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自分に適した仕事がないと思ったら読む本

2021.11.30 公開 ポスト

日本マクドナルド創業者・藤田田が2億円もの「絶対下ろさない貯金」をしていた理由福澤徹三

富める者はますます富み、貧しい者はますます貧しくなる時代。先行きの暗い中、私たちはどう働けばよいのか……。その悩みに答えてくれるのは、高校卒業後、営業、飲食、アパレル、コピーライター、デザイナー、専門学校講師など、20以上の職業を経験した小説家、福澤徹三さん。著書『自分に適した仕事がないと思ったら読む本』には、福澤さんが長年かけて培った仕事術・就職哲学が詰まっています。その中身を一部、ご紹介しましょう。

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自分の宿題は「自分との約束」

仕事を抱えこみすぎて、ストレスを感じては元も子もありません。そのとき自分ができる範囲で、仕事の幅を広げていけば充分です。

けれども漠然とやっていては、なかなか進歩はありません。わたしの本業である作家にしても、締切という期限があるから小説が書けるので、無制限に時間があったら、仕事のめどが立たないし、やる気もでないでしょう。

自分のスキルを向上させたいと思うなら、「この仕事を、来月いっぱいまでにマスターする」といった目標と期限を決めるのがいちばんです。

つまり、自分で自分に宿題をだすのです。

(写真:iStock.com/Thithawat_s)

いうまでもなく、学校を卒業したら宿題をだしてくれるひとはいません。社会にでてからは、自分で宿題を作って、それをこなすしか勉強の方法はありません

もっとも、学校の宿題はさぼると先生に叱られますが、自分の宿題はさぼったところで、誰も文句をいいません。作るのも簡単なら、さぼるのも簡単です。

けれども自分の宿題は、自分との約束です。

 

わが国初のハンバーガーチェーンである日本マクドナルドを作りあげた藤田田さんは、通常の貯金とべつに、絶対に引き出さない貯金を大学生の頃からはじめたといいます。

最初は毎月5万円で、途中から毎月15万円という金額を50年以上にわたって貯め続けたのです。しかし長い年月のあいだには、金に困った時期もあって、ついその貯金に手が伸びそうになります。

しかし藤田さんは「この金に手をつけたら、おれは終わりだ」と自分を戒めて、生涯一度も貯金をおろさなかったのです。50年以上にわたる貯金は、最終的に2億円をはるかに超えていたそうです。

 

凡人で浪費家のわたしは「生涯おろさない貯金なら、ないのと一緒だ」とか「自分が死ぬときには、どこかへ寄付したらいいのに」などと不謹慎なことを考えます。

けれども、藤田さんの思いは理解できます。藤田さんの貯金は、ただの貯金ではなくて、自分との約束なのです。自分との約束を守り続けることで、藤田さんは金よりも大きなものを得ていたのではないでしょうか。

ビジネスは「短打戦・持久戦」

また藤田さんは仕事を野球にたとえて、「ビジネスは短打戦」ともいわれています。一攫千金でホームランを打とうとするから、空振りする。地道にヒットを積み重ねていくことが成功につながるという意味です。

(写真:iStock.com/tupungato)

これもわたしのような凡人には、なかなかまねのできないことです。つい功を急いで、目先の利益に飛びついたり、自分の能力以上の無理をしてしまいます。なぜそうなるかといえば、辛抱が足りないのです。

けれども世の中に「うまい話」はありません。絶対にないとはいえませんが、すくなくとも、ひと目につくところにないのはたしかです。あるのはマルチまがいの詐欺商法だの、株の必勝法だの、競馬やパチンコの必勝法だの、欲に目がくらんだひとから金をむしりとるものばかりです。

とりあえず金があれば、人望や信用が得られるように思いがちですが、それは「砂上の楼閣」で、金がなくなったら、たちまち消えてしまいます。

ほんとうの人望や信用は、そのひと個人にむけられたものです。

 

そういう意味でいえば、一流企業にいるというだけで威張っている人物は「虎の威を借る狐」であって、退職すれば誰からも相手にされません。

焦らずあわてず、自分のペースを守って走り続けるのが重要で、藤田さんにならっていえば「ビジネスは持久戦」でもあります。「継続は力なり」というように、人望も信用も、長い時間をかけて作られるものです。いつのまにか先頭に立っているとしたら、それは自分が追い抜いたのではなく、まわりが失速したのです。

 

自分のペースを守って走り続けるというのは、ひとつの企業で長年辛抱しろという意味ではありません。将来性のない企業に長居をしても、進歩がないからです。

かつてサラリーマンの矜持は「辞めないこと」でした。どんなことがあっても、職場を辞めなければ、いつかは日の目を見るという考えかたです。

けれども、それは企業の経営が安定していた時代の発想であって、いまのように不安定な時代だと、辛抱し続けているうちに職場がなくなるかもしれません。

これからの時代は、職場を超えた大きな視点で、「短打戦」なり「持久戦」なりを考えるべきでしょう。

関連書籍

福澤徹三『自分に適した仕事がないと思ったら読む本 落ちこぼれの就職・転職術』

富める者はますます富み、貧しい者はますます貧しくなる時代。年収二百万円以下の給与所得者は、すでに一千万人を超えた。拡大する賃金格差は、能力でも労働時間でもなく、単に「入った企業の差」である。こんな世の中だから、仕事にやる気がでなくてあたりまえ。しかし働くよりほかに道はない。格差社会のなかで「就職」をどうとらえ、どう活かすべきなのか? マニュアル的発想に頼らない、親子で考える就職哲学。

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自分に適した仕事がないと思ったら読む本

富める者はますます富み、貧しい者はますます貧しくなる時代。先行きの暗い中、私たちはどう働けばよいのか……。その悩みに答えてくれるのは、高校卒業後、営業、飲食、アパレル、コピーライター、デザイナー、専門学校講師など、20以上の職業を経験した小説家、福澤徹三さん。著書『自分に適した仕事がないと思ったら読む本』には、福澤さんが長年かけて培った仕事術・就職哲学が詰まっています。その中身を一部、ご紹介しましょう。

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福澤徹三

1962年、福岡県北九州市生まれ。デザイナー、コピーライター、専門学校講師を経て、作家活動に入る。2008年『すじぼり』で第10回大藪春彦賞を受賞。14年には『東京難民』が映画化され話題に。小説作品以外にも、『自分に適した仕事がないと思ったら読む本 落ちこぼれの就職・転職術』など、仕事や就職をテーマにした新書も発表している。

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