「名前は知ってたけど、実はこんなことしてたの?」「一気に時代が動いた、その全体像がようやくつかめた!」「悲劇が多すぎて、涙なしに読めない!」。連載時から大きな反響を呼んだ、お笑い芸人・房野史典さんの『笑えて、泣けて、するする頭に入る 超現代語訳 幕末物語』。超フクザツな幕末の流れがスルスル理解できるうえ、教科書では読めない面白エピソードも満載の一冊です。今回はその中から、幕末の大人気ヒーロー・坂本龍馬の素顔と、彼がなしとげた偉業についてご紹介します。
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「海援隊」の誕生と「船中八策」
土佐藩の幹部クラス・後藤象二郎は悩んでました。
後藤象二郎「土佐藩ってば影うすい! 中央の政治から遠ざかっちゃって、しょぼぼんだ! 土佐をもっと強く豊かにしたい! オレは何かに目をつけるぞ!」
と言って目をつけたのが、土佐出身の坂本龍馬。
貿易やるわ、薩摩と長州仲良くさせるわで大活躍の、龍馬&亀山社中に大注目したんです。
でも、後藤と龍馬にはなかなかの因縁が……。
龍馬の友人の武市半平太や土佐勤王党メンバーを処刑した張本人は後藤です。一方、その後藤は、義理の叔父である吉田東洋を、龍馬が所属していた土佐勤王党に暗殺されています。
まっすぐに敵同士。という2人が、話し合いをしたわけです。
亀山社中メンバー「坂本さん、後藤のヤローどうでした!?」
龍馬「おもしろいやつかも! オレらむちゃくちゃ敵同士なのに、過去には一切触れず、これからのこと、未来のことしかしゃべらないんだよ!」
亀メン「いろんな人見てきた坂本さんがアリなら、アリなんでしょうね!」
後藤は龍馬の脱藩の罪を許し、亀山社中ごと土佐藩に引き入れます(ちなみに龍馬くん、1回目の脱藩は勝さんのおかげでチャラになってるけど、もう一回脱藩してたんす)。
と同時に、亀山社中はメタモルフォーゼし、
海援隊
って名前の組織に大変身(土佐藩を“海”から“援護”するって意味ね)。
龍馬と後藤、ガッツリ力を合わせ始めます。
で、そこからすぐです。
《四侯会議》まっただ中の山内容堂(土佐の殿)さんから後藤に、「後藤ー。京都来てー。会議がグダグダなのよー。力貸してーー!!」との呼び出しが。
後藤は龍馬を誘い、京都へ出発します。
この行きの船の中で、龍馬と後藤の、いや土佐藩の、いや幕府の、いや日本の、いや幕末の、もうどれでもいいんですが、運命を決定づけるアイデアが龍馬から披露されるんです。
そして「大政奉還」へ……
龍馬「まず1つめはね、“この国の政権を朝廷に返して”、国の命令は朝廷から出すことにしたらいいと思うんだ。次、2つめ。上院、下院の議会をつくって、そこに議員置いてさ、ぜんぶ会議で決定したらどうかな」
後藤「……なんかスゲーこと言い始めた!」
長岡(海援隊の人)「メモります!」
龍馬「3、能力ある公家や大名、世の中の優秀なヤツに官位あげてさ、お飾りの官位やめよ。
4、外国との付き合いは、ひろーく会議してさ、新しくていい感じの条約結ぼうぜ。
5、昔からの法律生かしてさ、新しい完ペキな憲法つくろ。
6、海軍強くしよ。
7、天皇を守る兵をつくって、京都を守ろ。
8、金銀物価は、外国と平均にする法律をつくろ。
これからの日本、こんな考え良くない?」
後藤「……最高かよ」
龍馬がぶっ込んだ、議会、人材、新条約、憲法……新時代の構想がパーフェクトに入ったこの“船の中の八つの策”は、
船中八策
と呼ばれるもの(《船中八策》は文書として残ってないから「これはフィクションだ!」っていう説も根強いよ)。
んで、船中八策にある“この国の政権を朝廷に返して……”って考え。
「幕府が政治する権利を朝廷に返しちゃう」、これこそ、幕末クライマックス最重要ワード、
《大政奉還》
と呼ばれるやつでございます。
勝海舟、大久保一翁、松平春嶽、横井小楠……といった龍馬の仲良しさんたちがずっと唱えてきた「もうこれしかねーだろ」理論です。
後藤「これ、殿(容堂さん)に言おう! で、殿の許可もらって幕府に行こう! この案が採用されれば、土佐藩は脚光浴びまくりだ!」
龍馬「政治の権利を朝廷に返せば、幕府をぶっ倒す理由がなくなる……すべてが平和に解決できる!」
龍馬&後藤「やるっきゃねーだろ大政奉還!」
土佐藩と日本の明るい未来に、胸が躍る龍馬と後藤。
これが土佐藩で生まれた“もう一つ”の考え。
「《大政奉還》で、平和に革命しよう!」です。
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