幻冬舎営業部 コグマ部長からオススメ返し
中山祐次郎『やめるな外科医』
さて、こちらは現役外科医が書いた小説。主人公・雨野は30歳の外科医。
医者になって6年目で、徐々に難しい手術もこなせるようになった。先輩や上司の指導もまだまだ必要だが、後輩もできて今が伸び盛りといったところ。
そんな雨野にピンチが―。2名の高齢ガン患者の女性。どちらも身の回りの面倒をみてくれる人がおらず、なにやら深い事情があるらしい。雨野は親身になって考えるが、患者はいっこうに心を開かない。死を前にした患者に自分は何ができるのか? さらには、自分が執刀した手術で明らかなミスも見つかって……。
外科医の失敗は、患者の死に直結する。生と死を分ける過酷な境界線は、目まぐるしく変わる。生還する患者がいる一方で、多くの死にも立ち会わなければならない。ハッピーエンドのドラマとは違い、現役医師が書いた小説には、悲しい別れもある。壁にぶつかりもがきながらも成長していく雨野に、読者は自分を重ねて読むことになる。
世の中には何事もうまくやれる人間がいる。その一方で、不器用で、まっすぐ過ぎて、いつも間が悪い人間もいる。自分は損しているのかな? そう思いながら生きている人も多いはずだ。
でも、それでよし。雨野のように生きてみよう。悩む人の背中を押してくれる1冊になるはずだ。
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アルパカ通信 幻冬舎部
元カリスマ書店員で、POP職人でもある、ブックジャーナリストのアルパカ内田さんが、幻冬舎の新刊の中から、「ぜひ売りたい!」作品をピックアップ。
書評とともに、自作の手描きPOPも公開。
幻冬舎営業部のコグマ部長からの「オススメ返し」もお楽しみください!
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