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“人疲れ”が嫌いな脳

2020.02.13 公開 ポスト

ワーキングメモリを鍛えて「人疲れ」を防ぐ3つの習慣梶本修身

満員電車に乗るだけでクタクタ、1人になるとどっと疲れが出て回復しない、週末はひたすら寝て終わってしまう……。その疲れ、もしかすると脳の「人疲れ」かもしれません! 脳と疲労の専門家、梶本修身先生の『“人疲れ”が嫌いな脳』は、しつこい疲れをリセットするヒントを集めた、忙しい現代人にぴったりの一冊。本書に収録された33の方法の中から、厳選していくつかご紹介します。

*   *   *

人間関係で疲れないために

「人疲れ」を起こしている人は、ミスのない完璧なコミュニケーションを求めて、一生懸命ボトムアップ処理に励んでいるのではないでしょうか? あるいは、初対面の人とうちとけなくてはいけない、と義務感に駆られてはいないでしょうか?

(写真:iStock.com/primipil)

前述したように、コミュニケーションも完璧でないところが人間らしさであり、愛着を生んでくれます。もちろん、努力することは大切ですが、間違った方向に努力すると、疲れは蓄積するばかりです。

「もっと楽にコミュニケーションする方法」「もっと疲れないで人間関係をつくる方法」は、ワーキングメモリをうまく活用することです。

最後に、ワーキングメモリを鍛えるためにおすすめしたい習慣を3つにまとめておきましょう。

(1)感動フォルダをつくって記憶する

ものごとを多面的に見て、タグ付けする(フォルダをつくる)数が多い記憶ほど検索しやすくなります。そのとき、「うれしい!」「悲しい!」「ビックリ!」「楽しい!」「残念!」など感動フォルダも必ずつくりましょう。

感動フォルダにある記憶情報は、適宜かつ瞬時にコミュニケーションに利用できるはずです。たとえ、日々の生活や仕事場で腹の立つことがあっても、「感動フォルダのネタがひとつ増えた!」と思えば、怒りも軽くなるのではないでしょうか?

顔を合わせて会話しよう

(2)会話によるコミュニケーションを増やす

(写真:iStock.com/lorenzoantonucci)

メールやSNSによるやりとりよりも、直接、顔を合わせて会話することが、ワーキングメモリのトレーニングとして格段に有効です。

その際、相手の話を聞いて理解しつつ、経験や記憶から引き出した自分の意見を伝えましょう。そのやりとりでワーキングメモリが鍛えられていきます。

一見、SNSやメールのほうが楽に思えますが、実はトラブルが深刻化しやすく、また真意が伝わらないことで誤解も招きやすいのです。その点でも、SNSの普及は人疲れの大きな原因にもなっているのです。

(3)多趣味になる

誰でも自分の趣味には興味を持ち、感動するものです。散歩や食べ歩きのような、身近なことで十分です。

また、仕事仲間や家族とは別に、趣味仲間など利害関係のない友人を持つのもよいことです。話したいときに会い、一人でいたいときは放っておいてくれる友達がベストです。

「ずっとつきあっていかなければならない関係ではない」軽い関係の友達ほど、ある意味、自分のペースで楽しめるのでコミュニケーションの負担は軽くなります。

そうした友人とのつきあいの中でワーキングメモリをうまく活用できると、人間関係の要領が無理なくつかめてくると思います。

脳疲労を遠ざけて、無理のない人間関係をつくっていきましょう

関連書籍

梶本修身『“人疲れ”が嫌いな脳 ラクしてうまくいく人間関係のつくりかた』

最新脳研究でわかった「疲れない人間関係」のつくりかた 脳を疲れさせているのは、残業よりも「人疲れ」だった! 疲労医学の専門家が、なぜ人は人に疲れるのか、 どうすればラクで疲れない人間関係をつくることができるのかを解説。 これを読めば、明日からあなたも疲れ知らず! 【もくじ】 はじめに 人間関係が得意でも「人疲れ」は起こる 第1章 脳を疲労させるのは、残業よりも「人疲れ」 ●そもそも「疲労」って、いったいどういうこと? ●「飽きてきた」は脳疲労の最初のサイン ●過労死する動物は人間だけ ●「脳の手抜き現象」を使って、60%の力で80%の成果を得る ほか 第2章 疲れないコミュニケーションの基本――面倒な段階は省いて、相手に心を開かせる ●人間は弱みを見せた相手を信用する ●ジャニーズは「弱さへの共感、共有化」がうまい ●西川史子さんが見せた「弱さ」 ●「正しいこと」ばかりを語る人に愛着は持てない ほか 第3章 「人疲れ」しない距離感づくり ●都会に住む人ほど、一人になる時間が大事 ●夫婦でもベッドは別がいい? ●悩みは箇条書きにして「解決できる」「できない」に分ける ●LINEでも相手と上手に距離をとる ほか 第4章 お笑いの天才に学ぶコミュニケーションの真髄 ●相手との距離をぐっと縮める「0.5秒先」の共感 ●なぜ、悪徳商法はなくならないのか? ●場の全員を楽しませる必要はない ●60%の力で80%の仕事ができる「ワーキングメモリ」とは? ほか 第5章 60%の力で80%の成果を得るワーキングメモリ活用法 ●ワーキングメモリを鍛えて「人疲れ」予防 ●喜怒哀楽や感動を強く表すことで記憶が定着する ●トップダウン処理は疲れない ●ワーキングメモリを鍛えるための習慣 ほか

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“人疲れ”が嫌いな脳

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梶本修身

医学博士。大阪市立大学大学院疲労医学講座特任教授。東京疲労・睡眠クリニック院長。1962年生まれ。大阪大学大学院医学系研究科修了。2003年より産官学連携「疲労定量化及び抗疲労食薬開発プロジェクト」統括責任者。ニンテンドーDS『アタマスキャン』をプログラムして「脳年齢」ブームを起こす。著書に『すべての疲労は脳が原因』(集英社新書)などがある。「ホンマでっか!?TV」「世界一受けたい授業」「ためしてガッテン」など、テレビでも活躍中。

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