私大入学者全体の半数以上が一般受験ではなく、総合型選抜(旧AO入試)や推薦入試で入学しているということをご存じでしょうか。
Netflixで大人気の韓国の熾烈な受験戦争を描くドラマ『SKYキャッスル』でも「学力絶対主義の時代は終わったの」というセリフがあるほど、総合型選抜が世界のスタンダードになりつつあります。
延べ3万人以上の高校生を難関大合格に導いてきた、総合型選抜のプロである青木唯有氏の著書『親が偏差値思考をやめれば、不思議なほどわが子は伸びる』では、親子で新時代入試を乗り越える方策をご紹介しています。本書から一部抜粋して、試し読みをお届けします。
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日常の喜怒哀楽がポートフォリオを分厚くしていく
身も蓋もない言い方になるかもしれませんが、「受験があるから」とか「就活のために」といった動機からは、自分らしく実のあるポートフォリオは作成されないように思います。
なぜならば、真のポートフォリオは「常時観測」をしてこそ作られていくものだからです。「常時観測」とは、一時点もしくは一時期ではなく、自分を観測することを常時続けて、自分のストーリーを自覚的に捉える行為のことです。
だからこそ、日常の自分の中にある「喜怒哀楽」に耳を傾けることがとても重要になります。人間の行為行動の裏には、心の変化がつきものです。日々発生するさまざまなことに対し、感動したり面白がったり、時には落ち込んだり泣いたり、絶えず心を動かしながら生活しています。ポートフォリオのベースにあるものは、そういう心の動きです。ですが、こうした心の動きは川の流れのようで、決して一箇所に止まっていてはくれません。
ですから、毎日の暮らしの中で、嬉しかったことや悲しかったことなど、そのときどう感じ、何を考えたのかを親子の中で言葉にして共有する行為は、実はポートフォリオを作成する上で非常に意味があります。
「ポートフォリオを作るために、自分にこれまでに起きたことを書き出してください。そのとき自分が何を感じ、どう変化したかもなるべく具体的に書いてください。また、親御さんは親御さんの視点で構いませんので、お子さんについて同様に書き出してみてください」と言うと、多くの場合本人である子ども以上に親の方がわが子のプロセスを事細かに書き出します。
「あのときをきっかけに、あなたはこれを好きになったのよ」とか「このときの落ち込みようは大変だったけれど、それをきっかけに強くなったよね」など、子ども本人が忘れてしまったような、今の本人をひもとくカギとなるエピソードも、実は親の記憶から思い出されることがしばしばあります。それは、子どもの喜怒哀楽、心の動きに絶えず寄り添う最大の存在が親だからなのだと思います。
つまり、親はわが子にとって最大の「常時観測」装置なのです。
親が偏差値思考をやめれば、不思議なほどわが子は伸びる
総合型選抜(旧AO入試)のプロである著者は、のべ3万人以上の高校生を難関大合格に導いてきた。偏差値を使わない新時代入試の乗り越え方とは? 親子で今すぐ実践できる最新教育メソッド。