藤沢数希さんの小説『ぼくは愛を証明しようと思う。』のドラマ化(2017年12月28日に放送)を記念して、各電子書店で「脱・草食系男子フェア」を開催しています!その中から日替わりで"脱・草食系男子本"をおすすめします。
『出世する男はなぜセックスが上手いのか?』 アダム徳永
決断力がある、時間の使い方が上手い、欲望が強い、―仕事で成功を収める鉄則は、そのまま女を悦ばせる秘訣でもあった!女性の官能を最大限に高める“スローセックス”を啓蒙する著者が、仕事とセックスに通底する勝者の法則を解説。愛撫は「触りたいから触る」のではなく目的意識を持ってする、セックスに起承転結のシナリオを用意するなど具体的ノウハウを満載し、性技の道を極める一冊。
テクニックやノウハウを過信しない
セックスが上手くなると、ビジネスでも成功することができます。それは、両者には勝者が持つ共通点があるからです。
では、セックスが上手い男とは、どのような男性のことを言うのでしょうか? セックスが上手い男の定義をハッキリさせておかなければ、本書の読み方を間違ってしまいます。定義というと難しく感じるかもしれませんが、スポーツやゲームのルールのようなものだと考えてください。野球のルールを知らなければ試合には出られないように、セックスもルールを知らなければ、本当はする資格がないのです。
多くの人は、テクニックのある男性を「セックスが上手い男」だと思っています。これがそもそものボタンの掛け違いです。確かにテクニックは重要ですが、それはセックスで有利にことを運ぶための、ほんの一要素に過ぎません。何事においてもそうですが、セックスも上手と下手を分けるのは、総合力なのです。
もしも、セックス=100%テクニックである、と考える男性がいたとしたら、その人は間違いなく女性に嫌われると断言します。本来は総合力で臨むべきところがテクニックに偏ってしまえば、女性から〝下手〟の烙らく印いんを押されても文句は言えないでしょう。
日本人男性がセックス下手な原因のひとつは、テクニックにこだわり過ぎるからなのです。テクニック至上主義とも言えるバランスの悪さが、ひいてはテクニックを伸ばす可能性さえ阻はばんでいることに、早く気が付いてください。
とは言え、テクニック至上主義に陥っている男性は、なかなか自分の過ちに気が付きにくいものです。そんな方のために、多くの男性がセックスの教科書のように思い込んでいるAVを引き合いに出しましょう。
AV男優のテクニックは、確かに一般男性より優れているようです。私はAV女優の方とお話しする機会が多いのですが、100人中90人以上が、「やっぱりテクニックがすごい」「これまで付き合ってきた普通の男性とは全然違う」と、テクニック面においては高く評価をします。
しかし、そんな彼女たちに、「じゃあ、あなたにとって一番気持ちいいセックスは?」と聞くと、100人中100人が、
「好きな人とする普通のセックス」
と答えるのです。
AV男優のテクニックを経験済みの彼女たちでさえ、こうなのです。女性が求めるいいセックスの条件の中でテクニックが占める割合は、男性が考えているよりもはるかに少ないのがおわかりでしょう。
私は、セックスの上手さのうちでテクニックが占める割合は、3割程度と考えています。残りの7割こそが重要で、それが本書で学んでいただく、セックスとビジネスを成功に導く能力でもあるのです。
感性が豊かで、小さなことに感動できる
さて、セックスが上手い男の定義が「テクニックのある男」でないのなら、何が定義になるのでしょう?
