「痛いの痛いの、飛んでけ」は言わない、やる気スイッチより「楽しさスイッチ」、絵本を「1万冊」読み聞かせる、すべての基礎は「1けたの足し算」……。4人の子どもを全員、東京大学に合格させたことで注目を集めた佐藤亮子さん。著書『一点集中 ムダ取り勉強法』は、そんな佐藤さんが実践してきた子育て法、勉強法を一挙公開した一冊です。その中からぜひ実践したいノウハウを、みなさんにご紹介します。
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理由を説明すれば理解してくれる
「ウソをついたらいけません」と大人は子どもによく言います。「嘘つきは泥棒の始まり」なんて言う大人もいますね。
でも、大人だって子どもにウソをつきます。
その例が子どもがどこかに体をぶつけたときなどに言う、「痛いの痛いの、飛んでけ~」という言葉です。
テレビドラマなどでそんなシーンを見る度に私は、「痛いのは飛んではいかないでしょう」とつぶやいてしまいます。子どもはせっかく大人が言ってくれているのだから、痛くなくなったようなふりをしていますが、内心では、「でもまだ痛いんだけど」と思っているでしょう。
子どもが痛いと大人も痛みを感じてしまう共感力だとは思いますが、どこかで痛いという現実をごまかしているように思い、私自身は子どもに「飛んでけ」と言ったことはありません。
子どもがどこかをぶつけたら、その場所をさすって「痛かったね~」と声をかけます。たとえ小さな子どもでも人格を尊重して、現実をごまかしてはいけないと思うからです。
ケガをした大人に対して、「痛いの飛んでけ」とは決して言わないように、2歳の子どもにも、「痛いの飛んでけ」と言ってはいけないと思います。
予防接種をするときも同じです。「痛くないよ」とごまかしたりしてはいけないと思います。
私は、予防接種をする前日には子どもたちに、「明日は予防接種をするから、チクッと痛くて泣くかもしれない。泣いてもいいけれど、でもこれは病気にならないために必要なものだからするんだよ」と説明しました。親が言う内容が理解できる年ごろになったらそう説明しましょう。
このように予防接種の様子と目的をしっかり説明してから病院に行きました。
(わが家は4人子どもがいますから、それぞれの予防接種のスケジュールはいっぱいで、私は手帳に書き入れて順にこなしていきました)
すると、子どもたちは一度も泣かなかったのです。3人ぐらいをまとめて注射に連れて行くこともありましたが、最初に打つ長男が泣かないので次男、三男も泣かずに終わります。
小さな子どもでも1人の人間としてしっかり説明して向き合うことが大事だと思います。
「条件の悪さ」を口実にしない
人はとかく自分を取り巻く環境の悪さを口実に、するべきことをしないでサボるものです。私は子どもたちに、いつも「どんな環境の中でも勉強を続けること」と言っていました。
わが家は4人きょうだいで、常に小さい子がいるので勉強するのにいい環境とは言えませんでした。私はそれに対して文句を言わないようにといつも言っていました。
「大学ノート見開き2ページ分のスペースがあれば勉強できるのだから、もしも、耳元で下のきょうだいが太鼓をドンドンとたたいているならば『うるさいから止めて』と言ってもいいけれど、それ以外は文句を言わずにノートを開いて勉強してね」
と言っていました。
ですから、4人きょうだいの誰かが出すピアノや遊びなどの騒音の中でも勉強を続けられたのだと思います。
2020年の初頭から世界的に新型コロナウイルス感染症が拡大した影響で、受験生をはじめ生徒たちや学生たちに影響が出ました。入学式ができない大学生、大学が始まったけれど授業がオンライン中心になって孤立している大学生などが報道されました。
確かに勉強するのにいい環境とは言えませんが、戦争や大災害とは違い命が脅かされているわけではありません。悪条件を変えるのは1人の力ではなかなか難しいものですから、その条件の中でどうやっていくかを考えたらいいと思います。
一点集中 ムダ取り勉強法
「痛いの痛いの、飛んでけ」は言わない、やる気スイッチより「楽しさスイッチ」、絵本を「1万冊」読み聞かせる、すべての基礎は「1けたの足し算」……。4人の子どもを全員、東京大学に合格させたことで注目を集めた佐藤亮子さん。著書『一点集中 ムダ取り勉強法』は、そんな佐藤さんが実践してきた子育て法、勉強法を一挙公開した一冊です。その中からぜひ実践したいノウハウを、みなさんにご紹介します。