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アトツギが日本を救う

2019.04.03 公開 ポスト

規制を訴えるより「GAFAなんか抜いてやる!」と発想しよう山根太郎

サンワカンパニーの2代目社長・山根太郎さんと、ライフネット生命の創業者で、現在は立命館アジア太平洋大学(APU)学長、サンワカンパニーの社外取締役も務める出口治明さんの対談最終回。
成長途上の企業と若き経営者を、出口さんはどんなポイントで評価し、何に期待するのでしょうか?

トップが本気の趣味を持っていることはとても大事

山根 出口さんとは2017年に社外取締役をお引き受けいただいてからのお付き合いになりますが、出口さんは経営者の良し悪しをどのような視点で評価されるのでしょうか。

出口 経営者の評価は、まずは業績です。だからどんなに立派なことを言ったところで、業績が上がらなければダメですね。

山根 そうですよね。

でも、せっかくの機会なのでお聞きしていいですか。出口さんは普段あまり多くを語られないのですが、僕自身に対してどう思ってらっしゃるんでしょう? もっとこうしたほうがいいとか。もちろん、何を言われても自分で判断してやっていくことだと思うんですけど。

 

出口 いや、語らないのは聞かれないからです(笑)。僕、基本的にものぐさなので。

山根 あははは!

出口 山根さんのいいところは、まずは割り切りが速いところです。これはやっぱり、経営者としてとても大事な資質だと思います。熟慮はスタッフがすればいいので。

山根さんのそういう決断の速さは、テニスで養われたんじゃないんですか? 本に書いてありましたけれど、海外でマルチナ・ヒンギス選手と一緒にトレーニングされていたほどの腕前なんですよね。

山根 直感というか、とっさの判断をするというのはテニスで養われた部分が大きいと思います。

テニスは、球の打ち出しから動いたら絶対間に合わないスポーツなんです。つまり、詰め将棋みたいに、その前のショットの選択肢によって、次にどこに打たせるかを考えなくてはいけないので、少なくとも2手先は読むわけですよ。だから熟慮している時間はない。

あと、僕が今でもテニスを続けている理由のひとつは、ただの35歳に戻れるからです。テニスコートに年長者がいれば当然敬いますし、先輩しかいなければコート整備は僕がします。つまり、上場企業の社長というのは、あくまでもかりそめの姿であって、一般的に35歳というのは、まだここなんだと立ち返れる場所なんです。

出口 それはすごく大事な話だと思います。そういう本気の趣味を持っていることは、これからのトップの資質として、非常にメリットが大きいと思いますね。

ゴールドマン・サックスの新しいCEOのデービッド・ソロモンはプロのDJなんですよ。日本の企業の社長の中には、「俺は24時間仕事のことしか考えてへん」という人もいて、それをみんなが、立派立派と褒めますよね。

でも、脳科学的に見たら、24時間仕事のことを考え続けていたら、煮詰まるに決まっているんです。お客様の対応など、ルーティン的な仕事は10時間以上できるかもしれないけれど、本当に頭をしぼって考える作業は、2時間×3コマか4コマが人間の限界なんですよ。

だから、ソロモンのように仕事を終えた後はDJをやっているほうが、実は仕事のためにもいいんです。新鮮に脳を休めて考えることができるので。

山根 たしかに、ショットを打ちながら仕事のことは考えられないですね。ただまぁ、矛盾してるようなんですけど、僕はオンとオフのスイッチが、もうないんですよ。仕事自体がライフスタイルに組み込まれている感じなので。

出口 でもきっと、テニスコートにいるときは自動的にオフになっているんですよ。そういうトップなら、社員が趣味を大事にすることにも寛容になれるでしょうし、だからこそ副業も認めてらっしゃるんでしょうね。そのような組織では、必ずいい社員が生まれると思いますよ。

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山根太郎

1983年、奈良県奈良市生まれ。関西学院中学部、高等部、大学経済学部を卒業。大学在学中はプロテニス選手を目指して海外を転戦するも断念。就職前にイタリア、フィレンツェ大学に交換留学。2008年伊藤忠商事株式会社繊維カンパニー入社。2010年から2年間上海駐在。2014年、株式会社サンワカンパニー代表取締役就任、東証マザーズ最年少社長に(当時)。海外進出、東京・青山に450坪のショールーム開設など、積極的に事業を展開。2018年には、世界最大規模の家具見本市「ミラノサローネ国際家具見本市」で最も優れた出展企業に贈られる「ミラノサローネ家具見本市アワード」を日本企業として初めて受賞。

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