それは、ひと言で言えば「感性が豊かな男」です。
感性とは、かみ砕いて言うと「小さなことに感動できる力」のことです。大きなことには誰でも感動できます。大学入学のお祝いに親から車をプレゼントされれば、親不孝なドラ息子でも親のありがたみを知るはずです。もしも宝くじで2億円が当たったら、どんなに鈍感な人でもビックリするでしょう。
セックスでの「大きなこと」の代表選手が〝イク〟です。男性は、とかく〝イク〟にこだわります。「ねぇ、イッた?」「何回イッた?」と、女性に聞いた覚えはありませんか? もしもそのとき女性から期待を裏切るような反応が返ってきたら、もう意気消沈です。
AVの影響で、最近では〝潮吹き〟も大きなことの仲間入りをしました。けれども現実的に、潮を吹ける一般女性はそうはいません。なのに一生懸命Gスポットを刺激して、それでも彼女が潮を吹かないと、男性はがっかりしてしまいます。
楽しいはずのセックスで思うように楽しめないことを、男性の多くは、自分のテクニック不足や、相手の女性の感度の問題にすり替えたりしますが、それは見当違いです。大きなものに感動の照準を合わせているので、小さな喜びに気付くチャンスを見逃しているだけなのです。
一方で、「小さなこと」に感動の照準が合っている男性、つまり感性の豊かな男性は、愛する女性と一緒にいられるというだけで感動します。キスした時の女性の唇の柔らかさに感動し、女性の口からもれる微かすかな吐息に心を震わせることができます。このような小さな喜びの積み重ねで、さらに感性は研ぎ澄まされていくのです。
こうした喜びが、人間を前に進ませるための大きな推進力・原動力になるのです。喜びがあるから、また頑張って努力しようというヤル気が起きます。そしてまた喜べる。この繰り返しが、好循環を発生させます。これが成功を引き寄せるのです。
セックスしかり、ビジネスしかり、成功をつかむためには、小さなことに「喜ぶ力」が、絶対に不可欠なのです。
私は、「俳句を一句詠むような気持ちで、キスを楽しみましょう」とよく言います。蛙が池にポチャンと飛び込んだ、お寺の鐘がゴーンとなった。普通の人は何も感じないかもしれないけれど、松尾芭蕉や小林一茶は、その小さなことに風流を感じ取ったのです。日本人は、このように優れた感性を持っているのです。
毎日次から次に楽しいことが起こる仕事などありません。いずれ成功するにしても、その過程のほとんどは、地道な作業の連続です。何の変哲もないような日々に、小さな喜びを見み出いだしていく感性がなければ、ビジネスを拡大していくことも、愛を育はぐくんでいくことも叶かなわないのです。
スローセックスでは、「イクことにこだわらず、感じることを楽しみましょう」と教えています。射精や絶頂というわかりやすい快感(大きなこと)ではなく、長く深く感じること(小さなこと)に目的をシフトすることで、セックスはドラスティックに変わります。
スキルアップに時間とお金と労力を費やす
感性を磨くためには、まず、セックスに対する意識から変えていかなければいけません。
多くの人が、神聖で崇高な行為であるセックスを卑しいこと、恥ずかしいこと、低俗なことと考えて、自分の性と真正面から向き合うことを避けてしまっています。
性欲は本能です。誰も性欲と自分を切り離すことなどできません。性と向き合わないということは、自分ときちんと向き合っていないということです。それでは、自分という人間を芯しんから理解することはできません。多くの人が、自分という人間が持っている本質的欲求を知らないまま生きています。だから自分を満たす方法もわからないのです。
そもそも、たいていの人はセックスを甘く考えています。ある程度の年齢に達すれば、誰でもできることのように思っています。そして、最初は下手でも、場数を踏めば自然に上達できると信じて疑いません。
これが間違いなのです。スクールには、20代から60代まで幅広い年齢層の男性が訪れますが、若い男性と中高年の男性のセックススキルにほとんど差はありません。中高年にはちょっと耳の痛い話かもしれませんが、これが現実です。
このような状況にあるのも、男性がセックスを侮あなどっているからです。普通、仕事でもスポーツでも、スキルアップするためには、勉強とトレーニングが不可欠です。上達しようと思ったら、時間とお金と労力がかかるのは、セックスでも同じことなのです。
けれども、セックスは相手さえいれば、ろくな知識や技術がなくてもできてしまいます。このことが、男性を勘違いさせているのです。
