「重症化すると死ぬより苦しい」「新型コロナより恐ろしい」と言われる誤嚥性肺炎。なんと毎年、4万人もの命が奪われているそうです。『誤嚥性肺炎で死にたくなければのど筋トレしなさい』は、そんな誤嚥性肺炎の原因から予防法まで、すべてを網羅した貴重な一冊。まだ自分は若いから……と思った人は要注意! のどの老化は40代から始まります。ぜひ本書を片手に「のど筋トレ」を試してみてください。
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飲み込む力を鍛える「のど筋トレ」
のど筋トレはのど周辺を刺激するストレッチや体操を組み合わせています。のどの筋肉、首の筋肉、口、頬、舌など飲み込みに関係する箇所を動かすことで、それぞれの動きがよくなって飲み込む力が総合的に高まり、嚥下運動の改善・維持につながります。
5つの筋トレを紹介していますが、なかでも特に「嚥下おでこ体操」と「あご持ち上げ体操」は、のど仏を上下に動かす「喉頭挙上筋群」を直接、鍛えるので、毎日続けることで、着実にのどの筋肉が強くなります。
まだそれほどのどの筋肉が落ちていない方は、効果があるのか疑問に思われるかもしれませんが、だまされたと思って毎日続けてみてください。
70代、80代と高齢期を迎えた頃に、食事をおいしく食べられる力がついていることに気がつくでしょう。すでに嚥下機能が落ちてしまった方は、根気よく続けていくうちに飲み込む力の改善が感じられるはずです。
「のどE体操」は、それだけで行ってもいいのですが、「あご持ち上げ体操」といっしょに行うと効果がより高まります。
「シャキア・トレーニング」はアメリカのシャキア医師が考案した、のどの筋肉を鍛えるトレーニングで、世界各国の医療機関で取り入れられています。嚥下機能の改善には定番のトレーニングですが負荷が大きいので、高齢者にはおすすめしません。
すでに嚥下機能が落ちていてムセやセキ込みが頻繁にある方、液体でムセる方、錠剤の薬が飲み込みにくいといった方は、ここで紹介しているのど筋トレを、毎日やってみてください。難しい場合は、ご自身の体力や生活のサイクルに無理のないタイミングで行いましょう。
〈あご持ち上げ体操〉
あごの先に両手のグーを当てて、頭を下げながら、にぎりこぶしでぐっとあごを押し上げる体操です(イラスト参照)。嚥下おでこ体操と同じような動きで、こちらはのど仏の位置を上げた状態でキープすることになります。
吐き出す力をつける「呼吸筋トレ」
飲み込む力といっしょに鍛えたいのが、誤嚥しそうになったときにセキをする「吐き出す力」です。吐き出す力をつけるには、呼吸筋を鍛えましょう。呼吸筋が強くなると、横隔膜が大きく動くようになり、肺が大きく膨らんで肺活量も高まります。
てっとり早く呼吸筋を鍛える基本は、呼吸を意識することです。
腹式呼吸は横隔膜を大きく動かすので、おなかが動き便秘改善にも効果的な呼吸法です。
ここで紹介しているものは、すべて息を吐いたり、声を出したりすることで呼吸筋が鍛えられるトレーニングです。やりやすくて効果的なものをピックアップしました。ぜひ、毎日どれかひとつでいいので行ってみてください。
〈1分間音読〉
声を出すときには、肺から息を出して声帯を震わせているので、息を吐くときと同じ動きをしています。
すでに述べましたが、飲み込む機能と声を出す機能は、ほぼ同じ器官を使っています。声を出すだけ、例えば1分間音読するだけで、のど周辺の筋肉を鍛えることができますし、(4)の口すぼめ呼吸と同じ効果が期待できることになります。
ふだんから声に出して読む習慣をつけることで、吐き出す力をアップさせることができます。
時間に余裕があれば、食事前に1分間の音読をおすすめします。1日3分の音読を続けることで、のどと肺の機能がアップします。
音読するものはなんでもかまいません。天声人語など新聞の社説は音読するのにちょうどいい分量でおすすめです。
誤嚥性肺炎で死にたくなければのど筋トレしなさい
「重症化すると死ぬより苦しい」「新型コロナより恐ろしい」と言われる誤嚥性肺炎。なんと毎年、4万人もの命が奪われているそうです。『誤嚥性肺炎で死にたくなければのど筋トレしなさい』は、そんな誤嚥性肺炎の原因から予防法まで、すべてを網羅した貴重な一冊。まだ自分は若いから……と思った人は要注意! のどの老化は40代から始まります。ぜひ本書を片手に「のど筋トレ」を試してみてください。