玉ネギ、スイカ、ピーナツは、皮に驚きのパワーあり
痰濁は瘀血と同じく循環器系の疾患の原因になったり、中性脂肪や高コレステロール血症、脂肪肝、通風などを引き起こします。ふだんから、脂っこいものや肉、スナック、甘いもの、清涼飲料水をたくさんとる人に多く見られます。
痰濁を排出するのに効果がある食材の代表選手は大根です。ほかに、玉ネギと玉ネギの皮、海藻類・キノコ・ごぼう・菊芋・ヤーコン・アブラナ科の野菜(カブ、キャベツ、小松菜、白菜、ブロッコリー、カリフラワーなど)が効果があります。
最近は、血糖値が上がりにくい食べ方として、食事の最初に野菜を食べる「ベジタブルファースト」が推奨されています。私がおすすめするのは、痰を出す働きのある野菜を最初に食べてもらう、薬膳ベジタブルファーストです。
手軽に作れるのは、アサリかシジミで作ったダシで大根と昆布を煮ておくこと。食事の前に、これを少量食べます。冬は温かく、夏は冷やして食べてもかまいません。10日ぐらい続けると、血糖値が下がったり、むくみが取れたり、体重が落ちたりといった効果が現れます。もちろん個人差はありますが、食べすぎても大根なら、何も悪いことはありません。
玉ネギは、実もいいのですが、とくにおすすめなのは皮です。皮の部分に含まれるケルセチンは血流を促進する働きがあります。排尿障害がある男性にはとくにおすすめです。料理で玉ネギを使ったら、皮を捨てずにお茶パックに入れ、出汁をとるように煮るだけでOKです。
食材の中で、生薬として使われる薬効の高い部位は、皮や毛など、ほとんど私たちが捨てている部分です。スイカの皮、冬瓜(とうがん)の皮、ショウガの皮、黒豆の皮、ピーナッツの皮、とうもろこしの皮……。すべて優れた薬効があります。
これらは食べることができなくても、ダシパックに入れてしばらく煮出したものを飲むだけでいいのです。
ダイエットで有名になったエノキ氷もおすすめです。エノキだけでなく、薬膳ではキノコすべてに、痰などの不良産生物を排出する働きがあります。
また日々、お茶として服用して、瘀血や痰飲を予防するには、緑茶、桑の葉茶がおすすめです。老化からくる体の酸化を防ぎ、動脈硬化を抑え、コレステロール値の調整をするなど、40代以降の方に起こりやすい症状に有効です。
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3月13日(水)19時から、阪口さんの「春の薬膳講座」を開催します。試食とおみやげつきの、美味しくて楽しい入門講座です。詳細・お申し込みは幻冬舎大学のページからどうぞ。
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