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「しなやか脳」でストレスを消す技術

2024.04.28 公開 ポスト

嫌いな人は“○○モンスター”と名付けると楽になる 脳科学者が教える「リフレーミング」の力篠原菊紀

会社に行きたくない、集中力が続かない、ついお酒を飲みすぎてしまう……。こうしたお悩みを脳科学と臨床心理学で解決してくれるのが、テレビでもおなじみ、篠原菊紀先生の『「しなやか脳」でストレスを消す技術』です。何かと不安やストレスの多い今だからこそ、「しなやか脳」を身につけたいもの。読んだらすぐに試せるノウハウを、特別にいくつかご紹介します。

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嫌いな部分を「○○力」に言い換えてみよう

職場に、取引相手に、はっきり言って「嫌いな人」がいる。しかし仕事上、避けては通れない人物。うまく付き合っていかなくてはならないのだが……。

とりあえず、その人のどこが嫌いなのか、何で苦手なのか、書き出してみてください。気が短いから嫌いだとか、ウソばかり言うから嫌いだとか、細かいことを気にしすぎるからとか。

(写真:iStock.com/metamorworks)

書き出したら、今度はそれを“○○力”という言葉に言い換えてみてください。例えば細かい間違いを見つけてはネチネチと言ってくる上司であれば、その人には“観察力”がある、気が短いのなら“即決力”がある、という風に。

すると“細かいことをネチネチ言う”“気が短い”といった嫌いな部分が、“観察力”“即決力”という、どちらかというとポジティブな言葉に置き換えられたことで、嫌いというネガティブな感情から一瞬、切り離されるのです。いつのまにか妙に尊敬できもします。

 

人間の嫌いという感情は概ね、加速していきます。「細かいことをネチネチ言うから嫌い。そう、嫌いなのは細かいことをネチネチ言うから……」と頭の中でグルグルと回してしまい、嫌いという感情が増幅してしまうのです。

それを一旦、切ってあげる。“細かいことをネチネチ言う”を、ポジティブなイメージに結び付きやすい“○○力”という言葉を使って、何とか言い換えようとするだけで、この連鎖がゆるむのです。

観察力という言葉に変わったことで、嫌いのループは一旦、止まる。特に“○○力”=“○○パワー”という言葉であればポジティブな感情になりやすいので、嫌いとの結び付きは切られやすい。

切られて、立ち止まって、そしていつのまにか、「細かいことをネチネチ言う、ただの嫌みな上司だと思っていたけど、一方では観察力が鋭い人間という見方ができるかもなぁ……」と思えたりします。

これはその人を客観的に見られるようになったという状態でもあります。客観的に観察すると、大脳新皮質が働き、脳の奥に由来する感情の働きが相対的に弱くなって、とりあえず受け入れやすくなるのです。嫌い嫌いで見るのもイヤだったはずが、とりあえず見られるようになるのです。

「○○力」が難しかったら「クネクネ人間」でもいい

このように“○○力”とラベリングする方法は非常に有用です。心理学でいうところのリフレーミング。ものごとを見るときの見方の枠組み(フレーム)を再構築するのがリフレーミングです。

うつなどでしばしば用いられる方法ですが、普段でも有効です。自分自身の評価をリフレームするのも有効。自分の欠点も“○○力”と言い換えてみましょう

しかし、○○力と名付けるのが難しい場合はどうしたらいいのでしょうか?

(写真:iStock.com/Jtasphoto)

例えば、“陰口ばかり言っているヤツ”。まあ、人の欠点を見つけてくる能力が高いということから“欠点観察力”があるとも言えますし、当人にバレないように観察結果を報告してくれることから“探偵力”があるという風にも言えますが、いまいちピンと来ない。どうもポジティブにとらえにくい。

そんな場合は無理に“○○力”としなくてもいいです。何か言葉でラベルを付けるだけでいいです。例えば“陰口芸人”とか。それだけでも、何か背中を丸めてひそひそ話をしている姿がコメディかコントのように見えてきて、何だか腹を立てるのがバカバカしくなってきます。

もしくは“陰口モンスター”とか。それだとRPGの敵っぽくなって、攻撃したくなります。

そうですね、例えばこんな呪文を唱えるのはどうですか?「アイツも同じ悪口を言ってたよ」とか。恐らくかなりのダメージを与えることができるでしょう。

それで塞ぎ込んだら頭の中で「パララパッパラッパッパ~♪」とドラゴンクエストのレベルアップの音楽を奏でてみるとか。これもバカバカしくなりますね。

 

また、「何だかわからないけど、生理的に嫌い」っていう人もいるかもしれません。そんな人でもラベリングしてください。ネガティブな言葉でもいいので。例えば「あのクネクネした動きがとにかく嫌い」という場合なら、“クネクネ人間”とか。

そしてすれ違うたびに「あ、クネクネ人間だ」と頭の中で思うわけです。どうです? これまた、バカバカしいでしょ? バカバカしいと思ったら、もう嫌いという感情はそこにはないはずです。

バカバカしいと思えるということは、その人を客観的に見られているということ。なぜ客観的に見られるようになったのかというと、それはラベリングしたからなのです。

そう、言葉には魔力があります。言葉にし、ラベリングするだけでその人のあれこれを外在化し、観察対象にすることができます。すると主観的な感情が薄まるのです。言葉にすることで過去の歴史にしやすくなるのです。

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この続きは書籍『「しなやか脳」でストレスを消す技術』でお楽しみください。

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「しなやか脳」でストレスを消す技術

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篠原菊紀

脳科学者。諏訪東京理科大学共通教育センター教授。東京大学教育学部、同大学院教育学研究科等を経て現職。「学習しているとき」「運動しているとき」「遊んでいるとき」など日常的な場面での脳活動を調べ、幼児教育、介護予防、依存予防に活かす試みを続けている。NHK「ためしてガッテン」、日テレ「所さんの目がテン!」、フジテレビ「とくダネ!」の「脳活ジョニー」監修ほか、テレビ、ラジオ、雑誌、新聞、教材等で脳活動の面白さを伝えている。著書、監修多数。

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