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特集

2014.02.14 公開 ポスト

特集<神様はどこにいる?>

『なぜ八幡神社が日本でいちばん多いのか』刊行記念 幻冬舎plus編集部・神社お参りツアー幻冬舎plus編集部

 昨年11月に発売され、現在7刷5.5万部と売行好調な島田裕巳さんの『なぜ八幡神社は日本でいちばん多いのか』(幻冬舎新書)。日本には8万社以上もの神社があり、祀られているのも、古事記・日本書紀に登場するいわゆる「神様」だけでなく、天皇、皇族、戦国武将や幕末の志士など種々様々。本ではそのうち、数の上で上位の八幡、稲荷、伊勢、出雲、春日、熊野、祇園、諏訪、白山、住吉を「最強11神社」と名付けて、その歴史や特徴を解説しています。
 神様はどこにいる? 神様と言えば神社でしょ? 最強11神社って都内でも制覇できるのかな?……ということで、幻冬舎plus編集部有志で、初詣というにはちょっと遅い1月のある日曜日、神社お参りツアーを決行しました。

 

「春日神社」は全国に1000社以上あり、神社の数で言うと11位と、ポピュラーな神社です。祀られているのは春日神(かすがのかみ)という神様ですが、古事記にも日本書紀にも出てきません。1柱の神様ではなく(神様は「柱」で数えます!)複数の神様が合体したものとも言われており、その正体は謎に包まれています。総本社は奈良県奈良市の春日大社、藤原氏の氏神でした。

 朝10:00。慶応義塾大学三田キャンパス、東門のすぐそばにある春日神社からスタートです。20段以上ある階段をやっとこ上った先にあるのは、立派な造りの拝殿。木々に囲まれ、都心であることを一瞬忘れてしまう厳かさです。境内には桜の木も多く見られます。入学式の季節はさぞ綺麗なことでしょうね。

 みなで「幻冬舎plusのページビューが増えますように。新規会員が増えますように」と祈願しておみくじを引くと、なんと大吉! 幸先良いスタートです。

 次に訪れたのは新宿の「十二社熊野神社」。西口の高層ビル街を抜けた、新宿中央公園に隣接する一角にあります。江戸時代には拝殿のほかにいくつもの池や滝がつくられ、そのまわりにはたくさんの茶店が出て、観光地としてにぎわったとか。明治に入ると大きな料亭ができ、池では屋形船遊びもできたそうです。
 

祀られているのは「熊野権現」という神様。これも春日神と同様に複雑で12柱の神様が合体して構成されていると言われます。総本社は有名な熊野三山。熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社の祭神を勧請してつくられました。勧請とは、神様の魂を分けてもらって、他の地に移してお祀りすること。日本の神様は自由自在、無限に「勧請」できます。全国に神社が8万社以上もあるのは、この「勧請」のなせるわざなのです。

 戦中・戦後にそのほとんどは埋め立てられましたが、拝殿のそばには、ミニチュアのような小さな池と滝が設(しつら)えられており、当時の面影が偲ばれました。

現在の十二社熊野神社の小さな池と滝。ミニチュア庭園のような風情です。

 三番目に訪れたのは西新宿の成子天神社。十二社熊野神社から歩いて15分ほどでしょうか。春日神社・十二社熊野神社のときもそうだったのですが、「ビルが立ち並ぶ都心に、こんな歴史の古い立派な神社があるなんて知らなかった!」と、一同驚くばかりです。

 神社の敷地内では大規模マンションプロジェクトが進行中とのことで、周囲には新築の高層マンションが何棟も立ち並びます。まだ建設途中のものもあり、神社の境内も、参道ほかあちこちの施設が塀で囲われて工事中です。
 

天神社は天満宮、北野神社とも呼ばれます。総本社は福岡の太宰府天満宮。祀られているのは菅原道真ただ一人とシンプルです。歴史上に実在した人物が神様に祀られるようになったさきがけ的神社です。成子天神の拝殿は新築されたばかり。「神社と言えば朱塗り」のイメージが強かったので、目に鮮やかなピンク色にちょっと度肝を抜かれました。