セックスは「秘め事」と言われるように閉じた世界ですので、上司やコーチもいません。どんなに下手くそでも「ちゃんと練習しろ!」と叱ってくれる人がいないのです。これでは、ゴルフの打ちっぱなしに行ったこともないのに、いきなりコースに出るようなものです。女性たちから不満の声が続出するのも無理のない話でしょう。
ところが、セックスを侮っている男性は、過ちが自らにあることさえ気付きません。セックスが下手な男性ほど、満足のいくセックスができないことを女性のせいにするのです。これは、仕事や人生で満足のいく結果を残せないことを、自分の生い立ちや、時代や、環境のせいにする精神構造とまったく同じです。原因はすべて自分の中にある、という考え方ができない人には、それなり以下の人生しか待っていません。
セックスの上手い男性が驚くほど少ない現実の裏には、確かに、セックスをまじめに語ることをタブーとする風土や、正しいセックスを教える先生や教材がなかったことなど、外的要因は様々あるでしょう。
とは言え、セックスがどれほど男性にとって大切なものかは、仕事がどれほど男の人生に喜びを与えるものであるかと同様、誰かに教わったからといって身に付く価値観ではありません。苦しみの中から、自分で導き出し、辿りつくしかないのです。
草食系ではなく肉食系である
今やセックスレスは、中高年カップルの専売特許ではなく、若年カップルの間にも急速に魔の手を伸ばしています。10年ほど前から、私の周りにも、セックスにあまり興味のない若い男性が増えてきました。
そしてついに、「草食系男子」などという言葉まで生まれました。優しくて、恋愛やセックスに消極的なタイプの男性、という意味だそうです。
余談ですが、草食動物の性欲が弱いかと言えば決してそんなことはありません。中でも、あの可愛らしいウサギの性欲は半端ではありません。一年中発情しています。「プレイボーイ」のシンボルマークがウサギなのは、そのためです。
草食系男子という新語によって、問題の本質にフィルターがかかってしまうことは、かつて援助交際という言葉が、女子中高生と買い手の男性に売春行為の罪悪感を希薄化させたことを彷ほう彿ふつとさせます。
私は、男性たちが草食系になることも、女性たちが草食系男子を受け入れてしまうことにも大反対です。
草食系とは、要するに男性の中性化を指し示しているわけですが、女性と対照の存在である男性が中性化すると、男性と女性が引き合う力が弱くなってしまいます。それは、単に恋愛やセックスにおける不都合な事態というだけではなく、人間の生きるエネルギーが少なくなっていくことに直結します。
生きるエネルギーの源は、喜びです。では喜びの源は何かと言えば、それは欲望です。欲望が大きいほど喜びは大きいのです。口に出すか出さないかは別として、成功者は必ず大きな欲望を持っています。欲望が大きいから、それを達成した時の大きな喜びというご褒美のために、全身全霊をかけて目標に向かっていくことができるのです。
しかし今、草食系男子なる言葉が象徴するように、欲望をむき出しにしてガツガツと頑張ることが、ダサいとかカッコ悪いことのような、冷めた空気が日本を覆っているように思えます。修行僧が「空」や「無」の境地に至るのなら話は別ですが、何も悟ってはいないのに何かを悟ったかのようなポーズをとることの方が、ダサくてカッコ悪いことなのです。
そもそも人間の欲望とは、弱くなったり、薄まったり、ましてやなくなったりするものではありません。心の中にはちゃんと欲望があります。恋愛やセックスに消極的な草食系男子は、欲望が弱いのではなく、ただ自分が傷つくことを恐れて、欲望を封印しているだけなのではないでしょうか。
心から肉食系男子の復興を望みます。
利他的精神に貫かれている
男の人生におけるセックスの重要性を多少なりともおわかりいただけたところで、セックスの上手い男、つまり感性の豊かな人間になる方法について、話を進めましょう。ひとつの例として、私が生きていく上で心がけてきたことを、皆さんにお話ししたいと思います。
私は中学生の頃から、「人の役に立つ仕事がしたい」とずっと思っていました。なぜそのようなことを思いついたのか、今となっては自分でもよくわかりません。保険の外交員をしていた父親の背中を見て何かを感じたのか、はたまた本の虫だったので何かの本の影響か、うまく説明できないのですが、とにかくその思いは、大人になってからの仕事選びの基準になりました。
