「名前は知ってたけど、実はこんなことしてたの?」「一気に時代が動いた、その全体像がようやくつかめた!」「悲劇が多すぎて、涙なしに読めない!」。連載時から大きな反響を呼んだ、お笑い芸人・房野史典さんの『笑えて、泣けて、するする頭に入る 超現代語訳 幕末物語』。超フクザツな幕末の流れがスルスル理解できるうえ、教科書では読めない面白エピソードも満載の一冊です。今回はその中から、幕末の大人気ヒーロー・坂本龍馬の素顔と、彼がなしとげた偉業についてご紹介します。
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「夢物語」だった薩長同盟
第一次長州征討がムチャクチャ不発に終わった幕府は、
「ぬるい!! 長州をもっとバチバチにシバかないと。もう一回攻めるぞ!」
てなテンションで、“第二次”を起こそうとします。
しかし、この行為にみんな(いろんな藩)ドン引き。
「えー……長州謝ったじゃん……。戦うってなに? 幕府スベってねーか?」
こんな声がチラホラ聞こえてくるようになります。
そんな状況でセツジツに望まれたのが、
《雄藩連合》(強ぇー藩と強ぇー藩のドッキング)。
あちこちで「雄藩同士が手を結んで、幕府を倒しちゃった方がいい!」という話題で持ちきりになるわけです。
そして、手を結んでほしいランキング第1位はやっぱり、
薩摩×長州。
・どちらも中央政治をリードした経験がある藩だから、これ以上の組み合わせはないと思います(男性/30代/藩士)
・人材も豊富だし、関ヶ原のとき西軍だったって共通点もあるし、最高です!(男性/20代/志士)
・アガる(男性/50代/家老)
こんな意見がわんさか(想像っす)。
しかし、全員最後には、「でもな……」というつぶやきのあと、一拍置いて共通の言葉が続きます……。
「仲悪ぃんだよなーーー!!」
そう、仲悪いんです。
何度も薩摩と会津に行く手を阻まれ、仲間も志も八つ裂きにされた長州。
薩摩・会津に対する長州の強烈な憎悪は、そんじょそこらのもんじゃありません。
長州藩士は履物に、
「薩賊会奸(「薩摩も会津も最低最悪なヤツら」って感じのディスり)」
って書いて、それを踏みつけながら歩いてたほど……。
で、薩摩も長州のことをそれなりに嫌ってます。
薩摩と長州が手を結ぶ……漫画なら、昨日まで敵だったアイツが主人公に力を貸して、新たな敵に立ち向かうという読者全員トリハダシーン。
しかし、現実は甘くなかった。
2つの藩の遺恨は、それほど根深かった。
そんなもの、誰もが夢物語だと思った。
それでも薩摩と長州の同盟を心の底から願い、本気で実現しようとした男たちがいた(プロジェクトえーっくす)。
中岡慎太郎
土方久元
そして、
坂本龍馬。
「やっと出てきた!!」って感じの大人気幕末志士ですね。
龍馬と勝海舟が出会うまで
では、龍馬が薩摩と長州に絡んでくるまでを、ことさら雑に紹介しときます。
坂本龍馬。
天保6年(1835年)土佐藩(高知ね)生まれで、姉“乙女”のスパルタ教育ですくすく育つ。
育ったら、親友の(遠い親戚でもある)武市半平太が結成した《土佐勤王党》に参加して、尊王攘夷バリバリの若者に成長するけど、
坂本龍馬「なーんか、チゲーな……」
土佐勤のやり方に違和感バリバリになり、「土佐にいたんじゃ自分のやりたいこともできねー」ってことで、仲間と一緒に脱藩(完ペキな理由はわかってないよー)。
土佐出て、当時一流と呼ばれた、松平春嶽、横井小楠、大久保一翁とかと、どんどん交流を重ねていく龍馬に、センセーショナルな出会いが到来します。その人物が、
勝海舟。
龍馬「あんたが勝海舟か?」
勝海舟「なんだ殺気立ってんな。オレを斬るのは、話を聞いてからでも遅くねぇだろ」
攘夷派の龍馬は、勝さんを斬るつもりだったけど、外国がいかにすごいかを説明され、
勝「だから貿易をして、資金をつくって、その金で“日本の海軍”をつくるべきなんだ」
龍馬「先生ーーーーー!!」
考えが百八十度変わり、そのまま勝さんに弟子入り(これは、勝さんが語った有名エピソードですが、龍馬は春嶽さんからの紹介なんで、「斬りにきた」っていうのはビミョー。勝さん、話を盛った可能性あります)。
そこから勝&龍は、夢である海軍をつくるためにちょー奮闘。
このとき、龍馬が姉の乙女にあてた手紙では、
「最近は、勝海舟という大先生の弟子となって、メチャクチャかわいがられております。“兵庫”ってところに海軍の訓練所をつくんだよ! 実は……ちょっとボク、エヘン顔してます。すごい人(勝さん)は“才能あるヤツ(自分)”を見つける力がすごいですね! やっぱりエヘンエヘン 龍馬 乙女姉さんへ」
ウキウキモード全開。「エヘン」てのはホントに書いてます。かわいい。
笑えて、泣けて、するする頭に入る 超現代語訳 幕末物語
名前は知ってたけど、実はこんなことしてたの? 一気に時代が動いた、その全体像がようやくつかめた! 悲劇が多すぎて、涙なしに読めない! 連載時から大きな反響を呼んだ、お笑い芸人・房野史典さんの『笑えて、泣けて、するする頭に入る 超現代語訳 幕末物語』。超フクザツな幕末の流れがスルスルわかるうえ、教科書では読めない意外なエピソードも満載の一冊です。今回はその中から、幕末のヒーロー・坂本龍馬の素顔と、彼がなしとげた偉業についてご紹介します。