免疫は自分で作れる最強ワクチン。どんなに医学が進んでも生活の中で鍛えるしかないのですエリカ・アンギャル

コロナ感染症に対して、ワクチンの接種が始まりましたが、その効果は未知数です。2月25日に発売されるエリカ・アンギャルさんの新刊『最強でエレガントな免疫を作る100のレッスン』でお伝えするのは、私たちの身体が持つ天然の最強ワクチン「免疫システム」をより強化する方法。まずは「はじめに」をお届けします。

悪いのは細菌ではない。
自分の体内環境を改善すればよいのだ。

――19世紀に活躍したフランスの細菌学者　ルイ・パスツール

「健康」そのものを体内に注射で注入することはできません

新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大によって、未だに多くの人にとって先の見えない不安な日々が続いています。未知の病原体による強制的なパラダイムシフト（価値観の変化）で、日常生活の様々な場面で変化への適応が求められる今、近代細菌学の父と呼ばれるルイ・パスツールが約160年も前に残した言葉に、これからの健康に対する意識改革のヒントが隠されているように思えます。

病原体との闘いは、その特効薬やワクチンが開発されれば終わりということにはなりません。なぜなら、たとえ新型コロナウイルスの感染が収束しても、また新たな病原体が生まれ、それが繰り返されていくからです。

でも、悲観する必要はありません！　ルイ・パスツールの言葉のように、意識を病原体ではなく自分自身の体に向けてみればよいのです。

私たちの体には、信じられないほど強くて、この上なくエレガントな「免疫」というシステムが備わっています。免疫は体内にバリアを形成し、24時間休むことなく病原体の攻撃から守ってくれます。その頼もしさは、まるで正義の味方のスーパーマンのよう。

その上、免疫は美しさとも切っても切れない密接な関係があります。強いだけでなく、ビューティー面もきちんとケアするエレガントさは、ワンダーウーマンのようでもあります。私たちが生まれながらに持っているこの驚くほど優れたシステムをしっかりと機能させていれば、これから先どんな病原体が現れても過剰に恐れる必要はないのです。

しかし、免疫システムがうまく機能していないと、バリアが弱まり、スーパーマンとワンダーウーマンが本領を発揮できなくなってしまいます。残念ながら今の時代を生きるほとんどの人たちが、免疫システムを破壊する悪いお手本のような生活を送っています。その他にも、不適切な抗生物質の服用、抗菌石鹼やアルコール手指消毒液の過剰使用も免疫システムに悪影響を及ぼす可能性があることは、日本ではまだあまり知られていません。

病原体から身を守るための奇跡の薬やサプリメントはありません。どんなに医学が進んでも、「健康」そのものを注射で体内に注入することもできません。しかし、あなたの免疫システム自体が、世界で最も優れた自然の薬局になり得るのです。

あなたの体は、病原体と闘うために免疫細胞という優れた自然薬を作ります。この免疫細胞は、たとえウイルスに感染しても、あなたを健康に保つために非常に重要な役割を果たします。免疫システムは自分専用の特別医療チームであり、免疫細胞はオーダーメードの薬ですから副作用は一切ありません！

私たち人間は、細菌、ウイルス、真菌、寄生虫などの微生物とはるか昔から共存してきました。新型コロナウイルスは驚異的な速さで地球上に広がり、歴史に残る大きなインパクトを残しましたが、決して史上最後のウイルスにはなりません。またすぐに、さらに手強いウイルスが発生する可能性もあるのです。

ですから、それらを消滅させるという考えは、非常に時代遅れです。新たな病原体が発生するたびにそれを敵視して必死に撲滅（ぼくめつ）を目指すのでなく、普段から自分の免疫力を最大限に高めておいて、その病原体とうまく共存する道を模索するのが最も賢い方法です。

私は、これまで美とダイエットに関するアドバイスを多くしてきました。しかし、もともとオーストラリアで学んだ栄養学は、免疫系、免疫と栄養の関係を様々な角度から捉えたものでした。もちろん現在もその分野に関しては、最新の情報をチェックして、常に知識をアップデートしています。そこで実感するのは、食べ物、ライフスタイルが、私たちの身体の免疫機能にいかに大きく関わっているか、ということです。今こそ、その知識をみなさんにお伝えしたく思います。

新型コロナウイルスの脅威の中で、これから一体どうなってしまうのだろうと漠然とした不安に襲われている方も多いと思いますが、ぜひこの機会を健康と美容に対する考え方を変える絶好のチャンスと捉えてみてください。

この本が、もっと美しくなりたいと願うポジティブなモチベーションを持ち続けたまま、心身共に健康的でしなやかに生き延びるため、食生活やライフスタイルを変えるきっかけになり、ずっとあなたに寄り添って応援し続けるお守りのような存在になれたら嬉（うれ）しいです。