで、入れば仲間、入らなければよそ者。でも組織化された集団になると、どうしてもやがて純粋さを失っていく。だから私はひとりで自分の考えを抱き続けよう。所詮、スピリチュアルの道は孤独なのだ。
ということで今回は修学旅行へレッツゴー。
2016年3月5日(土)1日目
早朝、成田エクスプレスで空港へ。
前回までは乗り場が近かったのでホテルのリムジンバスを使っていたけど、他のホテルも回るので時間がかかりすぎることがわかり、やめた。
9時15分にスリランカ航空のカウンター前で待ち合わせ。カネコさんがいた。資料をもらって各自でチェックインの手続きを済ませ、ふたたび集合して、そこで今回の参加者の方々と顔合わせをした。私を入れて全部で8名。少人数でよかった。初めての人ばかりでまだ顔もよく見れない。
出発まで休憩していたラウンジでカレーを少し食べた。
11時15分、スリランカのコロンボへ直行便で出発。所要時間約10時間。機内食のカレーをおいしく食べ、夕方の6時頃到着した。
まず空港の銀行でみなさんと共に両替を少々しとく。2万円分。それから現地ガイドのマンジュラさんと挨拶。外は蒸し暑く、南国に来た、と思った。
バスで近くの「タマリンド・ツリーホテル」へ移動する。
平屋の素朴なロビーで人も少ない。ウェルカムのタマリンドジュースをいただく。おいしい。
部屋は離れ形式だった。芝生の庭を荷物を引いて歩く。ひとり部屋を希望したので、離れにひとり。部屋は古く、シャワールームが広い。豪華っていうのじゃないけどゆったりしてて、ひとりではちょっと心細いほどだった。
壁には象の絵。