秋が来た。
春には桜の花が満開だった自由が丘の緑道も、葉が茶色くなって一枚、二枚とハラハラ落ちてきてしっとりとした雰囲気になっている。
ベンチに座っている人たちを見ながらゆっくりと歩いていたら、ベレー帽をかぶった若い女性が、赤ワインのような色の毛糸で棒針編みをしていた。編み物をしている人を、久しぶりに見たような気がした。
そういえば、編み物王子の広瀬光治先生も最近見ない。
私が、初めて人のために編み物をしたのは、高校生の頃だった。同じ市内の男子高の生徒で、男で一番仲良しの友人だった。「おい、オレにマフラーを編んでくれよ」と言うので、「いいよ。編むよ。その代わり、色とか形とか絶対に口を出さないで、私の思う通りに編ませてよ」と約束した。
早速、私は、手芸屋さんに行き、たくさんの毛糸を手に取り、デザインを考え、最高の3色を選んだ。
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さすらいの自由が丘
激しい離婚劇を繰り広げた著者(現在、休戦中)がひとりで戻ってきた自由が丘。田舎者を魅了してやまない町・自由が丘。「衾(ふすま)駅」と内定していた駅名が直前で「自由ヶ丘」となったこの町は、おひとりさまにも優しいロハス空間なのか?自由が丘に“憑かれた”女の徒然日記――。