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恋が覚めるのは当然のこと
結婚8年目。妻を好きでなくなってしまった。家に帰りたくない。実際、仕事を終えても真っ直ぐに家に帰らずに出歩いていることが多い。結果として、仕事にも支障を来しているのだが……。
だったらとっとと別れた方が……。
いえいえ、それでは無責任というもの。そんなことは十分わかっているけれど、別れる程とは思えない。別れるエネルギーもない。だからこそのお悩み、ご質問と解釈いたしましょう。だとすれば、この問題はほぼすべての人が抱える大問題になります。
みなさんうすうす(場合によってははっきりと)気が付いていると思いますが、恋の始まりのときや、結婚しようと思ったときの盛り上がりは、ほとんどの場合でとっくの昔に消え去っています。当時のラブな気持ちは失われ、あのときは見えなかったイヤなところばかりが目につく、鼻につく。
実際、恋のさなかでは、快感ややる気にかかわるドーパミン系が働くのと同時に、相手のイヤなところを見つける頭頂側頭接合部や扁桃体がその活動を低下させます。彼や彼女を見ると、なんだかいい気分になってわくわくドキドキ。ついでに「あばたもえくぼ」。イヤなところなんぞまったく見えないのです。
「だから」恋ができたり、結婚ができたりするわけです。でないと無理。そして、何と、恋の始まりのころに相手の顔写真を見ると、身体の痛みも軽減するそうです。ドーパミンによって痛みがマスクされるのだそうです。
しかし残念ながら、この状態はそうは長く続かない。ヘレン・フィッシャーによれば、3年もすればこの状態を脱し(?)、正常(?)になる。だから世界的に見て3、4年目での離婚が多いのだとか。
ならば、「妻(旦那)を好きでなくなった」もむべなるかな。冷静な(!)今の脳では、イヤなところが目につき、そろそろ違う畑で種をまきたいなー、といった感じで。なので、しょうがない。
では始まらないので、ここはひとつ「見ることは好きになること」という法則性を使います。
「見ること」で恋の気分がよみがえる
こんな実験が有名です。写真を2枚用意して、どちらが好きかを選ぶときに視線を追っていきます。すると最初均等に見比べていた視線が、決断の1秒ほど前から急激に一方に寄っていきます。そしてそちらの写真を選びます。
当たり前に思えるかもしれませんが、この視線の集中現象、「嫌い」を選ぶときには起きません。特徴を選ぶような課題でも起きません。「好き」を選ぶときだけ起こる特別な出来事らしいのです。
ならば視線の集中を操作すれば、好みの操作もできるのか?
というわけで、ディスプレイの左右に魅力の程度が似ている顔を表示して、片方を0.3秒、もう片方を0.9秒、交互に6回表示します。そして、どちらが好きかを選んでもらうと、やはり長く見せた方が統計的には好まれるそうです。「見ることは好きになること」。
そこでお答え――。妻を、旦那を1日3回、にっこりしながら見つめる。
嫌いになってくると、だんだん相手を見なくなっていきます。一緒に暮らしていても、目を合わせなくなります。これでは「見ることは好きになること」が使えません。そこで無理にでも奥さん、旦那さんを見るのです。そして、にっこりする。
前にもお話ししましたが、にっこり顔を作ると何だか楽しくなります。にっこり顔で日に3回見つめることを3週間も続ければ、何だか変な気分になってきます。
「俺、案外あいつが好きかも」
恋の気分がよみがえります。異性の少ない職場や学校で起きがちな現象を家庭内で起こすのです。きっと奥さんが何だかどんどん素敵に思えてきます。
それに合わせて、かたくなな相手の心も少しずつはほぐれてくるかもしれません。なかなかほぐれないようなら、にっこりのたびに1000円(この額は家の財政事情によります)渡します。すると、「あなたのにっこり」=「1000円」=「快感物質ドーパミン放出」、と、相手にも勘違いが起こってきます。
「もしかして、わたし旦那のこと案外好きかも……」
外の女性にお金を払うぐらいなら、奥さんに、です。ちなみにわたしは1日3回くらい、奥様にラブメールを送ります。ストーカーくんと見まがうばかりに。そのシーンがフジテレビ『エチカの鏡』という番組で紹介され、知り合いから「まじかよ」との問い合わせが多々ありましたが、「まじ」です。
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この続きは書籍『「しなやか脳」でストレスを消す技術』でお楽しみください。
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