最初は、絵を描くことが得意だったので、絵で人に感動を与えられるような画家になりたいと思いました。しばらく頑張ってみたものの、自分に画家になる資質がないとわかってからは、絵本作家になって児童教育の分野で貢献することを考えました。渡米経験を生かして、日本人が苦手とする英語教育の世界で生きていこうと本気で取り組んだこともありました。そんな紆う余よ曲きよく折せつの末にたどり着いたのが、今の仕事です。
社会貢献などといった大それたことを、人生のテーマに掲げていたわけではありません。自分の才能が人の役に立つことほど大きな喜びはないという、自己実現を叶えるために、様々なことにチャレンジしてきたというだけの話です。
色々な仕事をしてきましたが、常に私の中にあった最低限の目標は、クライアントの期待に対して誠心誠意応こたえるということでした。
元々完璧主義者という性分もありますが、今、振り返ってみて、「期待に応える生き方」を続けてきたことは、私にとって大きな財産になっています。期待に応えようとすることで、技術が磨けたし、新しい知識を吸収することができたし、タフになれました。
「期待に応える」の反対が、「適当にこなす」です。適当にこなしても、何とかなるケースもたくさんあります。手を抜いてやった仕事が、思った以上に評価されることもあります。
適当にやろうと思えば、いくらでも適当にできてしまうのです。しかしそれでは、必要な技術を身に付けることもできませんし、いつか必ず信頼を失います。その時になって、ちゃんとやっていれば、と悔いても遅いのです。
スクールの受講生からは、よくこんな質問を受けます。
「時間がない時は、どこの愛撫を省けばいいですか?」
女性を愛するために、わざわざお金を払ってセックスの勉強をしている男性の口から、こんな言葉が飛び出してくることに、私は正直呆あきれます。それくらい、日本人の男性のセックスに対する意識が低いということでしょう。
セックスをする時に、男性が意識しなければいけないのは、女性の期待に応えるということです。利他的な心がなければ、女性が何を求めているのかがわかる日は来ないでしょう。セックスの上手い男には永遠になれないのです。
これは仕事でも同じです。期待に応えようとする意識がなければ、会社が何を求めているのか? 顧客が何を求めているのか? 社会が何を求めているのか? ということがわかりません。それでは出世など夢のまた夢でしょう。
よく「自分は正しく評価されていない」と愚痴をこぼす人がいますが、評価されないのは、相手の期待に応えるという最低限の責任を果たしていないからではないでしょうか。成功のためにまず取り組まなければならないのは、目の前の相手を喜ばせることに全力を注ぐことです。それがなくして、次の階段は現れてくれません。
常に相手のいいところを探している
相手を喜ばせる能力の中でも、とても重要なのが「褒める」力です。褒められて嫌な人はいないとよく言われますが、皆さんご存知の通り、「褒める」行為は実に難しい。褒めるにも技術が必要なのです。
自分の利益のために相手を褒めるのが、一番まずい褒め方です。女性をおだてて口説くことが目的だとか、商談を成立させるために取引先を褒めるといった類たぐいのことです。利己的な動機を、人間の直感は見逃しません。褒めたつもりが、逆に相手の印象を悪くすることもあります。相手を喜ばせたいという純粋な気持ちがあることが大前提です。
褒めることに限らず、相手を喜ばせることの基本は、見返りを求めないことです。親は子供を育てるときに、見返りなど求めません。無償の愛を注ぐから、子供は親を信頼し、尊敬し、親から受けた愛情を返そうとするのです。
無償の愛というと、少し大仰に感じるかもしれませんので、もう少し別な言い方を探せば、相手に感動を伝えるということです。
例えば女性を褒めるとき、口先だけで「キミ、可愛いね」というのと、その女性の肌の白さに感動して「本当に肌が白くてキレイだね」というのでは、相手の受け取り方がまったく違ってきます。こちらが本当に感動していることが伝われば、相手はそれだけで嬉しくなるのです。
気の利いた文学的な言葉が思いつかなくても、言葉にはできない気持ちが伝われば、相手を本当に喜ばせることにつながるはずです。
私も、人を褒めることは、常に心掛けて実践しています。しかしその分、失敗も数々あります。
つい最近も、レストランのレジ係の女性に対して大変な粗相をしてしまいました。彼女は推定Hカップはありそうな、大きくて素敵な胸の持ち主でした。私は感動のあまり、つい「ウワー、大きな胸ですねぇ」と、思ったことをそのまま言葉にしてしまったのです。
