寂しい女は占いが好きだ。私は寂しい上に将来の不安もあるので、占いが大好きだ。
占いって何だろうと、頭にこびりついてしまったのは、尊敬する漫画家わたなべまさこさんの「ガラスの城」を読んで以来だ。
「ガラスの城」はイギリスの貴族社会が舞台になったサスペンスホラーで、双子姉妹のように育ったイサドラとマリサが、母親の死をきっかけにマリサが伯爵家令嬢ということがわかり、それを知ったイサドラが、伯爵家の令嬢に成りすまし、何も知らないマリサを苛(いじ)め抜く話だ。
物語には、ドレスや宝石や花といった少女の好きそうなものが、美しい城の中できらめく半面、死とか血、人の欲望が黒光りするように際立つ、わたなべまさこ先生の大傑作である。
マリサと世間の人々を上手く騙し、自分が伯爵家令嬢のなりすましたイサドラが、毎晩着飾り、大富豪の息子をパートナーに、パーティーからパーティーへと渡り歩いているとき、道端でジプシー占いをする老婆に、「どう、私が将来、どこかの国の女王にでもなるってでてない」と声をかけるのだ。
するとその老婆が、「恐ろしい。あの美しい顔に死相まで出ている・・・」とつぶやくのだ。
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さすらいの自由が丘
激しい離婚劇を繰り広げた著者(現在、休戦中)がひとりで戻ってきた自由が丘。田舎者を魅了してやまない町・自由が丘。「衾(ふすま)駅」と内定していた駅名が直前で「自由ヶ丘」となったこの町は、おひとりさまにも優しいロハス空間なのか?自由が丘に“憑かれた”女の徒然日記――。