「どうぶつーズの漫画」連載200回記念、福留茜さんときくちゆうきさんの対談後編です。ときにピュアに、ときに戦略的に。どうやって自分の軸を大切に持ち続けていくのかを、ますます率直に語り合います。
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ツイッターでは自分を出す? 出さない?
――いまはきくちさんも福留さんも、絵を描くかたわら個展を開いたり、ご自分のグッズをオンラインショップで売ったりされていますよね。それにはやっぱりSNSがツールとして欠かせないと思います。おふたりはSNSをどういうふうに使っていますか。
福留 僕はツイッターでは自分を出すようにしています。ツイッターで人気が出た人って、いつのまにか自分の発言ができなくなって、作品しか載せなくなったりする。そういうふうにはなりたくないですね。僕は作品も載せるけど、日常生活のことも書く。なんか「絵描きは顔を出さない」風潮みたいなのが若干あるんですけど。ミュージシャンとかは全然出しているのに、何なんですかね。
きくち 絵で勝負したいから、自分は出さないという人もいるんじゃない? まず絵を見てほしいから。
福留 それだったらホームページでも見れるし、画像だけならインスタでもできる。でもツイッターは文章を発信できるんだから、文章を発信すればいいかなって思うんですよ。
――福留さんはツイッターで何でも言ってる感がありますよね。
福留 恥がなくなっちゃって、言えないことがない。逆にちょっと困ってます(笑)。
――フォロワーを増やすことはどのぐらい意識してきましたか。
きくち ずっと意識してきました。フォロワーは多いほうが絶対いいもんね。たぶん作家はみんなそうだと思います。
将来が不安になるとき、やめたいと思うとき
――おふたりとも個性は違っても、マイペースで、自分のやりたいことをやるというスタイルを貫いているところが大きな共通点だと思うんですが、自信が持てないとか、将来が不安とか、ネガティブになることってないですか。
福留 めちゃくちゃある。
きくち「今月はなんにもイベントないな」というときはネガティブになりますね。やっぱり生活するためには絶対お金が必要で、そのために僕たちは絵やグッズを販売しないといけない。それなのにイベントのない月が何カ月か続くとやばいから、それが焦りになるわけでしょう。
福留 僕はしょっちゅう不安になったり、ネガティブになったりしますね。「もう絵描きやめたい」とも思いますよ。だけど、もう描くしかないですね。描くしかないから、もう描くしかないですよ。
――そのために、また自分でイベントを企画したり、次の個展の企画を考えたりして解消していく?
福留 いやあ、どうなんですかねえ。それよりなんか……何だろう。
きくち だから絵でダメって思ったことは、絵で取り返すしかないわけじゃん。
福留 そうですね。いい作品を描くしかない。描けなかったら鳥取に帰るしかない。だからもう描くという選択肢しかない。ほんと、やめたいって思っても、「はい、やめさせませーんって、白いキャンバスが出てくる。もう僕は呪いだと思ってます。
きくち やめたいと思っても、描きたくもあるしね。
福留 それはそうですね。描きたい。