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笑えて、泣けて、するする頭に入る 超現代語訳 幕末物語

2021.04.05 公開 ポスト

「薩長同盟」成立の裏側で、坂本龍馬は何をどのように動かしていたのか?房野史典

「名前は知ってたけど、実はこんなことしてたの?」「一気に時代が動いた、その全体像がようやくつかめた!」「悲劇が多すぎて、涙なしに読めない!」。連載時から大きな反響を呼んだ、お笑い芸人・房野史典さんの『笑えて、泣けて、するする頭に入る 超現代語訳 幕末物語』。超フクザツな幕末の流れがスルスル理解できるうえ、教科書では読めない面白エピソードも満載の一冊です。今回はその中から、幕末の大人気ヒーロー・坂本龍馬の素顔と、彼がなしとげた偉業についてご紹介します。

*   *   *

「夢物語」だった薩長同盟

第一次長州征討がムチャクチャ不発に終わった幕府は、

「ぬるい!! 長州をもっとバチバチにシバかないと。もう一回攻めるぞ!」

てなテンションで、“第二次”を起こそうとします。

(写真:iStock.com/Derek Brumby)

しかし、この行為にみんな(いろんな藩)ドン引き。

「えー……長州謝ったじゃん……。戦うってなに? 幕府スベってねーか?」

こんな声がチラホラ聞こえてくるようになります。

そんな状況でセツジツに望まれたのが、

《雄藩連合》(強ぇー藩と強ぇー藩のドッキング)。

あちこちで「雄藩同士が手を結んで、幕府を倒しちゃった方がいい!」という話題で持ちきりになるわけです。

そして、手を結んでほしいランキング第1位はやっぱり、

薩摩×長州

・どちらも中央政治をリードした経験がある藩だから、これ以上の組み合わせはないと思います(男性/30代/藩士)

・人材も豊富だし、関ヶ原のとき西軍だったって共通点もあるし、最高です!(男性/20代/志士)

・アガる(男性/50代/家老)

こんな意見がわんさか(想像っす)。

しかし、全員最後には、「でもな……」というつぶやきのあと、一拍置いて共通の言葉が続きます……。

「仲悪ぃんだよなーーー!!」

そう、仲悪いんです。

何度も薩摩と会津に行く手を阻まれ、仲間も志も八つ裂きにされた長州。

薩摩・会津に対する長州の強烈な憎悪は、そんじょそこらのもんじゃありません。

長州藩士は履物に、

薩賊会奸(「薩摩も会津も最低最悪なヤツら」って感じのディスり)」

って書いて、それを踏みつけながら歩いてたほど……。

で、薩摩も長州のことをそれなりに嫌ってます。

薩摩と長州が手を結ぶ……漫画なら、昨日まで敵だったアイツが主人公に力を貸して、新たな敵に立ち向かうという読者全員トリハダシーン。

しかし、現実は甘くなかった

2つの藩の遺恨は、それほど根深かった。

そんなもの、誰もが夢物語だと思った。

それでも薩摩と長州の同盟を心の底から願い、本気で実現しようとした男たちがいた(プロジェクトえーっくす)。

中岡慎太郎

土方久元

そして、

坂本龍馬

「やっと出てきた!!」って感じの大人気幕末志士ですね。

龍馬と勝海舟が出会うまで

では、龍馬が薩摩と長州に絡んでくるまでを、ことさら雑に紹介しときます。

(写真:iStock.com/mitumal)

