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岸見一郎(哲学者)×原田曜平(博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー)Skype対談

2014.04.02 公開 ポスト

特別企画<br />岸見一郎(哲学者)×原田曜平(博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー)<br />Skype対談 第1回

渋谷を歩くのをこわがる若者たち

あと40年、同じ生活が続く?

岸見 何年か前に、若い人たちが集団で自殺する事件がありましたが、そのとき、一命を取り留めた男性になぜ自殺しようとしたか聞いてみたところ、「あと40年、今と同じ生活が続くかと思うと、非常に苦しい」という答えが返ってきたそうです。これには驚きました。あと40年同じ生活が続くという確信が、一体どこから生まれてくるのでしょう。

原田 なんの根拠もないですね。

岸見 たとえば、会社でリストラにあうかもしれないし、会社自体なくなるかもしれない。彼の無邪気な確信が、実に不思議でした。

原田 その自殺未遂した方は、「この生活がずっと続く、だから嫌だ」という思い込みですよね。マイルドヤンキーたちは、「むしろこの生活がずっと続いてほしいし、続くだろう」と願っています。仲の良い中学時代の友達とずっと付き合い続ける、今と地続きの生活を望んでいるんです。いま現在、友達と良好な関係を築いていることが前提ですが。

岸見 どちらも「今がずっと続く」と思い込むところが共通していますね。

原田 彼らの親たちはバブル世代です。リストラにあっている方もいますが、世代間比較をすると、基本的には正社員比率が高い。だから子供にしてみれば、親と同居さえできていれば、フリーターであっても一応の安定感や未来への安心感はあるわけです。

岸見 なるほど、今の若者たちは「満たされない今」が続くことを恐れ、同時に「満たされた今」がずっと続くことを願っているわけですね。非常に興味深い、哲学的問題だと思います。

原田 その断絶は、いまの社会や消費を読み解くヒントになるかもしれませんね。

 

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