会社に行きたくない、集中力が続かない、ついお酒を飲みすぎてしまう……。こうしたお悩みを脳科学と臨床心理学で解決してくれるのが、テレビでもおなじみ、篠原菊紀先生の『「しなやか脳」でストレスを消す技術』です。何かと不安やストレスの多い今だからこそ、「しなやか脳」を身につけたいもの。読んだらすぐに試せるノウハウを、特別にいくつかご紹介します。
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過度な飲酒はストレスを強化する
パーッと飲んでイヤなことを忘れちゃおう、と、ついつい毎日深酒をしてしまう。次の日つらくなるのがわかっていながら、毎日午前様。それで翌日案の定、二日酔いで頭はガンガン痛いし、結局愚痴や陰口ばっかり叩いていた自分を思い出して落ち込む日々。でも、仕事が終わったら、ついついまた飲みに行ってしまう……。
いかんですね。もったいない。だいたい、お酒の席での愚痴はストレス解消にはなりません。むしろお酒を飲みながらイヤなことを思い出すとよりその記憶が強化されるのだとか。
記憶は呼び出したときに不安定化しやすいので、イヤなことを思い出したときに違うことを考えたり、考え方の枠組みを変えたりすると(リフレーミング)、イヤな記憶が変わってくるのですが、お酒で前頭葉が活動を低下させると、記憶の抑制ができず、記憶回路がぶん回り、かえって強化されてしまうそうです。
つまりはストレスを解消するつもりが、ストレス強化。上司と一緒の無礼講なんて信じちゃいけないですね。無礼講だからと、面と向かって上司に言った一言は彼の脳に突き刺さり、いつの日にかねちっこいブーメランが。
だいたい午前様では、仮にストレスが解消したとしてもお酒や疲労が残り、それがストレスに。仕事の能率も下がるので、これもストレスに。
なので――、酒量が多いのは、実はストレス源だと認識する。
毎日午前様だと、アルコール依存症も疑わなければいけないので、WHOの診断基準「ICD-10」の物質依存の項目で、「物質」を「アルコール」に置き換えて紹介します。
過去1年間のある期間に、次の項目のうち3つ以上がともに存在した場合に、依存の確定診断を下します。
(a)アルコールを摂取したいという強い欲望あるいは強迫感。
(b)アルコール使用の開始、終了、あるいは使用量に関して、摂取行動を統制することが困難。
(c)使用を中止もしくは減量したときの生理学的離脱状態。離脱症候群の出現や、離脱症状を軽減するか避ける意図でアルコール(もしくは近縁の物質)を使用することが証拠となる。
(d)はじめはより少量で得られたアルコールの効果を得るために、使用量を増やさなければならないような耐性の証拠。
(e)アルコールのために、それに代わる楽しみや興味を次第に無視するようになり、アルコールを摂取せざるを得ない時間や、その効果からの回復に要する時間が延長する。
(f)明らかに有害な結果が起きているにもかかわらず、依然としてアルコールを使用する。
さあ、該当項目が3つ以上なら、とっとと医者に行きましょう。
実は高カロリー! 代表的なアルコールのカロリー表
また、アルコールは脂肪の代謝を落としますし、何といっても高カロリー。毎晩飲んでいて、かつつまみもがっつりでは太ります。生活習慣病は認知機能低下のリスク要因でもありますから、ほどほどに。
有難いことに、軽度から中程度の飲酒は低い証拠ながらアルツハイマー病予防に効果があると認められていますから、本当にほどほどが大事です。以下にアルコールのカロリーをざっくり書きました。ご参考まで。
・発泡酒中ジョッキ(435ml、438g)……197kcal
・生ビール中ジョッキ(435ml、438g)……175kcal
・生ビール大ジョッキ(700ml、706g)……282kcal
・日本酒(吟醸酒1合180ml、179g)……186kcal
・焼酎(乙類1合180ml、175g)……256kcal
・ウイスキー(シングル30ml)……71kcal
・紹興酒(1合180ml、181g)……230kcal
・グラスワイン白(100ml、99.8g)……73kcal
・グラスワインロゼ(100ml、100.2g)……77kcal
・グラスワイン赤(100ml、99.6g)……73kcal
まずは生ビール。それから焼酎水割りでぐいぐい行くと、あっという間に500キロカロリーオーバー。自転車漕ぎを40分くらいやっても消費カロリーは200キロカロリーにはなかなか達しません。歩行も含めた2、3時間相当のハードな運動の消費カロリーがだいたい500キロカロリー。ダイエットを目指すみなさんにはアルコールは恐るべき敵です。
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この続きは書籍『「しなやか脳」でストレスを消す技術』でお楽しみください。
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