その瞬間、彼女は憎悪の目で私をにらみつけました。たぶん彼女にとって大きなバストはコンプレックスだったのでしょう。今でも彼女のことを思い出すたびに、顔から火が出るくらい恥ずかしくなります。
開き直るつもりはありませんが、褒めるという行為は、かくも難しいのです。上級者になるためには、経験を積んで、研けん鑽さんしていくしかありません。
褒めの技術を磨く実践は、同時に、他の能力のスキルアップにもつながります。まず、社交性が身に付いていきます。褒めるポイントや、話しかけるタイミングをつかむためには、相手を注意深く見ることが大切ですから、観察力や洞察力、空気を読む力も備わってきます。また、感動を伝えるためには、その前に感動する力がなければいけません。すなわち、褒めることは、感性を研ぎ澄ますトレーニングにもなるのです。
私と同じような失敗をすることがあるかもしれませんが、失敗を恐れず、そして自分のためにではなく、相手を喜ばせるためであるという大前提を忘れずに、褒めて褒めて褒めまくりましょう。
欲望をコントロールできる
私のスクールでスローセックスを習得した男性たちは、セックスに対する自信によって、人が変わったようにモテるようになります。
Kさん(35歳・運送業)も、過去最高の「モテ期」に突入したひとりでした。彼はスクールで身に付けたテクニックにさらに磨きを掛けようと、風俗店で自主トレを続けていた熱心な生徒でした。その彼から、こんな話を聞きました。
「そのお店はソフトサービス店なのですが、プレイの最中に、女性の方から〝大人の関係〟を求めてくるんです。お店にバレるとまずいから、と断ると、携帯の連絡先を教えてくれとせがまれます。それも1人や2人じゃないんですよ」
彼は現在、4人の風俗嬢とお付き合いをしていて、会うたびに、「先生、体がいくつあっても足りませんよ!」と、嬉しい悲鳴をあげています。彼は、スローセックステクニックを完全にマスターしている優秀な男性ですので、そのテクニックを味わった女性の方から積極的なアプローチがあっても不思議ではありません。
一方で、テクニックは完璧でも、Kさんのように上手くいかない男性もいます。Yさん(37歳・医療)は、私からKさんの武勇伝を聞くと、「そんな美お味いしい思いができるなら、僕もやってみます」と、喜び勇んで風俗店通いを始めました。が、結果は撃沈。
「携帯電話の番号を教えてもらって、外で会う約束まではOKなんですが、約束の場所に行っても女性が現れないんですよ。2カ月で、6人にすっぽかされました」
テクニック的には遜そん色しよくのない2人なのに、明暗がくっきりと分かれたのはなぜだと思いますか?
Kさんが上手くいったのは、女性と〝大人の関係〟になることをまったく目的としていなかったからです。テクニックの練磨という目的があるので、自分が楽しむためではなく、女性を喜ばせることを最大のテーマとして愛撫を続けたことが、女性の心に響いたのです。
出会いの場所が風俗店の一室であったとしても、男性本位のジャンクセックスしか経験したことがない女性にとって、スローセックスの洗礼は強烈だったに違いありません。「こんな男性に抱かれてみたい」と、彼女たちが心から思ったことは、決して奇跡でも偶然でもなく、必然だったと想像します。
対してYさんは、最初から風俗店で働く女性とセックスをすることが目的でした。初めから動機が不純なのです。どれほどスローセックスのテクニックが完璧だとしても、気持ちが自分本位のままでは、その行為はジャンクセックスと変わりありません。女性の心に響かないのは当然といえます。
素敵な女性がいれば、セックスをしたいと思うのは男性にとって当たり前の欲求です。その欲求を叶えるには、いかに女性を喜ばせ、心を開いてもらうかが大切なのです。
モテる男性は、このことが無意識にできています。これは、自己管理や利他的な精神に通じる、成功する人と失敗する人の大きな違いです。無意識にできるようになるまでには時間がかかりますが、まずは、意識して自分の欲望をコントロールするところから始めてみてください。
地道にコツコツ努力を続ける
ビジネス本や成功ノウハウ本を読んでいると、成功者と一般人では、時間に対する価値観が根本的に違うことに気付きます。成功者が書いた著書を読んでみると、彼らは、私などとてもマネできないと感心するほど、時間を大切にしています。
「移動中や、待ち合わせで顧客の到着を待っている間といった、すき間時間を読書の時間に当てる」といったノウハウは典型的なものですが、成功者に共通するのは〝時間は有限である〟という本質を徹底的に理解しているということです。
