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笑えて、泣けて、するする頭に入る 超現代語訳 幕末物語

2021.04.07 公開 ポスト

薩摩×長州…夢の最強タッグをつくりたい坂本龍馬と、歴史的ドタキャンをした西郷隆盛房野史典

「名前は知ってたけど、実はこんなことしてたの?」「一気に時代が動いた、その全体像がようやくつかめた!」「悲劇が多すぎて、涙なしに読めない!」。連載時から大きな反響を呼んだ、お笑い芸人・房野史典さんの『笑えて、泣けて、するする頭に入る 超現代語訳 幕末物語』。超フクザツな幕末の流れがスルスル理解できるうえ、教科書では読めない面白エピソードも満載の一冊です。今回はその中から、幕末の大人気ヒーロー・坂本龍馬の素顔と、彼がなしとげた偉業についてご紹介します。

*   *   *

龍馬が目指した「雄藩連合」

坂本龍馬が歴史に名を残す活躍を見せるのは、ここからなんです。

(写真:iStock.com/idmanjoe)

龍馬、会社(みたいなもん)つくります

現代の“商社”のような“株式会社”のような組織、

亀山社中(貿易やりーの、政治活動もしーの、個人的な海軍でもありーの、な組織)

ってのをつくるんです(カンパニーだね)。

この亀山社中を使って「日本をどうにかしなきゃ!」と爆裂に挑戦したのが、

薩摩×長州の雄藩連合です。

このときの西郷さんや小松さんは、「幕府が長州を攻めるの反対!」って考えだから、今が仲直りの大チャンス。

薩摩の考えを知ってるフリーランス坂本は、まず長州の人間に会います。

龍馬「今こそ長州と薩摩が手を組むべきじゃありませんか?」

長州藩士「手ぇ組むぅ!? 薩摩と!? すごいこと言ってるよ! うーん、オレらじゃ返事できないからさ、うちのリーダーに会ってみて!」

長州のリーダーとは、ご存知、

桂小五郎のことです。

龍馬は、桂さんに会うため下関へGOするんですが、そこで待っていたのは“新たな仲間”との出会い。

土方久元(同じ土佐出身)「オレらは桂さんと西郷さんを引き合わせようとしてんのよ。オレが桂担当、中岡が西郷担当で。もうすぐ、中岡が西郷さんを連れて来てくれるはず!」

龍馬「最高じゃん! よし、手伝う! てか、オレこれから桂さんと会うし!」

同じ考えのもとに動いていた仲間が集うという、何かが起こりそうなシンクロニシティバリバリ。

そして、桂さんが下関にやって来ます。

桂小五郎「なるほど……薩摩と和解か……。本当に西郷はここに来るのか?」

龍馬「来ます!!」

「信じられん……。だがもし西郷が来たなら、長州をなぜここまで追い詰めたのかを問いただしてやる! しかし、今一番力のある薩摩に協力してもらえるなら、それはそれで嬉しい!」

桂さん、好感触。

するとそこへ、西郷さん担当の中岡が、下関に到着。ただ、とんでもなく青ざめた顔で……。

来るはずだった西郷さんが……

龍馬「……『どした?』って聞くのも怖ぇーけど……どした?」

中岡慎太郎「……西郷が……来てない」

龍馬「えーーーー!?」

(写真:iStock.com/ablokhin)

西郷さん、歴史的ドタキャン

本当は、薩摩から大坂に向かう船が、途中で下関に寄る予定でした。

中岡は、西郷さんと一緒にその船に乗ったんです。乗ったんですが……

西郷「ごめん! 京都からお知らせ届いた! このまま大坂行くね!」

中岡「え」

西郷「中岡さんは途中で降ろしてあげるから心配しないで!」

中岡「え」

西郷「(中岡降ろして)じゃ!」

中岡「え」

で、西郷さんはそのままスイー……(京都にいる大久保利通さんに呼ばれた……薩摩では長州を嫌ってる人がいっぱいいて、それをまだまとめきれてなかった……とかいろんな説が)。

