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アルパカ通信 幻冬舎部

2022.04.27 公開 ポスト

第7回

伊坂幸太郎『マイクロスパイ・アンサンブル』/中山祐次郎『やめるな外科医』₋ 今を“いい時間”にしてくれる2作アルパカ内田(ブックジャーナリスト)/コグマ部長

一日一冊読んでいるという”本読み”​​​​​​のアルパカ内田さんが、幻冬舎の刊行作品の中から「今売りたい本」を選び、そして“POP職人”としての腕を振るって、手描きPOPも作ります。

そして、アルパカ内田さんへの「オススメ返し」として、幻冬舎営業部の人気者・コグマ部長からも、一冊ご紹介。

*   *   *

元カリスマ書店員でPOP職人のブックジャーナリストが売りたい本
第7回 伊坂幸太郎『マイクロスパイ・アンサンブル

長年付き合っていた彼女に振られた社会人一年生、どこにも居場所がない元いじめられっ子のスパイ、いつも謝ってばかりの頼りない上司……。でも、今、見えていることだけが世界の全てじゃない。知らないうちに誰かを助けていたり、誰かに助けられたり……。伊坂作品ならではの優しさと驚きに満ちたエンターテイメント小説!

こんにちは。伊坂作品はすべて「買うたろう」と思っているアルパカ内田です。

今回の新作は、言葉の力をまざまざと突きつけられる見事なエンターテイメント作品だ。読み手の全身を覆い尽くすような大いなる包容力があり、物語にしか起こせない奇跡を味わえる。

長引くコロナ禍で非日常が当たり前になった今こそ必要なのは、無限の想像力、良質な小説世界に他ならないと切実に感じさせる。そう、これは紛れもない僕らの物語なのだ。

ストーリーはごく平凡な会社員の生活と、一般世界とはまったくかけ離れたスパイたちの活動の、二つの軸で紡がれ繰り広げられている。およそ結びつくはずのない異質な関係が、いつしかあざなえる縄のごとく、ぴったりと寄り添うように共鳴するからなんとも不思議。偶然のようですべては必然。

人は生まれ落ちてからずっと、異なる世界にいる誰か、もしくは運命的な何かに導かれて生きているのかもしれない。そう考えると奇妙な安心感をおぼえ、前向きな気持ちにもなれるのだ。

この世界は目には見えない何かで深く繋がっている。理知的でありながら人間的な情感がたっぷり凝縮されている本書は、混沌としたこの世を癒やす救世主であり、まさに伊坂文学の真骨頂。忙しい毎日で置き忘れてしまった大切な気持ちを取り戻させ、読まれるほどこの夜の霧を晴らしてくれる魅力に溢れた一冊だ。そしてビバ猪苗代湖! またひとつ聖地巡りをしなければならない素敵な場所が増えたことも付け加えておきたい。

アルパカ内田さんの手描きPOP!

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アルパカ通信 幻冬舎部

元カリスマ書店員で、POP職人でもある、ブックジャーナリストのアルパカ内田さんが、幻冬舎の新刊の中から、「ぜひ売りたい!」作品をピックアップ。
書評とともに、自作の手描きPOPも公開。

幻冬舎営業部のコグマ部長からの「オススメ返し」もお楽しみください!

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アルパカ内田 ブックジャーナリスト

内田剛(うちだたけし)。ブックジャーナリスト。約30年の書店勤務を経て2020年2月よりフリーランスに。NPO法人本屋大賞実行委員理事で創立メンバーのひとり。文芸書をメインに各種媒体でのレビュー、学校や図書館でのPOP講習会などを行なっている。これまでに作成したPOPは6000枚以上で著書に『POP王の本!』『全国学校図書館POPコンテスト公式本 オススメ本POPの作り方(全2巻)』あり。無類のアルパカ好き。
Twitter @office_alpaka

コグマ部長

太田和美(おおたかずみ)。幻冬舎営業本部で販売促進を担当。本はミステリからノンフィクションまでノンジャンルで読みまくる。アルパカ内田(内田剛)さんとは同学年。巨人ファン。
Twitter @kogumabuchou

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