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60歳からの文章入門

2023.05.28 公開 ポスト

「個別訪問」「現状回復」…どこが間違っているかわかりますか?近藤勝重(コラムニスト、ジャーナリスト)

日記、手紙、エッセイ、物語……。人生経験を積んだ今こそ始めたい、「書く」ことへの挑戦。でも、何をどうやって書いたらいいのかわからない、という方も多いでしょう。そんなあなたにオススメなのが、ジャーナリストで毎日新聞客員編集委員の近藤勝重さんによる『60歳からの文章入門』。テーマの設定から、文法、構成、自分らしい表現まで、読めばスラスラ書けるようになることうけあいの本書から、一部をご紹介します。

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心に響くメールの文面とは?

離職後の方も、再就職することがあるかもしれませんので、ビジネスでの必須ツールであるメールの基本フレーズは覚えておいてほしいです。

書き出しとか、お礼の文例集はすでにいろいろ出回っています。ですからここでは僕の著書についてのインタビュー取材の「お願い・依頼」のメールをいただいて、快諾したケースを紹介しておきましょう。

(写真:iStock.com/anyaberkut)

「ご一考願えますでしょうか」とか、「~していただけると幸いです」などと、作法通りのフレーズがあるものでも、その前にこういった文面があると心が動きますね。

「〇章の~のくだりは、とりわけ印象に残りました」

ちゃんと読んでもらえている。しかも僕が一番力を入れて書いたところに反応してくれている……。いや、こういうメールには弱いものです。

実際に高倉健さん(1931~2014)の追悼本を書いたときには、取材依頼のメールを各メディアからたくさんいただきましたが、先に紹介したような文面には即OKしていました。

 

メールは手紙に比して、時候の挨拶などはなじみませんし、美辞麗句より依頼や案内の趣旨を明瞭に伝えるべきでしょう。

ただ、そうは言っても誠意が伝わり、好印象を与える文面が望ましいのはメールも同様です。

とくに次の3点は心得ておくべきかと思われます。

(1) 美しく飾った言葉より、誠実さを込めた文面であれ

(2) 誤字、脱字はもちろん、紋切り型の表現は要チェック

(3) 自分のことより、うかがうべきは相手の近況

とりわけ先方の力を頼みとするようなメールの場合、細心の注意を払ってほしいですね。

変換ミスにも気をつけよう

一般にメールは書き言葉なので、日常の会話の言葉よりきつく響く感があります。そこで、「どうですか」は「いかがでしょうか」、「よければ」は「よろしければ」とか「さしつかえなければ」に直し、「すみませんが」は「申し訳ありませんが」などとすべきでしょう。

(写真:iStock.com/{アーティスト名})

誤字に関しては、僕が毎日新聞の専門編集委員をしていたとき、パソコンで変換ミスをして、専門変種委員と原稿に打ってしまい、部下の女性から「これでいいんですか」と笑われたことがありました。

熟語などでも、正しいと思い込んでいる漢字の一字が違っていた、なんてことありますよね。ここも問答形式でちょっとためしてみましょう。

 次の熟語を正しく直してください。

個別訪問

出所進退

上位下達

人口呼吸

現状回復

答 戸別訪問/出処進退/上意下達/人工呼吸/原状回復

パソコン上での打ち間違いもあるでしょうから、タイプミスのチェックは怠らないでください。

 

使い古され、すっかり衰弱した言葉もあります。常套句に多いですね。

黒山の人だかり

冷水をあびせられたような

抜けるような青空

雨がしとしと降る

太陽がキラキラ輝いている

あるいは、

子どもは正直だ

スポーツマンはさわやかだ

など、社会通念化した決まり文句も避けたほうがいいですね。それが文章を書く際の共通の感覚でしょう。

関連書籍

近藤勝重『60歳からの文章入門 書くことで人生は変えられる』

定年を迎える60代。今こそ始めたいのが「書く」ことへの挑戦だ。書いて半生を見つめ直すことが、今後どう生きるかを考えるきっかけになる。本書は「何を書けばいいかわからない」という初心者向けに、(1)話題やテーマを決める→(2)文法や構成を学ぶ→(3)自分らしい表現力を養う、の3部構成で解説。「思うこと」ではなく「思い出すこと」を書く、「私」を削る、「だから」「しかし」も削る、自分だけの「気づき」を鍛えるなど、文章力アップのコツを伝授する。日記、手紙、エッセイ、物語……書き続ければ、それがあなたの生きた証になる!

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60歳からの文章入門

日記、手紙、エッセイ、物語……。人生経験を積んだ今こそ始めたい、「書く」ことへの挑戦。でも、何をどうやって書いたらいいのかわからない、という方も多いでしょう。そんなあなたにオススメなのが、ジャーナリストで毎日新聞客員編集委員の近藤勝重さんによる『60歳からの文章入門』。テーマの設定から、文法、構成、自分らしい表現まで、読めばスラスラ書けるようになることうけあいの本書から、一部をご紹介します。

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近藤勝重 コラムニスト、ジャーナリスト

毎日新聞客員編集委員。早稲田大学政治経済学部卒業後の1969年毎日新聞社に入社。論説委員、「サンデー毎日」編集長、夕刊編集長、専門編集委員などを歴任。毎日新聞(大阪)の大人気企画「近藤流健康川柳」や「サンデー毎日」の「ラブ YOU 川柳」の選者を務め、選評コラムを書いている。10万部突破のベストセラー『書くことが思いつかない人のための文章教室』、『必ず書ける「3つが基本」の文章術』(ともに幻冬舎新書)など著書多数。長年MBS、TBSラジオの情報番組に出演する一方、早稲田大学大学院政治学研究科のジャーナリズムコースで「文章表現」を担当してきた。MBSラジオ「しあわせの五・七・五」などにレギュラー出演中。

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