うらうらに
現代の言葉では「うららかに」で、のどかに過ごす時間や気分を表す言葉です。これを、万葉集の時代は「うらうらなり」といったのでしょうし、「うらうらに」と使っていたのです。天気がよく、日ざしがやわらかで、外に出ておべんとうを広げたくなるような日、それは「うららかな日」だし、「うらうらなる日」ということになります。しかし、今日では、「うららかな日」といっても、わからない人が多いかもしれません。
この本は、万葉集という古典をベースとして、言葉の深みを知って、言葉の使い方を深めてゆくために書かれた本です。悪くいえば、死語のオンパレードですが、そういう死語にも学ぶところがあると私はいいたいのです。
(四二九二)
うらうらに 照れる春はる日ひに ひばり上あがり 心悲こころがなしも ひとりし思おもへば
うららかに 照る春の日に ひばりが舞い上がってもね 心は悲しいことさ 独りで思うと……
「令和」の心がわかる万葉集のことば
万葉集の巻五から採られた新元号の「令和」。そこに込められた万葉ことばの心、おだやかな日を寿(ことほ)ぐ1300年前の先祖たちの思い……。8世紀のことばの文化財・万葉集に使われている「万葉ことば」(古き日本語)を学び、心を磨く日本語練習帳。
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