西郷さんがブッチしたことを知った桂さんは、ブチギレるわけですよ。

「ほらなーー!! だから薩摩も西郷も信用ならねーんだよ! だまされた! 君たちを信じた僕がバカだった!!」

ヤバイ……このままだとすべてが水の泡になる。

ただ、何もできない龍馬と中岡は、ひたすら謝り倒します。

龍馬&中岡「ごめんなさい! 本当に申し訳ない! でもワンチャン!! マジワンチャンください!!」

「……わーったよ! ワンチャンやるよ!」

龍馬&中岡「ありがとうございます!!」

「ただし! それには条件がある。薩摩から正式な謝罪を入れること。そしてもう一つは……」

実はこのときの長州は、幕府が外国に「長州とは取り引きしないでください」って言っちゃってたから、一切の武器類を手に入れることができない状態。

だから、桂さんが出したもう一つの条件とは、

「“薩摩の名義”で軍艦と武器を購入し、それを長州に横流ししてほしい」

だったんです。

龍馬と中岡は「りょうかい! 薩摩に伝えます!」っつって、京都にいる西郷さんのもとへ。

西郷「なるほど……。了解しました。ただし!」

龍馬「(お前も条件出すの?)」

西郷「『お前も条件出すの?』みたいな顔すんな! 薩摩は不作だったから、長州にお米をいーっぱい用意してもらいたい!」

龍馬「オッケーす!」

ここでも条件を受け取る龍馬。

これクライアントがいて、仲介して、納品する……的な、すっごく会社の仕事っぽい……。

「亀山社中の出番だーー!!」

「ラジャー!!」

ついに亀山社中、初仕事

龍馬から指示を受けた亀山社中は、イギリス商人・グラバーさんから薩摩名義で軍艦と銃を購入。それを長州に運搬します(買うときのお金は薩摩が出すけど、あとで代金は長州が薩摩に支払うよ)。

買い付け、運送、仲介。亀山社中の完ペキな企業っぷりで、長州は《ユニオン号》という軍艦と、洋式の銃7300挺を手に入れます。

いよいよ、夢のタッグ完成間近

関連書籍

房野史典『笑えて、泣けて、するする頭に入る 超現代語訳 幕末物語』

猛烈なスピードで変化し、混乱を極めた幕末。吉田松陰は、プリズンライフをエンジョイして牢獄を学校にしちゃうし、勝海舟は幕府を「オワコン! 」って言っちゃうし、坂本龍馬が新時代の構想をパーフェクトに語った噂は嘘かもしれないし。超フクザツで、その分ドラマチックな時代を、「圧倒的に面白い」「わかりやすい」と評判の超現代語訳で一気読み。

房野史典『笑って泣いてドラマチックに学ぶ 超現代語訳 戦国時代』

欲、プライド、裏切り、友情、愛、別れ……。戦国時代ほど、感動満載、人間関係ドロドロ、かつ超フクザツな時代はない。「昼ドラみたいな応仁の乱」「超嫌われ者だけどマジメでいいやつ石田光成」「家康をビビらせまくった真田昌幸の最期」など、軽やかな語り口で時代の流れがみるみる頭に入る。笑いあり涙あり、日本史愛が加速する戦国時代解説本。

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笑えて、泣けて、するする頭に入る 超現代語訳 幕末物語

名前は知ってたけど、実はこんなことしてたの? 一気に時代が動いた、その全体像がようやくつかめた! 悲劇が多すぎて、涙なしに読めない! 連載時から大きな反響を呼んだ、お笑い芸人・房野史典さんの『笑えて、泣けて、するする頭に入る 超現代語訳 幕末物語』。超フクザツな幕末の流れがスルスルわかるうえ、教科書では読めない意外なエピソードも満載の一冊です。今回はその中から、幕末のヒーロー・坂本龍馬の素顔と、彼がなしとげた偉業についてご紹介します。

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房野史典

1980年、岡山県生まれ。名古屋学院大学卒業。お笑いコンビ「ブロードキャスト!!」のツッコミ担当。無類の戦国武将好きで、歴史好き芸人ユニット「ロクモンジャー」を結成し、歴史活動にも意欲的。子どもたちに歴史の面白さを教える授業も好評。初の著書『笑って泣いてドラマチックに学ぶ 超現代語訳 戦国時代』でブレイク。その他の著書に、『笑えて、泣けて、するする頭に入る 超現代語訳 幕末物語』『時空を超えて面白い! 戦国武将の超絶カッコいい話』など。

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