春が来た。自由が丘の緑道には、ふわりふわりと桜の花びらが舞い、花屋には、ラナンキュラス、チューリップ、アネモネ、ダリアと色とりどりの花が咲き誇っている。
うちの窓辺でも、球根から水栽培した、ピンクと白のヒヤシンス、紫がかったブルーのムスカリが、ニョキニョキ芽を出し、葉を出し、蕾(つぼみ)が出て来たと思ったら鮮やかに花が咲いた。
そのプロセスを見ていると、普段、あまり意識しない「生」というものを生き生きと感じ、とても楽しかった。
黄色が鮮やかなミモザが終わる頃、桜や木蘭が咲き、それが終わると花水木にバトンタッチし、よそのお庭にはバラが咲き始める。春の花のリレーだ。
20年近く前の春、私は初めて自由が丘に住むようになった。目黒通り近くの家具屋にソファを選ぶために、たまたま遊びに来た母も連れて行ったら、母がそこの家具屋に活けてあるお花の虜(とりこ)になってしまった。
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さすらいの自由が丘
激しい離婚劇を繰り広げた著者(現在、休戦中)がひとりで戻ってきた自由が丘。田舎者を魅了してやまない町・自由が丘。「衾(ふすま)駅」と内定していた駅名が直前で「自由ヶ丘」となったこの町は、おひとりさまにも優しいロハス空間なのか?自由が丘に“憑かれた”女の徒然日記――。