お金は使ってなくなったとしても、また頑張って働けば稼ぐことができます。しかし、時間はお金のように貯めたり取り戻したりすることはできないのです。だから彼らは、お金よりも時間を大切に考えています。やる気が起きないからと、一日中ぼーっとテレビを見て過ごした時間は、二度と帰ってきません。楽なことに逃げて、怠たい惰だな生活を送る限り、成功はどんどん離れていくのです。
自分の性格に合った、有効な時間活用術を構築していかなければいけません。というと、とても難しいことのように聞こえるかもしれませんが、実は、意識さえ変えれば、それほど難しいことではないのです。
こんな事例を紹介しましょう。アダムタッチというフィンガーテクニック(4章)の習得を目指していたSさん(32歳・自営)の話です。
「習い始めた頃は、アダムタッチがなかなか上手くいきませんでした。自己流の愛撫が強かったせいで、どうしてもタッチ圧が強くなってしまうんです。そこで、先生の、
『女性は男性にとってとても大切なものだから、1億円のツボを触るようなつもりでそっと触れてくださいね』
というアドバイスをヒントに、日常生活の中で物に触れる時に、それを女性だと思って優しく触ることにしたんです。
コップをそっとつかむとか、ドアを閉める時も、バタンという音を立てないようにゆっくり閉める、などを続けていくうちに、あるとき、急に、アダムタッチが上手くできるようになったのです。彼女の反応が今までのセックスとは比べものにならないほど良くなったんです。そのとき、自分が今までどれほど女性の体をガサツに触っていたかがわかりました」
彼の場合、しっかりと目的意識を持つことで、日常生活の何気ない時間がセックステクニックのトレーニングの時間に変わったのです。
成功と言うと一発大逆転のようなイメージを持たれている方は少なくないと思いますが、成功までの過程とは、地味な時間の積み重ねです。自分が用意した課題と地道にコツコツ向き合うことが、成功のための準備になるのです。
スポーツ選手の試合前の会見では、「いい準備ができたと思います」という言葉をよく耳にします。一流選手ほど、地味なトレーニングの積み重ねがどれほど大切なことかがわかっています。トレーニングとは、基本的に退屈なものです。それをいかに楽しむかを考えるのが、頭の使いどころだと言えます。
(1章 「出世する男とセックスが上手い男の共通項」より)
***
『出世する男はなぜセックスが上手いのか?』 目次抜粋
◆草食系ではなく肉食系である
◆欲望をコントロールできる
◆威張るだけの上司=自称テクニシャン
◆トップセールスマン=見返りを求めないセックス
◆目標達成能力=絶頂まで粛々と行う愛撫
◆私の超早漏が治った呼吸法
◆セックスの自信は男の人生を左右する
◆イケメンでペニスの大きな男は嫌われる?
◆口と手の両方を効果的に働かせる
◆基礎にして最強、アダムタッチの基本フォーム
◆クリトリス愛撫の2大原則
◆公開!アダム流ラブホテルエスコート術
◆食事からベッドインまでの30ステップ
◆衣服はスローに脱がせる
◆唾液はセーブするのが紳士のたしなみ
◆オッパイを吸われる女性の本音
◆女になりきって未知の快感を味わう
◆フラれた女性に5回アタックできるか
◆その気にさせるセクシースキンシップ
◆セクハラとスキンシップの境界線
……など
◇今だけ20%引き!脱・草食系男子フェア対象タイトル一覧◇
『ぼくは愛を証明しようと思う。』 藤沢数希
『日本人はもうセックスしなくなるのかもしれない』 湯山玲子/二村ヒトシ
『ルポ 中年童貞』 中村淳彦
『ヤクザに学ぶ恋愛交渉術』 山平重樹
『あの人は、なぜあなたをモヤモヤさせるのか 恋愛編』 宮崎智之
『恋愛で暴走しないための技術』 二村ヒトシ/アルテイシア/仲俣暁生/中野信子
『男と女がいつもすれ違う理由』 はあちゅう/藤沢数希
『日本一有名なAV男優が教える人生で本当に役に立つ69の真実』 加藤鷹
『出世する男はなぜセックスが上手いのか?』 アダム徳永
『「劇場版テレクラキャノンボール2013」が教えてくれる男と女とその時代』 湯山玲子/カンパニー松尾
脱・草食系男子フェアの記事をもっと読む
脱・草食系男子フェア
藤沢数希さんの小説『ぼくは愛を証明しようと思う。』のドラマ化を記念して、
「脱・草食系男子フェア」と称し対象作品の電子書籍版をお得にご購入いただけるフェアを各電子書店で開催しております。
今回はその中から一部を紹介させていただきます。