坂本龍馬

天保6年(1835年)土佐藩(高知ね)生まれで、姉“乙女”のスパルタ教育ですくすく育つ。

育ったら、親友の(遠い親戚でもある)武市半平太が結成した《土佐勤王党》に参加して、尊王攘夷バリバリの若者に成長するけど、

坂本龍馬「なーんか、チゲーな……」

土佐勤のやり方に違和感バリバリになり、「土佐にいたんじゃ自分のやりたいこともできねー」ってことで、仲間と一緒に脱藩(完ペキな理由はわかってないよー)。

土佐出て、当時一流と呼ばれた、松平春嶽、横井小楠、大久保一翁とかと、どんどん交流を重ねていく龍馬に、センセーショナルな出会いが到来します。その人物が、

勝海舟

龍馬「あんたが勝海舟か?」

勝海舟「なんだ殺気立ってんな。オレを斬るのは、話を聞いてからでも遅くねぇだろ」

攘夷派の龍馬は、勝さんを斬るつもりだったけど、外国がいかにすごいかを説明され、

「だから貿易をして、資金をつくって、その金で“日本の海軍”をつくるべきなんだ」

龍馬「先生ーーーーー!!」

考えが百八十度変わり、そのまま勝さんに弟子入り(これは、勝さんが語った有名エピソードですが、龍馬は春嶽さんからの紹介なんで、「斬りにきた」っていうのはビミョー。勝さん、話を盛った可能性あります)。

そこから勝&龍は、夢である海軍をつくるためにちょー奮闘

このとき、龍馬が姉の乙女にあてた手紙では、

「最近は、勝海舟という大先生の弟子となって、メチャクチャかわいがられております。“兵庫”ってところに海軍の訓練所をつくんだよ! 実は……ちょっとボク、エヘン顔してます。すごい人(勝さん)は“才能あるヤツ(自分)”を見つける力がすごいですね! やっぱりエヘンエヘン 龍馬 乙女姉さんへ」

ウキウキモード全開。「エヘン」てのはホントに書いてます。かわいい。

関連書籍

房野史典『笑えて、泣けて、するする頭に入る 超現代語訳 幕末物語』

猛烈なスピードで変化し、混乱を極めた幕末。吉田松陰は、プリズンライフをエンジョイして牢獄を学校にしちゃうし、勝海舟は幕府を「オワコン! 」って言っちゃうし、坂本龍馬が新時代の構想をパーフェクトに語った噂は嘘かもしれないし。超フクザツで、その分ドラマチックな時代を、「圧倒的に面白い」「わかりやすい」と評判の超現代語訳で一気読み。

房野史典『笑って泣いてドラマチックに学ぶ 超現代語訳 戦国時代』

欲、プライド、裏切り、友情、愛、別れ……。戦国時代ほど、感動満載、人間関係ドロドロ、かつ超フクザツな時代はない。「昼ドラみたいな応仁の乱」「超嫌われ者だけどマジメでいいやつ石田光成」「家康をビビらせまくった真田昌幸の最期」など、軽やかな語り口で時代の流れがみるみる頭に入る。笑いあり涙あり、日本史愛が加速する戦国時代解説本。

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笑えて、泣けて、するする頭に入る 超現代語訳 幕末物語

名前は知ってたけど、実はこんなことしてたの? 一気に時代が動いた、その全体像がようやくつかめた! 悲劇が多すぎて、涙なしに読めない! 連載時から大きな反響を呼んだ、お笑い芸人・房野史典さんの『笑えて、泣けて、するする頭に入る 超現代語訳 幕末物語』。超フクザツな幕末の流れがスルスルわかるうえ、教科書では読めない意外なエピソードも満載の一冊です。今回はその中から、幕末のヒーロー・坂本龍馬の素顔と、彼がなしとげた偉業についてご紹介します。

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房野史典

1980年、岡山県生まれ。名古屋学院大学卒業。お笑いコンビ「ブロードキャスト!!」のツッコミ担当。無類の戦国武将好きで、歴史好き芸人ユニット「ロクモンジャー」を結成し、歴史活動にも意欲的。子どもたちに歴史の面白さを教える授業も好評。初の著書『笑って泣いてドラマチックに学ぶ 超現代語訳 戦国時代』でブレイク。その他の著書に、『笑えて、泣けて、するする頭に入る 超現代語訳 幕末物語』『時空を超えて面白い! 戦国武将の超絶カッコいい話』など。

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