 それでも天神様と言えば学問の神様。境内には合格祈願の絵馬が数多くかかっており、私たちがお参りしている間も、参拝にくる人が絶えませんでした。

 四番目に向かったのは高田馬場の諏訪神社。地下鉄西早稲田の駅から住宅街を抜けていく途中、交差点やアパートの名前に「諏訪町」という文字をたびたび見かけました。現在の高田馬場一丁目と西早稲田二丁目のあたりの旧町名だそうです。諏訪神社があるから「諏訪町」だったんですね。
 

長野県にある諏訪大社が総本社。祀られている神様は、建御名方神(たけみかづちのかみ)、八坂刀売神(やさかとめのかみ)、八重事代主神(やえことしろぬしのかみ)の3柱。全国に2616社あり、全体で6位。諏訪大社と言えば、6年に一度行われ、ときに死傷者も出る「御柱際(おんばしらさい)」が有名です。

 鳥居をくぐり、境内に入ると、社務所から楽しそうな笑い声、カラオケの歌声も聞こえてきます。社務所入口の看板には「氏子新年会」の文字。その日集まっていたplus編集部メンバーは地方出身者が多く、「こんな都会の真ん中に、神社の氏子さんなんていう、人と人とのつながりがまだ生きているなんて」と驚きです。

 お参りの前に手水舎(ちょうずや)で手と口を清めようとすると、古びた看板に何か書かれています。目をこらして読んでみると「眼病、諸病に霊験有りとして多くの人々がお水取りにみえ、何百年も湧き出ている霊水です」とあります。「こんな都会の真ん中に冷水が湧き出ているなんて」と、またまた一同驚きと感激でした。

霊水が湧き出る、諏訪神社の手水舎。古びていますが、丁寧に覆いがかけられ、大切にされているのがうかがえます。

 五番目に訪れたのは幻冬舎のお膝元、千駄ヶ谷の鳩森八幡神社。あまりに近くて、ちゃんとお参りしたことがないメンバーが多かったのですが、ここもなかなか由緒正しい神社です。

 境内でまず目に留まったのは富士塚。富士塚というのは、江戸時代に盛んだった富士山信仰にちなんでつくられた人口の塚のこと。千駄ヶ谷の富士塚は都内に現存するもののなかでは最も古いそうです。高さは6メートルほど。登山道を模した階段が設けられ、登山道入り口には鳥居、山腹にはクマザサ、頂上には富士山の溶岩が配され、富士浅間神社の祠もあり、本格的です。私たちもありがたく登らせていただき、「江戸の富士登山」の気分を味わいました。

書名にもなっているように、八幡神社は日本で一番多く、その数全国に7817社と言われます。2位の伊勢4225社と比べてもダントツです。そう意識して街中をみると、「あそこも八幡」「ここも八幡」と、その多さにあらためて気がつくはず。それだけメジャーにもかかわらず、八幡神も、古事記や日本神話には全く登場しません。そのルーツは、現在の韓国、外来の神様という説が有力だそうです。

 そして千駄ヶ谷と言えば将棋の町。公式戦や一部タイトル戦が連日繰り広げられる将棋会館がこの地にできたのは1976年のこと。境内には「将棋堂」という六角形のお堂があり、中には巨大な王将が祀られています。「奨励会に入れますように」「プロ棋士になれますように」などと祈願した絵馬を見つつ、「若き日の羽生さんや森内さんもここをお参りしたのかな」と思いを馳せました。

 

 

 

富士塚の頂上。なぜかお供え物にヨドバシのポイントカードが。

 あらためて幻冬舎plusの今後の発展を祈願し、今日のお参りはこれにて終了! 次回は、この日回れなかった伊勢、祇園、住吉、白山、稲荷、出雲の各神社をご紹介します。どうぞお楽しみに。

棋力向上を祈願して建立された将棋堂。

 

 

 

 

 

 

 

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