どうすれば人の心を読み、つかむことができるのか。多くのビジネスパーソンが頭を悩ませている問いのヒントを教えてくれるのが、「日本一の人脈を持つサービスマン」として知られる萩原清澄さんの著書、『サービスマンという病い』。超一流レストランの統括支配人として、経営者から芸能人まで、名だたるVIPをもてなしてきた萩原さんにしか書けない本書から、とっておきの秘策をご紹介します。
「もらった人」が忘れても、「あげた人」は絶対忘れない
人の心をつかんで人脈をつくっていくうえで重要なのは、おつき合いを一つひとつ大切にし、「ご恩」を絶対に忘れないことです。
人は、自分が他人のために何かをしたとき、そのことを絶対に忘れません。しかし、他人に何かしてもらったときは、特にそれがごく小さなことだった場合、簡単に忘れてしまいがちです。
たとえば、みなさんが誰かからコーヒーをご馳走になったとしましょう。このとき、お金を出してくれた人は、「○○にコーヒーをご馳走した」ということをずっと覚えているものです。
もちろん見返りを期待しているわけではないと思いますが、他人のための自己犠牲というのは、ごく小さなことであっても強く記憶に残るものだからです。
ここで重要なのは、コーヒーをご馳走になったことを忘れないことです。できればメモを取っておいて、次にお会いしたときには、
「この間、スタバでコーヒーをご馳走になったので、今日は私にアイスクリームをおごらせてください」
などと「ご恩を忘れずに返す」姿勢を示すことです。
高価なものでなくてもいい
みなさんが逆の立場になったときのことを考えてみてください。
贈り物をしたのに、その後に相手から何も反応がなかったら、「感想くらい聞かせてくれたって……」などと不満を感じることはないでしょうか。
いつもコーヒーなどちょっとしたものを、「いいよ、ここは出しておくから」などとおごり続けているうちに、「たいした額ではないけれど、どうしていつも私ばかりがご馳走しているんだろう」と疑問を感じることも、あるかもしれません。
そして、このように「あげた人は絶対に忘れず、もらった人はあっさり忘れる」という現象は、あちこちで頻発しているのです。
そんな中、みなさんがご馳走になった1杯のコーヒーのことを忘れずに返礼を申し出たとしたら、それだけで相手の方は、
「なんて律義な人なんだろう」
と感心するに違いありません。つまり、ご恩を返すということは、それだけ自分に対する相手の信頼感を高めることにもなるのです。
なお、ご恩返しは、自分ができる範囲で構いません。大切なのは「ご恩を忘れていません」ということを自分なりのやり方で伝えることです。
お金がないからといって、躊躇することもありません。何もしないよりは、お酒1本、あるいは缶コーヒーと菓子パンの差し入れでもいいと思います。
私は、何千億円もの資産を持つ著名経営者に、故郷で採れた柿をお渡ししたことがあります。
「故郷のもので、4つしかないんですけれど、ぜひ食べてください」
そういってお渡ししました。
相手はいわゆる“大富豪”です。私がいくら頑張って高いワインなどをプレゼントしたところで、自分で簡単に買えるものですから、たいして嬉しいとは思わないでしょう。
それよりも、自分ができる範囲で、常にご恩を忘れずにお返しをしていくということそのものが、人脈づくりにおいては非常に重要なのです。
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この続きは書籍『サービスマンという病い』でお楽しみください。
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サービスマンという病い
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