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すべての不調は呼吸が原因

2020.11.14 公開 ポスト

コロナ禍のマスク生活、口呼吸が多くなっている人は要注意本間生夫

1日に2万回も空気を出し入れしているのに、当たり前すぎて普段意識することが少ない「呼吸」。呼吸は老化や衰えのスピードといった体調に影響しているだけではなく、人間の感情にも影響しているとおっしゃるのは、書籍『すべての不調は呼吸が原因』の著者・本間生夫さん。普段見過ごしがちな呼吸に注目し呼吸の力を鍛えることで、体と心をより良い方向へコントロールしていく方法を解説している本書から、抜粋してご紹介します。

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鼻呼吸のメリットと口呼吸のデメリットを知る

すでにご存じの方も多いとは思いますが、口で呼吸をするのは、非常によくない習慣です。

人間は鼻で呼吸をするのが基本。“鼻で息をしても、口で息をしても、出入りする空気は同じなんだから、どっちだって構わないだろう”と思う人もいるかもしれませんが、じつは鼻か口かでけっこうな差がつくものなのです。

では、鼻と口とでいったい何がどう違うのか。

(写真:iStock.com/aerogondo)

鼻呼吸のいちばんのメリットは、「保温機能・保湿機能つきの集塵(しゅうじん)フィルター」が備わっているところです。鼻から息を吸っていれば、鼻毛が天然のフィルターの役割を果たし、空気中のほこりや花粉、ゴミなどの異物を取り除いてくれます。

また、鼻腔からのどへと至る管を通るうちに、空気が適度な温度、適度な湿度に調整されるため、のどや気管にやさしいかたちで空気が送り込まれることになります。

それに、この保温機能・保湿機能により、低温や乾燥を好む風邪などのウイルスも繁殖しにくくなるでしょう。すなわち、鼻はたいへん優れた「エア・コンディショナー」の役割を果たしてくれているわけですね。

 

一方、口呼吸の場合は、こうしたエア・コンディショナーを通さずに、ダイレクトに空気が侵入してくることになります。

冬場、乾燥した冷たい空気がのどや気管、肺にじかに入ってきたらどうなるでしょう。冷たい外気の刺激はのどや気管の粘膜を傷めます。その刺激によって思わず咳込んでしまう人もいるかもしれません。

それに、乾燥した冷たい空気には、ほこり、花粉、ばい菌、ウイルスなどがうようよしていることでしょう。ほこりや花粉が侵入すればアレルギーなどの原因になりますし、風邪やインフルエンザのウイルスが侵入すれば、きっと大よろこびでのどの粘膜に取りついて繁殖するのではないでしょうか。

つまり、このように普段から口で息をしていると、免疫力が低下して、多くの不調やトラブルを背負いかねなくなるのです。しょっちゅう風邪をひいている人や頻繁にのどを傷めている人は、自分が口呼吸をしていないかどうか疑ってみるといいでしょう。

(写真:iStock.com/hannatverdokhlib)

それと、口呼吸の習慣がよくないのは、嗅覚の働きが鈍ってくる点です。

みなさんは、食事中、鼻をつまんで食べると味が分からなくなるのをご存じでしょうか? 鼻づまりに悩まされている人にも、食べているものの味がよく分からないという人がたくさんいます。

これは、味を感じるのに嗅覚が大きく影響していることを表しています。わたしたちが食べ物の風味を感じるのは、咀嚼と同時に鼻で息を出し入れして食べ物の香りをキャッチしているからなのです。

そして、普段から鼻で呼吸をせずに口で呼吸をしていると、香りの刺激が少なくなり、次第に嗅覚の働きが鈍ってきてしまうようになるわけです。

 

別に脅かすわけではありませんが、こうした嗅覚の低下は脳にも大きな悪影響をもたらします。

そもそも、嗅覚は脳の大脳辺縁系にダイレクトに届いて、大きな刺激を与えていることが知られています。大脳辺縁系には、不安や怒りなどの情動、危機察知、記憶処理などを司(つかさど)る部分があります。たとえば、嗅覚の発達した小動物は、外敵のにおいを瞬時にキャッチし、危険を悟って逃げたり隠れたりします。しかし、嗅覚が低下してくるとこうした重要なシグナルをキャッチできなくなり、刺激が減少して大脳辺縁系の働きが落ちてきてしまうようになるのです。

なお、脳の衰えとなると心配になってくるのが認知症ですが、嗅覚低下と認知症の関連性を調べた研究報告もあります。

じつは、アルツハイマー型認知症では、初期症状として「においが分からなくなる」という兆候が表れることが分かっていますし、実際に、「口呼吸をして嗅覚を衰えさせてしまうと認知症になりやすくなる」ということを報告している論文もあるのです。

ですから、嗅覚を衰えさせないため、脳を衰えさせないためにも、口ではなく、鼻から息を出し入れするほうがいいわけです。

 

もちろん、誰でも無意識のうちに多少は口呼吸をしているものなので、「絶対に口で息をするな」というわけではありません。それに、肺の疾患で呼吸をしづらい人の中には口呼吸をしたほうがいいケースもあります。

ただ、鼻呼吸のメリット、口呼吸のデメリットをちゃんと分かったうえで、よりよい呼吸をするようにシフトしていくことをおすすめします。最近は、睡眠中の口呼吸を防ぐために口を塞ぐテープなども市販されています。口呼吸に心当たりのある方は、そうしたグッズなども用いて改善をしていくといいでしょう。

関連書籍

本間生夫『すべての不調は呼吸が原因』

階段を上ると息切れする、ちょっとしたことですぐ咳込んでしまう、肺に十分な空気が入ってこない感じがする……。こうした呼吸の乱れを、年齢のせいと放置してはいけない。呼吸は1日約2万回。その質が悪いと、体を動かす力がなくなるばかりか、免疫力が低下して各臓器の働きが鈍化するなど、すべての不調の原因になるからだ。「浅くて速い」呼吸が不安やイライラを引き起こすなど、感情の動きにも影響していることも新たにわかった。本書では最新の医学的知見をもとに、「呼吸の力」を鍛えて心身の不調を撃退するメソッドを徹底解説。呼吸が変わるだけで体も変わる!

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すべての不調は呼吸が原因

1日に2万回も空気を出し入れしているのに、当たり前すぎて普段意識することが少ない「呼吸」。呼吸は老化や衰えのスピードといった体調に影響しているだけではなく、人間の感情にも影響しているとおっしゃるのは、書籍『すべての不調は呼吸が原因』の著者・本間生夫さん。普段見過ごしがちな呼吸に注目し呼吸の力を鍛えることで、体と心をより良い方向へコントロールしていく方法を解説している本書から、抜粋してご紹介します。

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