満員電車に乗るだけでクタクタ、1人になるとどっと疲れが出て回復しない、週末はひたすら寝て終わってしまう……。その疲れ、もしかすると脳の「人疲れ」かもしれません! 脳と疲労の専門家、梶本修身先生の『“人疲れ”が嫌いな脳』は、しつこい疲れをリセットするヒントを集めた、忙しい現代人にぴったりの一冊。本書に収録された33の方法の中から、厳選していくつかご紹介します。
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「自分だけの時間を持つ」ことの大切さ
人から適度な物理的距離をとることで、仕事の効率も上がるし、また「人疲れ」もかなり防げます。
一人になれる自分の空間があればいいのですが、オフィスで仕事をしていると、なかなか見つからないかもしれません。
昼休みに、「節約したい」「時間がない」という理由で、デスクで昼食を食べている人も多いですが、これは人疲れの回復を遅らせてしまいます。
パーテーションで区切られた空間で仕事をしている人はまだしも、普通のオフィスで隣や背後に人がいる状態では、脳の疲労をリフレッシュできません。
お弁当を持ってくる人も多いと思いますが、天気がよければ、屋上とか公園とか、どこか自分だけの場所で食べたほうが脳の疲労回復には効果的です。
「誰かと一緒にいないと、自分が浮いているように思われるんじゃないか」と、一人になるのに抵抗のある人がいるかもしれません。
しかし、休憩時間は本来リフレッシュのためにあるのですから、1時間の休憩なら45分は人と一緒でも、15分は一人になる時間を持つようにしたいものです。
友達と一緒にご飯を食べる人は、人づきあいがよくて友達が多いと思われがちですが、自然な状態での人間はそうではないのだと知っておくことも必要です。
1人になれる時間を持つ
満員電車での通勤時も仕事中も、ずっと狭いスペースに人がいるところで過ごしていて疲れがなかなか取れないなら、一人になれる時間、空間を探しましょう。
トイレでも、ビルの非常階段でもいい。ベストなのは周りに人がいない空間ですが、それが難しい場合、喫茶店でも書店でも、心理的に自分一人になれて、できるだけゆったりしている場所なら大丈夫です。
席の間隔が近すぎて、隣の人と肩が接してしまうようなカフェでは、かえってストレスになるので効果がありません。
人疲れに陥っている患者さんには、「お金が許すなら、満員電車になんか乗らないで会社に近い街中に住みなさい」とすすめています。
幸い、街中にも安価で借りられるワンルームマンションが建っています。遠方の2DKを借りるなら、街中で狭くてもいいから、とにかく自分の場所を持ちなさいと言っています。
オフィスのすぐ近くのワンルームマンションに住んでいれば、昼休みにちょっと帰って一人きりになれます。
実際、そうやって慢性的な疲労感が消えたという方もいます。
昼休みに徒歩5分ほどのワンルームに帰って、5分ほど寝転がった後、着替えてまた会社に戻るという女性もいます。「着替えるとまた気分が変わって楽」なのだそうですが、一人になれる空間を持つことは非常に重要なのです。