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アルパカ通信 幻冬舎部

2022.04.27 公開 ポスト

第7回

伊坂幸太郎『マイクロスパイ・アンサンブル』/中山祐次郎『やめるな外科医』₋ 今を“いい時間”にしてくれる2作アルパカ内田(ブックジャーナリスト)/コグマ部長

幻冬舎営業部 コグマ部長からオススメ返し
中山祐次郎『やめるな外科医

テレビドラマにもなった人気小説、『泣くな研修医』シリーズ第四弾。雨野隆治は医者六年目となり、少しずつ仕事に自信もついてきた。ある夜、難しい手術を終え後輩と飲んでいると、病院から緊急連絡が……。今回も現役外科医が、生と死の現場をリアルに描く!

さて、こちらは現役外科医が書いた小説。主人公・雨野は30歳の外科医。

医者になって6年目で、徐々に難しい手術もこなせるようになった。先輩や上司の指導もまだまだ必要だが、後輩もできて今が伸び盛りといったところ。

そんな雨野にピンチが―。2名の高齢ガン患者の女性。どちらも身の回りの面倒をみてくれる人がおらず、なにやら深い事情があるらしい。雨野は親身になって考えるが、患者はいっこうに心を開かない。死を前にした患者に自分は何ができるのか? さらには、自分が執刀した手術で明らかなミスも見つかって……。

外科医の失敗は、患者の死に直結する。生と死を分ける過酷な境界線は、目まぐるしく変わる。生還する患者がいる一方で、多くの死にも立ち会わなければならない。ハッピーエンドのドラマとは違い、現役医師が書いた小説には、悲しい別れもある。壁にぶつかりもがきながらも成長していく雨野に、読者は自分を重ねて読むことになる。

世の中には何事もうまくやれる人間がいる。その一方で、不器用で、まっすぐ過ぎて、いつも間が悪い人間もいる。自分は損しているのかな? そう思いながら生きている人も多いはずだ。

でも、それでよし。雨野のように生きてみよう。悩む人の背中を押してくれる1冊になるはずだ。

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アルパカ通信 幻冬舎部

元カリスマ書店員で、POP職人でもある、ブックジャーナリストのアルパカ内田さんが、幻冬舎の新刊の中から、「ぜひ売りたい!」作品をピックアップ。
書評とともに、自作の手描きPOPも公開。

幻冬舎営業部のコグマ部長からの「オススメ返し」もお楽しみください!

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アルパカ内田 ブックジャーナリスト

内田剛(うちだたけし)。ブックジャーナリスト。約30年の書店勤務を経て2020年2月よりフリーランスに。NPO法人本屋大賞実行委員理事で創立メンバーのひとり。文芸書をメインに各種媒体でのレビュー、学校や図書館でのPOP講習会などを行なっている。これまでに作成したPOPは6000枚以上で著書に『POP王の本!』『全国学校図書館POPコンテスト公式本 オススメ本POPの作り方(全2巻)』あり。無類のアルパカ好き。
Twitter @office_alpaka

コグマ部長

太田和美(おおたかずみ)。幻冬舎営業本部で販売促進を担当。本はミステリからノンフィクションまでノンジャンルで読みまくる。アルパカ内田(内田剛)さんとは同学年。巨人ファン。
Twitter @kogumabuchou

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