一日一冊読んでいるという”本読み”のアルパカ内田さんが、幻冬舎の刊行作品の中から「今売りたい本」を選び、そして“POP職人”としての腕を振るって、手描きPOPも作ります。
そして、アルパカ内田さんへの「オススメ返し」として、幻冬舎営業部の人気者・コグマ部長からも、一冊ご紹介。
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元カリスマ書店員でPOP職人のブックジャーナリストが売りたい本
第6回 村木嵐『阿茶』
こんにちは。抹茶よりも緑茶を好むアルパカ内田です。
徳川家康の側室・阿茶局の波瀾万丈な生涯を描ききった本書には魂のこもった願い、祈り、そして逆境を生き抜く教えが込められている。正室と側室あわせて20名以上もいた家康に「最も愛された女性」として知られている存在。なぜそこまで天下人を引きつけたのか。
群雄割拠の真っ只中で生まれ、武田家と今川家の狭間で翻弄されながら、幼馴染と結婚し子供をもうけた後に夫と死別。シングルマザーとなり25歳の時に家康に側室として取り立てられた。家康もまた苦難の幼少期を過ごしており境遇に通じるものがあったのだろう。我が子の将来のために家康に直談判をする並々ならぬパワーが凄まじい。血なまぐさい戦場での戦いは男の仕事。阿茶は母、妻、女として、夫や息子、家のために命懸けで戦い続けたのだ。
毒気を抜かれるような愛嬌と揺るぎない才覚、そして並み居る武将たちに勝るとも劣らない雄渾で繊細な性格に、家康は良き相談相手として全幅の信頼を寄せたのだ。隠居後に身近に置いたのも、阿茶の持つ人間性に特別なシンパシーを感じたからだろう。
仁義なき殺し合いの世界から泰平の世へ。戦国最後の戦い「大坂の陣」でも格別の政治力を発揮し二代将軍・秀忠を支えた阿茶。時代の転換期のすべてを見届けた堂々たる生き様は実にまばゆい。常にいくさのない世を願い続けていた祈りが通じ、ラストに見えた光はまさに神がかっている。
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アルパカ通信 幻冬舎部
元カリスマ書店員で、POP職人でもある、ブックジャーナリストのアルパカ内田さんが、幻冬舎の新刊の中から、「ぜひ売りたい!」作品をピックアップ。
書評とともに、自作の手描きPOPも公開。
幻冬舎営業部のコグマ部長からの「オススメ返し」もお楽しみください!
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